◆◆◆「三十の夜」 ダメ人間の詩◆◆◆

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深夜 へべれけに酔って
知人宅を訪ねた
側溝に転びでもしたか おれのからだは
きたならしくぬるついて
なにやら歩き渋っていた
脳が知らないことを
足は知るかのように

足よ おまえは正しい
最近とんと連絡も返さない
あのひとに
管理の行き届かぬからだを見せて
驚き叱ってもらいたかったのだ おれは
なにをしているんですか
だいじょうぶですか
しっかりしてください


かなくさい手に合鍵をにぎったまま
あのひとを呼んだ
がらんどうの部屋に
しおたれたおれの声が不恰好にころがり
最初から無かったみたいに
すぐに消えていった