書いた詩‥評価してあげるよ?Part20

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828佐野式 ◆ZIpQUeLGWY
「その日の日記から」

雨で濡れたレールの上、滑り出した路面電車
吊り革につかまりながら、見なれた景色を眺めていた
運転手の首元には、小さな蚊が一匹とまり
70年代風のディスコステップを踏んでいる

一番後ろのシートに座っているのは
ロバート・ジョンソンを気取ったブルースマン
でも、この街の誰もが知っている
「本当は彼、教会の聖歌隊に入りたかったのよ」って
悪魔は今、目を閉じながら「Z」の文字で呪の言葉を吐いている

カンガルーのような目を滲ませながら
乗り合わせた女達は皆泣いていた
不思議なくらい悲しみを感じさせずに
きっと今晩の客が、昔の男に似ていたんだろう

月が今にも落っこちそうな6月の夜
10年後の自分と酒を飲んだ帰りの電車
とにかくそんな場面に出会ったんだ

感情の最上段から、暗闇の中に落ちてしまう前に
ここにそいつを書きとめておこう