〜〜詩で遊ぼう!投稿梁山泊 9th edition〜〜

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756〜消えかけた文字をたどりながら〜
消えかけた文字をたどりながら
昔々を思い出している
青くて幼い果実たちが
弾け飛びそうになって騒ぎあった、あの日々を

ほんのり色づき始めた
夕暮れの色と木々の色
果実は恥ずかしそうにうつむいて

朝露は優しく
火照りを冷やしてくれた

夜も嵐もじっと耐え
木の下に立ち止まる人が現れるまで
季節は寒くても
内側から赤く
赤く赤く太陽よりも赤く

小鳥たちと笑い合い
果実たちはまだ知らなくて

落ち着いた日々には
安らかでささやかな幸せを
果実たちはささやき合う
ゆっくり過ごして
ゆっくり過ごして
深く考えて静かに笑って
果実たちは濃く
消えかけた文字を
楽しそうに振り返る
757he World of Wine [1] 〜星葡萄〜:03/11/18 00:28 ID:SgmAgEvd
フランス南部の初秋の夜中
葡萄畑に星が落ちた

葡萄はワインとなり
涼しげな眠りの時を過ごし
今 目の前に置かれたボトルの底
澱の中に星屑が見える

恵みが染み透る
星の眠りが広がっていく
遊覧船の如く地球を周遊する

想像してごらん

と ジョン・レノンが言った
758The World of Wine [2] 〜羊〜:03/11/18 00:29 ID:SgmAgEvd
そのようにしてその子が羊の絵を眺めている間
僕はワインのことを考えていたのです
===============================

 葡萄の匂い
 祖国の香り

 不帰順族とも砂嵐とも無関係の
 水と緑と羊の楽園
 故郷の娘達が秋の葡萄を摘んでいる
 それから僕に自慢のワインを運んでくれる

 飛行機が直って文明に戻れたなら
 一番良いワインを一本開けてしまおう

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「僕が欲しいのはこんな羊じゃないよ」

とその子が何度も言うので
僕はワインセラーの絵を描いて渡しました
759The World of Wine [3] 〜村祭り〜:03/11/18 00:31 ID:SgmAgEvd
♪1ガロンの唄♪


樽を廻せ

ワインを注げ

足踏み鳴らせ

陽気に踊ろ

日々は過ぎ行く

人は老い行く

今を惜しめよ

輪を作り唄おう

ワインを1ガロン

村を満たせよ
760天色ワイン:03/11/18 22:14 ID:yID1u30s
神のワインは
天の器に注がれた

人々の眠りは
夜のワインを熟成させて
紫紺の深みに透き通る

朝の目覚めに
昼のワインは鮮やかに
青く蒼く染み渡る

濁ったワインは落ちてきて
大地の中でろ過される
光があたって七色にキラキラ輝く不思議なワイン

人には飲めない神のワイン
いつかは神が飲み干すだろうか?


コルクがスポンと抜け落ちて
大きなクレーター残していった
空色ワインはこぼれ出し
神はどこかに去っていった

神のいないその星で
大きなトカゲは滅んでいった
ワインは徐々に創られて
神はここに戻ってきた

人には創れない神のワイン
いつかは神が飲み干すだろうか?
761赤ワイン:03/11/19 00:24 ID:nlkfoNmN
外にはいろいろ見える
黒い男の人 黒い女の人 
夜の窓 天の川が地に移った町
外にはいろいろ見える
口を忙しく動かす男と女
なんかいか僕は女に乱暴に口付けされた
外にはいろいろ見えた
男も女もいなくなる 僕はすこし残っていた
762天狗の鼻:03/11/19 01:24 ID:1sWMx/HD
3年ものの恋 である
初めは緊張して何も喋れなくて
やがて仲良くなっていくと
ああ、多分あの緊張は人見知りからくるものだったのかと
何故そう思ったのか知らないが
話は展開していってしまって
一度二度三度別の恋にそれる

