大気の澱が 朝の底に 沈んでいる
かき回さないよう そっと ドアを閉めた
割れていない水溜りはどこ
並木道の真ん中
あった あった
ねじ回しはどこ
右のポケット
あった あった
くるくると ねじ外して
指先に 赤い色のねじ
そっと しゃがみこんで
切っ先を水面に差し込んだ
手を放すと 落ちていく
螺旋を切りさき くるりくるり
透明な中 こつんと震えて
ねじが
砕け散る
これでいいのかしら
君の真後ろ
あった あった
黄色いスクールバス
飴玉はどこ
左のポケット
あった あった
飴玉を車掌に食べさせ
受け取ったチケット
席に座って
半分に千切る
軽くなっていくバスが
大地から離れるのを待った
ぷつん と
私の家はどこ
その窓から真下
あった あった
もう見えるかしら
君の真後ろ
やっと あえた