〜〜詩で遊ぼう!投稿梁山泊 9th edition〜〜

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756〜消えかけた文字をたどりながら〜
消えかけた文字をたどりながら
昔々を思い出している
青くて幼い果実たちが
弾け飛びそうになって騒ぎあった、あの日々を

ほんのり色づき始めた
夕暮れの色と木々の色
果実は恥ずかしそうにうつむいて

朝露は優しく
火照りを冷やしてくれた

夜も嵐もじっと耐え
木の下に立ち止まる人が現れるまで
季節は寒くても
内側から赤く
赤く赤く太陽よりも赤く

小鳥たちと笑い合い
果実たちはまだ知らなくて

落ち着いた日々には
安らかでささやかな幸せを
果実たちはささやき合う
ゆっくり過ごして
ゆっくり過ごして
深く考えて静かに笑って
果実たちは濃く
消えかけた文字を
楽しそうに振り返る