〜〜詩で遊ぼう! 投稿梁山泊 12th edition 〜〜
初冬
オリオン横寝の真夜中
赤く光る星目指して自転車をこぐ
星は無数にある 心躍らせながら
コンビニ
熱冷ましには アイスクリームを
寄り道は何よりも楽しく
店員の男荒れた指ささくれ
舌で削り取りたい たやすく発熱
フィスト
欲情押さえ握るはハンドル
ぶいーんぶいーんぶいぶいーん
飛ばすごとに落ちていく
私の身体は部品だらけ
欠けた所修理しないまま 自転車置き場へ
蛞蝓
壁よじるお前 隅っこに落ち着くのかい
ペパーミントのガム噛んで
セッタの煙プカリわっか ぷううとお前にいたずら
がくりと頭を後ろに垂れ
半分に折りたたまって 私とお前の目が合った
家
蛞蝓が這うように辿り着く
ただいま 私 蝸牛になったのよ
剥いたら山吹色の管ぐるぐるでね
ぐるぐるくねくねの気持ち隠して
ツノは隠さないぞってなデンデンムシで ね
身体
男の荒れた指ささくれ
触れた私の指 やがて来る狼狽の感電
出来るだけ長い時間 痺れてると良いな
少し痛いけど大丈夫 心配しないで良いよ
ぞわーと鳥肌立ち じゅくんと濡れた
溶けていく身体 忘却のアイスクリーム
―――何を心配しないで良いんだっけ
夢
眠りたくない
眠りは死
明日が安産を祝福しても
産まれるのは昨日までの私
夢見る度 腐っていく両の手足
べランダの隙間 白い幽霊覗いて
こっちにおいでと誘う正夢 始まる
そっちはどうですか
たいして変わりはしないんでしょう?
私の寝言に相槌打つのは離脱した私
幽霊と手を繋ぎ 誘導された空はパノラマ
見上げると星は無数で心だけが踊っていました
(終)