「いぬのじきょくのしっぽのきょくりつ」
仮想的な思惟の棲家から
そろそろ旅立たなくてはならないと思いつつ
日々の染み跡が はらはらと
級数的な昇華をみせて
僕はまたいつものように 取り残されてしまう
(今日も みんなの眼は
すきとおって いました)
去りゆくもの
を見つめている
彼女自身の心のこだまが
残されたもの
の手を引いている
夕照の
むこうに
ひろがっている
(まばたきの あいだに
メビウスの輪が ひかって きえました)
「ただの言葉があるだけの、目もあけられぬ昼ばかり」
あおあおしい憤怒をふみしだき湧きうつおと くろがねとかした雲がすさぶ
もえさしに ほのかなぎんがの遠いかぜ
ひぼたるも置きざりにして今年のこよみという言葉が
じりじりいたむ
しろいしんけい しろいのはしんけい
すいじゃぁくかあドどとどドろどどっと
ただの言葉があるだけの 目もあけられぬ昼ばかり
じゅうけつした葉脈のうえでとんではねて
落ちてクビをまげて
しろい蚕のはらをやさしくつぶすことができなかったから
堕ちてくビをまげて
びょうしんの林はや
ふりそそぎ 目くるめく縞はしる 島のなみだのあわいにひかるひかり
りゅうせんけいの太陽をみおくり
めしいたノド ちどりアブ ういるすカラスをいつくしんでは
目もあけられぬ昼ばかり
ゆえに言葉はぜ い じゃ く で
わたしはむしばから やみから あたまのおりからぬけられぬ
にがにがしい空にたかられながら
幻想をいだき いきねばならぬ
まばたき絡むねっとりとしたトライアングルが いきている いきてるのって
ショウリョウバッタがにげさった
にげたのはもしかして 遠いかこ という言葉じゃないかしら?
わたしははカラスをおいカラスのカレハをおもうばかり
腕をすりぬけるうみのけだるい ろ ん ど
おどるならば 目をあけてはならぬ
せめてまひるに みひらかれたアリはしつようにあなたのせなかを
せ な か を
つたわる めのう ひよどりがおちるようにおちるなみ
はだをおかすとうめいなまぐま ふきあがるちへいに
なお ねをはやすというのか きみは
花をひさしぶりに見た
絶えず思考が切迫している今の生活にあっても また霧の口笛をふかなければならないだろうな
こんなもつれ屑みたいなただの言葉じゃなくて