―the rural festival―
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ていうか、鄙。ほっとんど人がいない 人口密度は2人/kuくらい
しかし合併して変てこな名前になるよかマシですわ セントレア、とかね(笑)。
いきなり閑話休題。
とある荒れ果てた民家 もはや家の体を成していない
住人は上京して一旗挙げると言って出てったっきりその後の状況は不明です
そこに残された、雛。七段飾りのフルセット、しかも人形のサイズは等身大(!)
東風吹く平原にただ一揃いの、雛。そこここには木々が芽吹いていて
今現在お祭りの真っ最中なのであります
軋む雛壇 踊り狂う三人官女 爆発するぼんぼり
クインテットの演奏する中、下段では従者どもがおしゃべりに夢中
あれ程人前では私語は慎めと言ったのに でもそんなのは問題ではない
だって人前ではないのだもの 鄙だもの 人形だもの
ちなみに清掃員は白酒一気飲みで運ばれました
特筆すべきは猿や熊、猪なども参加しているということ 食い物目当てだけどね
食事は雛霰や菱餅かと思いきや、これがまた 吉 野 家 の 牛 丼 なのです
闇ルートから大量に仕入れているらしい それに一役買っているのが
右大臣と左大臣 カラシニコフ銃を担いで辺りを睥睨している
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その横に控え奉るは一族の忠犬AIBO(Sony製)であります
そんなハイカラなもんがなぜ此処にあるのか
廃墟探検に来た三人組が忘れていったと言われていますが
実際の所は左右大臣のみぞ知る
そして最上段では天皇&皇后両陛下がセックスに没頭している模様
まぁ、こういう時には十二単は便利ですな
曰く 桃の節句す だって 桃のって何、もものって
(中略)
で、フィナーレは流し雛。穢れを押し付けて水に流してしまう スケープゴート
しかし此処では主役は雛達なので 押し付ける相手に一考を要する
彼等は人形の代わりつまり自分達の代わりに人を流そうと画策していたのですが
―フルセットってば、平気でウン十万とかするので勿体無いし―
なんせ、鄙。人が居ません
いや居るけどお年寄りばかりで川に流すのは少し残酷な気がして
というのは建て前で、どうせ流すのならば若者じゃないとつまらないものの
ここは、鄙。若者が居ません
よって衆目の一致した意見とはやはりオーソドックスに人形が流れよう、と
でも離散してしまうのは忍びないし
本来の流し雛は流すように安いのに自分達は高いし
海に出て魚やイルカや海亀が誤って飲み込むと環境破壊になるし
そこで
GPSで追跡可能なように自らに認識タグをつけて 次々と流れて行きました どこまでも