ただ書きたい。

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293アマモリトオル ◆yjVBsR9W2A

無言のなかで待ち続けているという 一つの世界風景の形態が
掠れた質問となって僕を訪れる

硬化した関係の殻のなかで 常に言葉は孵化しなかった
それが回答になってしまわぬように 僕は窓から亡霊を飛ばし続けた

否定と肯定が 希望と失望が
どれもまったく同じ色で 僕の白地図を塗りつぶしていった

わずかに小さく残り それも徐々に狭まってゆく真白い区画
僕はそこを住処として過ごした 饒舌に沈黙を保ちながら

世界は回り続けた
僕はその回転軸の傍らにいて ひどく他人事のように世界が回るのを見続けた

一旦迎え入れた時代は通り過ぎはしなかった
せわしない沈黙は 雑然としたこころを微速度撮影しながら
最後に虚無を纏おうとし しかし言葉の生存に敗れた

無言のなかで待ち続けているという 一つの世界風景の形態が
掠れた質問となって僕を訪れる

生身の言葉が殻を押しやぶろうとしていた
僕は 生きたかった