書いた詩・・評価してあげるよ? Part18

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          「セピア色の風」
 
  街にはもう、春風が吹いているのだろう 春のにおいがする
  花束を持った中学生が歩いている 卒業式か?
  もう卒業してから、かれこれ5、6、7年…か

   毎日一緒に帰ったあいつ
   そういやー、あん時貸したスーファミのソフト、まだ返してもらってねぇ
   もうやらないだろうけど、ちゃんと…ちゃんと返しにこいよ
    貸したもんは返すって習っただろうがよ

    後ろ姿ばかり見ていた転校してった好きだったあの子
    黒の中にも緑がはいっているような黒髪とちょい内股で
    決まって下向いて歩く歩き方は今でもちゃんと覚えているけど
    顔はもう、思い出せない

     あの頃の僕 若かった本当に 後悔している
    あの子に何も言えなかったこと そしてなにより
    もう二度と会えないあいつに何もしてやれなかった事

    セピア色の風が吹いた
    この風をずっと辿っていけばあの頃に戻れるんじゃないか
    そんな気がした 向かいの道路にいた少年の笑い声が、
    あいつの笑い声に聞こえた

    「はくしょん!!」僕は一回大きなくしゃみをした
     あいつが、あっちで「なーに考えてんだ バ〜カ」
     と、僕の噂をしたのかもな
     ポリポリと頭を二回掻いて   
     僕は風と逆方向にまた、歩き出した

   街にはもう、春風が吹いているのだろう  春のにおいがする