一般道から高速道路へ上がったとき
どうしても僕は開放感から
スピードを上げすぎてしまうらしい
あっという間に目的地についてしまって
そうしてすることは何も無い
何度同じことを繰り返した事かしら

拘束道路から一般道に降りると
やはりそれは慣れからか
制限速度をオーバーすることばかり
かと言ってパトカーが僕を咎めてくれないのは
僕が要領がいいからではなくて
僕を気にも止めていないからだった
天狗はもう押さえが利かない
少しずついや大胆に
僕は変わってしまった







763天狗の鼻:03/11/19 01:25 ID:1sWMx/HD
それでもと思う
三年ものの恋 である
思い出の奥底から大事に取り出して
じっくりと眺めてみる
ボトルにいやらしく彎曲した僕の顔
僕はそれをもう一度
そっと奥底にしまいなおした

と書けば聞こえはいいが
その実相手にされなかっただけ
彼女は高嶺の花になっていくばかり
すみませんでしたさようなら
ただこの赤いシミが
いくら洗濯してもとれない
開けてもいないのに
情けない男
764名前はいらない:03/11/19 01:55 ID:0V3BB4lO
 お題がワインだと、軽快な作品になってますねぇ……みなさん。
 さて、……どうなるのやら吾が作品は……それにしてもみなさんお上手ですねぇ
765青い日1:03/11/19 08:53 ID:nSKqBPqA
僕はゆるされるまで
畳に正座していた
父は穏やかな目をしていた

僕はゆるされるまで
畳に正座していた
父は疲労に満ちた目をしていた

僕はゆるされるまで
畳に正座していた
父は魚の目をしていた

僕はゆるされたので
畳に直立した
父は動かなかった
766青い日2:03/11/19 08:53 ID:nSKqBPqA
壊れた膝から
赤ワインが 大量に
溢れ出した
僕は脛を噛じるように
夢中で赤ワインを飲んだが
間に合わなかった
畳を這って広がった

これ あかい なぁ 
これ おもしろい なぁ 
これ なんやろ かぁ
なぁ おとん おきーや 
おもろいでぇ? なぁ なぁ!!

硬直した父は そのまま
さらさらと
夕暮れの生ぬるい風に吹かれて
とんでいった

平坦に広がる赤ワインの上に
僕は佇んでいた
母が帰ってくるまで
767一滴喫茶:03/11/19 14:24 ID:GerkB5vl

 舌を出すのは酔うためだ
 世界と、声がうざったい
 喧嘩なんてしねえよ
 眠るためにやってんだ、全部
 どんなものでも、その一滴を
 見える速さで地面に向かう一滴を
 遮って
 殺せたら快感だろ
 アスファルトで足踏みする
 葡萄を、殺さなきゃだめなんだ
 喧嘩じゃないんだ
 眠るために
 眠るために
 みんなみんな殺すんだ


768ワイン旅行:03/11/19 21:47 ID:nNF57dMu
ガラスに注がれた血を見つめて
その世界への準備を確かめる

1・バスロープでラクに
2・適度な音量でジャズを流す
3・明かりは部屋全体が暗めのオレンジになるように

1息ついたら
テーブル越しの いもしない最愛の君と
乾杯をしたら 旅立とうか
769負け犬のワイン:03/11/20 01:20 ID:t6fNy5Hv
今日は俺の誕生日だから 洒落た事がしたくてね
いつもは焼酎飲んでるけど 今日はワインを飲もう

