「プロムナード」
尖塔が正円を描いて灰色の空を指す
窓辺に暗がりの男が仮面を伏せる
庭園
十字路の小道
芝草の匂いが午後の湿度に浸透する
雷鳴
遠くに 遠くで
中耳を軋るような
ゆっくりと
小道の十字路を巡る
一定のパターンに組み上げたそれは
精緻な散歩
いつしか口の中が切れていて
血の塩味を噛みしめる
いつしか窓辺に暗がりの男が
姿を消した
毎日 毎晩 一生
費やされる夢の これが
あらゆる目覚め
そのことを待っている
知っている
大気は潤う
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次は「横切る」でお願いします。