「矜持」
声を聞いて欲しい
そうして認めて欲しい
あなたにこの声を。
私は 自分の声を 酷く歪んだものだと 自負してやまない
そういった時期がありまして
つらつらと 連なる言葉の かずかずで 満足し
月に手を伸ばすだけで 日々 ないものねだりで
押し殺した声を 想像だけで 良いものだと
更に褒めた声が一声あがれば それで 良いものだと
ただ、たんに 良いものだと。
何処までも限りなく「こんな感じだ」と思うだけ 小さじひとつ分にもみたないと思っていたものが
いつの間にか頭の片隅から広がって つまさきまで覆われるように
私はいつも 微笑んで
そうしていれば 良いもんだと 常々思っていたものが
がらがら とコンクリが欠けた石頭が溶け 中からたくさんの声が出て行く