ほどけていった僕の部屋から
無数に伸ばされた朝顔の蔓が
いつか見た夢のなかで
それぞれ小さく渦を巻いている
揺籃の時は過ぎ開花を待っていた
春の暖かい海に去られ
僕は縮こまる身体一杯に
その温もりと浮力を名残惜しんでいる
この部屋から伸びていた朝顔の蔓は
僕の無制限な意識を追って
仕掛け花火のように消えていった
ただ寒さが置かれている
拾い上げると白い息になった
朝顔の蔓は
どこの空からやってきた
どこで渦を巻いて
どこで開花を迎えるのか
僕は幸福になりたい
この無責任な夢のなかで
そして僕は
この退色した風景のどこかに
朝顔の根が凍えている事を
忘れてしまいたい