218 :
向日人:
安全の部屋
今にも暴発しそうな
思い出の入った風船が張り裂けるときの音は
部屋の隅で体育座りしている僕の手を耳に追いやり
衝撃は部屋の間取りを滅茶苦茶にして
水道やガス管は一気に漏れ出す
慌てた僕は急いで窓とドアを開けながらトイレに駆け込む
取り付けた覚えもないのに辺りにはサイレンが鳴り響き
壁には赤と黒のペンキのような光が交互に部屋を掻き回す
外の誰かに助けを求めようと携帯電話を開くが
あいにくみんなは仕事中らしい
仕方なく汚い音と色に襲撃された部屋を僕は
まるで催涙弾を投げ込まれた 立て篭もりのテロリストのように
だらしなく飛び出した 外に僕の知っている嫌な奴らが待っていて
一人が「オマエも変わっていないなぁ」と楽しげに言った
出て直ぐにスナイパーに撃たれた方がマシだった