Flying V3

「兄いっ」
「まだ寝てるんだ、見ればわかるだろ」
「一階でラジオつけたんですけど、これはもしや」
「ん？　おお、ピレネーあたりのあの音じゃないか。なぜもっと早くいわん」
「だって寝てたのは兄いじゃないですか」
「ばかやろう！　横になって考えごとしてただけなんだよ」
「だって布団が動かないので」
「眠りこんでるもんだと思い込んでしまうのが、馬鹿だというのだ」

夢を追いこせ。

「こんな説があるのを知ってるかい」
「なんでしょう」
「西郷が竜馬にこっそり忠告を与えた言葉の中にだな」
「幕末ですか」
「竜馬が殺られる少し前だ。竜馬はいつ暗殺されてもおかしくないほど」
「といえば、大政奉還やっちゃった後ってことで？」
「らしいな。西郷がいうんだ、おはんを狙うとるのは幕府方だけとは限らん」
「ということは、薩摩や長州、その他の味方の中にも…」
「西郷は付け加える。おはんのいる土佐かもしれん、とな」
「…！」
「かわらんもんだ、世の中ってのは。お、おい、どうした？」
「ちびりそうな話なんで…」
「はっはっはっは、いやあ、それだけはないな。心配ゼロ以下といっていい」
「なんで？」
「お前さんが標的にされるなんてのは、鬼ごっこか隠れんぼくらいさ」
「──」

田打ち終え入り日窓辺に居候

ボクの手のひらの裏側まで這いまわる蟻

茶壷をとリクエスト受く手にも春

女とてよその女の腹知らず花見日和の珍道中

論理死す次は倫理も白茨

ここは今から俺のスレだ

俺以外の奴は書き込むな。

書き込んだ奴は無視する。

右に串左にジョッキ数珠つなぎ

とつぜんですが、お知らせです。
創作文芸板において連載しておりました、「わかりやすい短編集をつくろう」
のアドレスをふたたび変更することになりました。下記の通りです。

http://book2.2ch.net/test/read.cgi/bun/1069555800/l50

なお、さっそく、過去の書き込みを連載物のあいだに貼付けて「邪魔」をして
いるX氏がおります。したがって「わかりやすい」はずのものが、場合によっ
てはたいへん「わかりにくく」なっている部分があります。
とはいえ、毎回たのしみに続きを待ってくれている方々もおられますので、タ
イトル通りとはいかなくなってくるかもしれませんけれども、書き込みはこの
まま継続させていただきたいとおもいます。　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　敬具

子らのこえ表通りをはずみつつ

どんみりと降らむ顔なる西ひがし

田楽にすだちほんのり茶の時間

鬱ひとり操作むなしも春の宵

呼び声の残りの土と戯れに

行けば月の光冴え見ゆる

「おい」
「わわわっ」
「いつまで起きてるんだ。明日は定休日だからと」
「子供のころのくせでして。すずめ百まで踊り忘れずって」
「そんなことより」
「何か」
「いまうしろに何か押し込まなかったかい」
「へ？　目の錯覚でしょう、きっと」
「出してみろ」
「うう、う。はい…」
「いい年齢をして」
「すずめ百までって」
「シール集めたりして」
「ほっといてください。兄いだって、子供のころはなんか集めたりとか」
「はんだゴテでラジオ作ったりしてたぞ。パソコンはマイコンと言った」
「えっ、自分で作ってたんですか？」
「ラジオはな。ヤンタンという番組があって」
「知ってます！　ええと」
「あ〜い〜や〜、とかな。知ってるか」
「えええ!? 兄いが深夜ラジオを…」
「ただしそのまえに、本も読んではいたさ」
「たとえば」
「ファーブル昆虫記」
「意外ですね」
「ついでにシートン動物記も」
「これまた意外」
「さらに図鑑の類を繰り返し」
「へえぇ」
「そんなわけでな、夜になると」
「なると？」
「逆に目がさえてくるようになった。で、今もって困っているというわけだ」