適当な近所の酒屋に行ったら 酒屋の親父がソムリエ資格もってて
しゃらくさい薀蓄を垂れ流すから 俺は言ってやったよ
「赤の、一番安いの下さい」

ワインだけ買っても肴がないとね
ワインに合う食い物は チーズしか知らないから
スーパーで安売りのプロセスチーズ 一袋買って帰った

帰ってから気づいた 家には栓抜きがないんだ
仕方ないからマイナスのドライバーで コルク栓を破壊することにした
コルクのカスが浮いてるけど 一応栓は開いた

ワイングラスもないから いっそのことラッパ飲みするか
一口含んではコルクを吐き出し プロセスチーズで渋みをごまかし
旨くも何とも無いけど

ボトル1本で泥酔して 喉がコルクでいがいがするけど
飲み慣れない酒飲むもんじゃないな もう意識も白濁してきて
散乱するチーズの包装紙 空のボトルを抱きしめて
ああ、歳取ったよ、とつぶやいて
独り、寝る
770マリッジブルー:03/11/20 01:37 ID:k7KuDC5F
P1

私は昨夜、
初恋の人と再会した。

がらんどうになった心の中を、
しくしく涙で埋めていた夜に。

意味もなく、

どうしようもなくただ切なくて、

町の明かりも乏しい窓の向こうに、そんな夜に、


ふと彼は現れた。
771マリッジブルー:03/11/20 01:38 ID:k7KuDC5F
P2

何から思い出しても、頬が赤らむようなことばかり、

少しは私も大人になったところを見てもらいと思ったた。

彼はあの頃の瞳のままで、
いつからか遠く離れてしまったものを、

記憶の隅から
次々と引き出して来る。


772マリッジブルー:03/11/20 01:39 ID:k7KuDC5F
P3

私は思わず、
すっぴんの顔を手で覆った。

それから丁寧に
お化粧をして、
純白のドレスを着た。

せめてもの強がりにシャンパンを
あけて、もう一度、頬をルージュに染めて魅せた。


773名前はいらない:03/11/20 01:40 ID:LqWn158a
投稿者は審査を必ずするって、どう?
774マリッジブルー:03/11/20 01:40 ID:k7KuDC5F
P4

く ら
...く ら と



グラスに 微睡む思い出は、
夜の淵へ

深く落ちていく‥

‐‐‐‐

朝、頭痛と目覚めた。

鏡の前には、
空っぽ
になった瓶と、
グラスが
‐ひとつ‐
転がっていた。


計4P
775名前はいらない:03/11/20 20:48 ID:UaSrm6wW
お楽しみのところ大変申し訳ないですが
そろそろ次スレたてるべきかと。

776ワイン行進曲:03/11/20 21:49 ID:Gse49BWQ
飲まなければ 手が震え
飲みすぎれば頭が痛い
適度適度と言い聞かせ
反省しまくり グラスさん

常連の店は ブスばかり
初めての店は ボッタくり
行くぞ行くぞと 挑戦し
後悔しまくり グラスさん

行かなければ 店の子からの電話
行ってみれば 他の客の相手
ハメるぞハメるぞ決意して
失敗しまくり グラスさん

諦めようと 二度あることは三度ある
諦めるなと 三度目の正直
どっちだどっちだ 正解どっち
自問自答の グラスさん

金がないから 昨日はビールと決意して
金があるから 今日はワインと決意して
飲むぞ飲むぞと 浮かれてる
突撃あるのみ グラスさん
777中和する世界 1:03/11/20 22:08 ID:XiFvUUdM
マッドスクリット通り
地区150年のアパートの405号室
煙草を吸った

むかつく煙を赤ワインで中和させ
いい感じだ
長くは続かなかった
繰り返す後悔と期待
長くは続かなかった
それでも繰り返す
この調子で行け
もうやめにしたい

くだらねーか?

音楽がうるせー
うるせーんだよ
もう効かねーんだよ
誰か音量をしぼれよ
778中和する世界 完:03/11/20 22:09 ID:XiFvUUdM
彼女が出ていったのは俺が眠りから覚める5分間
5分間
俺は身動きがとれなかった
とらなかった

うるせー
そんな女いねーんだよ

あと少しこのステレオが俺を苛立たせてくれたら
毎晩バカ騒ぎしてる隣人と、密かにこの部屋を盗聴している大家の頭をライフルでぶっ放して
やっとこの部屋から出れるのにだなんて妄想
くだらねえなぁ

世界が中和しているから悪いんだ