「真空花火」
結構前からこの言葉が引っかかって
「真空花火」という詩を書こうとしたけれど真空で花火ができるんか と
つまらない常識がいつも頭をよぎって何も書けなかった
輝くべき、酸素を失った空間で火花を散らす
それは太陽?ロケット?再突入に失敗して散っていく命?
そしてようやく思い起こす
あの夜 独りで見上げた流星群
思ったよりも全然降り注ぐことのない瞬き
打ち上げ花火の準備を待つ間のような
僕は震えていた
バカらしくなってきて歩きだした
小さな団地の隅々でクスクスと囁きあって抱き合っている子達がいて
ますます僕はバカらしく思えてきた
僕は震えながら いつかの夏を想い
真空で瞬く花火は 結局あの大輪にはやはり敵わないのだ