〜〜詩で遊ぼう! 投稿梁山泊 12th edition 〜〜
──あなたが 風邪薬を飲みすぎた
夕べから付き添っている犬/が部屋の中で 床
居ない主人の影を踏み走り/回る 空間
ベッドの下で眠る引き出し/の向こうから声を 空間
テレビの多重音声のように/複成させて 空間
床
カーテンは閉めたまま/窓の外から途切れて 彼女
テーブルの上に猫の形/の影が見える 空間
彼女が挟まれた空間は/コンクリートの壁と 空間
断熱材という嘘の塊に/並べられた 天井
階段は逆らせん状に/ベクトルを向けた 床
その段差を不定期に/更新させて 空間
上ってはドアの向う/で平地を生み出して 空間
何人もの空想がそこ/で酒盛りを始めて 空間
床
酒瓶が垂直に立て/られたその図形を 酒瓶
浮き上がった風が/つかむことなく 空間
少し冷めていた酒/の臭気を引き連れて 空間
視線とともに雲を/突き上げていく中で 空間
その 彼ら皆が想定しようとした視点 月
ビルの上で/空に
向かって/酒だ
酒を空/に
掲げ/
て/
一斉に飛び上がって
……空が反転した
一斉にぶら下がることができる
雲\
のな\い
空の下\で高い
ビルの最\上階から
駆け下りて\叫ぶ彼ら
いま 視点の足元にある下弦が5つ 月
ビルの羅列の間を\駆け抜けてゆく声と 空間
雪を呼ばない軽い\風さえ隙間をうならせ 空間
それでも踊り場は\それらを遮っては 空間
子供達の駆け下り\る反響と振動を寄せ 空間
階段
昔から気にしないでいた\だけの窓の下で 空間
蹴られた石がドアに跳ね\返されて 空間
猫はのっそりと夏から這\い出て背伸びをして 子供
部屋の中を見回して四隅\を埋めに行く 床
カーテンは開けられたまま\外が見える 天井
向かいの窓に映る光が犬の\影のように 空間
何も遮らない色のない高さ\の床の外には 空間
足の置き場も見当たらない\ほどの人の頭 空間
床
部屋の中で電灯の切れた空間\から 空間
テレビの映像だけが明るさを\くれて 空間
広げたままの布団の中でいま\寝返りを打ちながら 布団
眠れないでいるのはいつもの\こと 床
──ぼくは 風邪を引いていない