「天使」
コーヒーを飲むのです
出来るだけ柔らかなコーヒーです
午後は小さくスキップをして
眼鏡を曇らす
それでいいのです
そしてわたしは考えるのです
いえ、考えるのではありません
イメージするのです
迷子の天使がベランダに降り立つのを
「悪いが一晩泊めてもらえないだろうか」と
ピンクの唇から鐘の声が漏れるのを
わたしは瞬きを3回してから
急いでベットのシーツを新しいのと取替え
押入れからいつかの男のために買った枕を引っ張り出し
天使をそこに寝かすのです
天使は音もなく布団に潜り込み
白くて可愛い羽がやけに生々しくあるのです
わたしはコーヒーを飲むのです
天使を寝かしつけたわたしは
きっと
出来るだけ柔らかなコーヒーを飲むのです