〜〜詩で遊ぼう!投稿梁山拍 10th edition〜〜
犯した罪に気付いていないかもしれない
それを否定せず認めずただ耳と心を持っている
彼の血飛沫と私の痣がか
彼女の悲鳴と私の溜息がか
隣人は殴り返される瞬間を目撃した
もしも罪とやらを
誰かによって突きつけられたとしたら
認める可能性よりも否定する可能性のほうが幾分でも高いような気はする
だろうね、という相槌は
結果いつも私が動き描いた波線の延長上に
何てこと
裁きのための裁きが始まる
舌で溶かし始める黙秘権
懇願と暴力で掲げる降伏
最初の裁きは見据える的もなく
次の裁きに現れるであろう罪とやらは、まだ控え室
今ならまだ言っても良いのだろう、私の貴重な時間をどうしてくれるとか尻が痛いとか
その頃、罪とやらは控え室でシルクの布に覆われ
いいえ私は覆われて此処まで連れて来られたので
いいえ覆われているのは罪とやらなのか私なのか私には分からないのだけれど
怯んでいるからでもなく盲の唖だからでもなく
知らぬまに胸が張っている
今ならまだ良いのだろう早くしろと催促しても爪で机を叩いても
罪とやらが聴衆の前に現れ、下手は悲鳴が上がり
それを信じるとすれば、覆われているのは私なんだろう
いずれにせよ覆いは剥がされぬまま、最初の裁きは始まった