〜〜詩で遊ぼう! 投稿梁山泊 11th edition 〜〜
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線 1/2:
輝きと陰りと
水と空気と
果てることのないざわめきと反復が
40億年の泰らかな静寂を
両手で包むように持ち
圧倒的な現し身でのしかかってくるのだ
フナムシが
テトラポッドのつぶつぶを
がさがさと這い回り
そのとき
僕は生えた苔をなめる蟲で
カラスは
消点まで陽炎ゆらめく防波堤で
きっちり整列してゴミをついばみ
そのとき
僕は太陽をつつく盲いた鳥だった
43 :
線 2/2:04/04/20 17:14 ID:C7B9XA9v
そして波音の不意をついて身体は一枚となり
海と大陸の間に確かにある
限りなく細い細い隙間にすべりこんだ
僕はそうしてフラクタルなタペストリーであり
沈殿した白金色の種子であった
スピーカーで割れた声が
「春の廃屋の屋根に咲く花」と
がなるのを聴いていたし
飛行機が空に太い線を引いていくのを
確かに見ていた記憶が
頭蓋骨の裏側にこびりついている感覚はあるのだけれど
それはもはや海岸の遠いこだまなのだった