たとえるならば この私
道端に芽吹きたる 名も呼ばれぬ花の
下に転がる石で在ろう
幾億万の空の色
二度として同じことのない
朝や 昼や 夜の
その表情や
計り知れない法則を以て
駈け抜けて行く風の姿
気紛れを装い 通り過ぎる
雨の温度の変わること
中空を 切るように行く
飛ぶ鳥たちや
土の上 土の下
自然の掟に誠実に
ひたすら生をつむぐ生きものら
そして
季節に咲き 季節に散る花の下
それらの巡る生き様を
呼び止めることなく 尊びて
黙して転がる 石で在ろう
たとえるならば ささやかな
素晴らしき哉、この人生