〜〜詩で遊ぼう! 投稿梁山泊 11th edition 〜〜

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409『たゆたう』 1/2
出せない手紙が部屋に満ちて
その上でぼくはぷうかぷうか浮かんでいるのです

もうすでに
窓は深く海中に沈み込み
かろうじて
外から聞こえてくる笑い声と
時折団地の向こうを走る電車の音で
まだ間に合うと自分に言い聞かせるのです

部屋は暑く
換気もきかないので
ダラダラと手紙に汗が染み込んで
滲んだインクで
濁った波間に揺れて
上部だけを僅かに覗かせた扉を
横目でぼんやり見つめていると
あの向こうには誰かが立っていて
ノブに手をかけているんじゃないだろうかと
不安に息を殺すのです
410『たゆたう』 2/2:04/06/28 12:37 ID:t7wUechl
聞いてください
それでもここは

どろりとした海中に潜ると
すぐに光は届かなくなり
腐ったような異臭に身を包まれますが
膝を抱えると
とくんとくんと体が揺れて
とても心地よいのです

聞いてください
それでもぼくは

いつか
手紙の海にすっかり溺れてしまう前に
扉を開けて欲しいのです