69 :
雨森 通:
海の余命の中に精神はない
全体を見る眼は既に焼かれ
夥しい詩人たちの発語は
嵐のなか生き残れない
ただ柔和な殺意のみが
波打ち際で明滅している
70 :
雨森 通:2006/03/20(月) 05:22:33 ID:pCRXJ4Cx
今日に垂直な祈りの翳で
胎の大きな猫が欠伸する
ぼうふらのように
突沸する不幸の傍らで
病んだ老人は過去を自嘲する
全てが死に向かっているので
生は簡素に世界へと収斂する
幸福という僅かな屈折率が
今日に垂直な祈りの上に明るい
71 :
雨森 通:2006/03/20(月) 08:33:47 ID:pCRXJ4Cx
あの巻雲の中に隠した
酸化し尽くした肯定を
新たなる風景を燃やす為
喪わなければならない
そして私の諦念が
饐えたる日々に浪費されたら
燕よ あの白濁の空を落とせ