★ 喫茶「迷える詩人」弐号店 ★

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遊び道はとっくの昔に消えていて
触覚だけが無限に伸び己の影に驚く黄昏

ガラス細工のように脆く
透き通る夏の匂いは何時も切なく吹き続ける

いつもと違う町並み目印は消されているが
錆びた鎖を引きずる犬とおどる蚤が
何度も何度も私の股を通り過ぎて行く

夏は繰り返されるがいつの世も想い出は薄く折れ
溶けては消える霜のように音も無く