279 :
鍵卍:
「唾棄」
パーラーOMEGAの路地を走るコバルトクロムのブタを
追い駆ける幼稚園児キヨタキヨハル君は養子縁組でバラ組
水洗トイレの清掃アルバイトをするキヨタキヨハル君の母は処女
管理職中年男性に尻を売りながらデッキブラシで秒数を刻む
トイレには長い列
最後尾で「なんて歴史!この歴史!」って歌うチンドン屋さん
その横を走り抜けていくコバルトクロムのブタとキヨタキヨハル君
アンモニアが沸騰する真夏の下水路では
生ネズミを食い漁って生き延びる黒髪の婆が居る
流れてきた糞も少し食う
新聞紙も靴底のゴムも食う
いつか地上に出られると信じていればこそ
婆のレジン義歯の透きっ歯から生ネズミの尻尾が逆時計回り
その横を走り抜けていくコバルトクロムのブタとキヨタキヨハル君
記念碑モニュメントの影時計を目指してアベック達が集まる
影の先端とモニュメントの心が重なれば
辺りにモザイクが立ち込めて凡そ真昼間に抱かれて生き返る
その横を走り抜けていくコバルトクロムのブタとキヨタキヨハル君
真昼間に飲み込まれた平屋の若い娘が
庭いじりを楽しみながら空色なんか気にしちゃって
あんぐり口開けて青天井見れば雨漏り飲んでウガイ
その横を走り抜けていくコバルトクロムのブタとキヨタキヨハル君
養豚所に突っ込むコバルトクロムのブタ
糞にまみれてコバルトクロムのブタ
コバルトクロムのブタにキヨタキヨハル君が唾を吐く