〜〜詩で遊ぼう! 投稿梁山泊 12th edition 〜〜
149 :
空瓶:
飛行機が秋空の高高度に留まっている
コルクボードに押された一葉の絵葉書みたいだ
言葉を必要としている人に送ってあげたい
そう思う僕の広げた洗濯物が芝生に影を落とす
小さな靴下を並べて干す
忘れ物が潮に流されていく浜辺
僕は蓋をしっかりと閉めたビンを波の先に乗せる
でもそれは緩やかに僕の手元に戻ってくる
宛名のない言葉たちが僕の海岸に打ち寄せてくる
ピアノの無くなったリビングを風が吹き抜け
音も無くカーテンを巻き上げる
ラジオが午後の天気予報を告げる
涙の降水確率を淀みなく読み上げる