綿貫きて鉢土戻せば月夜かな

春には春の落葉照らせる

常磐なる木ならねども夜更けては川のおとにぞ心洗わる

最上川ならねど明日の朝早し

http://ime.nu/www.axcx.com/~ponpoko/music/09/her_another_world.mp3

とうとうとおそれていた真昼

「兄い！」
「何だ」
「本格的に戦争みたいですよ。仁義もへったくれも」
「とうの昔にわかっていたことさ。何をいまさら」
「でも」
「おれはいま絵葉書を書いてるんだ。ぎゃあぎゃあ騒ぐでない」
「すいません」
「人の話に耳を傾けようとせんから、こうなる」
「はあ、でも、あっしに云われても」
「そうさ。そういうことだ。こんな言葉、知ってるか？　おれが満一歳の頃だ」
「なんでしょう？」
「こわがらずに─」
「こわがらずに─」
「もっと早くに会って話をしておけば、こんなことにはならなかったのに」
「だれが言ってんです？」
「大学教授だよ、当時、現場にいた」

本棚の整理もふいに陽の翳り

陽かたむき轆轤は廻る轆轤を廻す

いや懐かしいサビの転調われは珊瑚の世代なれども

あちこちで仕掛けまくってきた此の身まずは中から喰い破るべし

夢かもと暖簾をわけて仰ぐ空

蜘蛛の糸とうの昔の破れ垣

ひらふろう一本桜しじみ汁

「兄い、ちょっと聞いていいですか」
「ん？」
「ゆく河の流れは絶えずして、というフレーズなんすけど…」
「ああそれな、人間関係のことさ」

「兄い、またまた聞いてもいいですか」
「これから土いじりなんだが。早くしてくれ」
「しきい、というのは高くなったり低くなったりするものなんでしょうか」
「たいていは景気と連動してるもんだ。文化論的にはホイジンガもいってるが」
「ホ、ホイ？」
「境界線は動く、と」
「あっしにも、わかるように、出来れば」
「自尊心を捨てざるをえないほど景気が下がれば、しきいも下がる」
「じゃあ安心して、気軽に、素人さんでも入れるんですね」
「だがな、いったん景気が回復すれば、とたんに元に戻る。善くない癖だな」
「景気といっても、今はまだ…」
「不安定だな。しかし地域限定で回復しつつあるところもないではない」
「上げたり下げたり、しきいって、いそがしいんですね」
「上げる場合はな、よほどの慎重さで配慮したほうがいいと思うよ」
「なんでです？」
「周囲や素人さんから見れば、結局、自分達はいいように金持っていかれたと」
「そんなふうに思うものなんですか」
「思うって？　それで滅んだ王朝なんて数千年以前から世界史には五万とある」
「へえ…」
「お前さん、ついこのあいだ貸してやった本、読んでないだろ」
「あっ！」

ひとまたぎミスディレクション広聞天

ストレスは御山に向けて太鼓打

よせてはかえす碧のみずうみ

かにかくにご近所様にはバレまくり

笛吹きママチャリ書一冊

とつぜんですが、陶器づくりの白鑞金からお知らせです。

品物は、通りから見えるウインド越しに並べて、花を生けています。

一品=１０００〜３０００円（消費税込）。

それ以上になる品物は、いまのところ店頭には置いておりません。
さらに、現在製作中のものも出来上がりしだい、順次ならべていく方針です。

この場におきましては、初めてのご案内になるかとおもいます。
皆様なにとぞ、よろしくお願い申し上げます。　　　　　　　　　　　敬具

ますぐなる田打ちのあとを眺めおり

凪の浜ひとりたれをか待ちわびん夕くれないに染まる白菊

「どうした？」
「あのぅ、今晩はどうもそのお」
「おれはこれから副業の副業のそのまた副業ともつかない土いじりなんだが」
「お邪魔しました。すいません」
「で、用件のほうは？」
「こわい映画を見てしまいまして、一人でトイレに行けそうにないという」
「ああ、あれね。V字のポスターが超印象的だった。おれが小学三年の頃だ」
「知ってるんですか」
「ともかくトイレくらい、一人で行け。すこしは年齢を考えろ」
「そんなあ、つ、つめたい…」
「八甲田山 死の彷徨というのを知ってるか？　ミステリじゃないがな」
「どうなんです？」
「もっとつめたい。なにせノンフィクションだからな」

舞いのM迷宮のMまろびつつ

このスレ終わらせてから次のスレを立てたらいいのに…
次のスレを立てるの早すぎたんじゃない？

スレ間違えたｗ
それにしたって一言名言３ってまだ９０５じゃん…

わたくしめドン・ジョバンニはレコード育ち

トリスタンねばりにねばった巨匠かな