真夜中のポエムU

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20阿麻
>>19の、改作

「立つ鳥跡を濁(にご)す」

この町にひっこして はじめて出来た友達が
夜の公園のベンチで 一緒に腰掛けてたとき 
地面をみつめながら、つぶやいていた言葉がわたしの耳に残っている

「このずっと下の方にね、毒が埋まってい」
いまだに その響きを失わぬまま

かつて 「工場の町」と呼ばれるほど林立していたプラントが、かずかずの
危険な汚染物質をのこして移転していったのだという

危険!/立ち入り禁止!/六価クロムに汚染されている可能性があります、遊ばないで・・・/
立て看板にそう記された 沼地があって
「小学生の頃わたしたち平気で泥まみれになって遊んだの、大丈夫かなあ」と笑って話す友達。

高層住宅が立ち並ぶこの町。アスファルトの下、地中の奥深くに隠された六価クロムと
夢の島公園の、建造の理由として、地中深くにねむる、数え切れないゴミが
再びその毒々しさと悪臭とを 人々の前にあらわす日が 
来ることの できないように。

きょうという日をわすれて しまわないように、
刻みつけよう どんな刻印よりも深く。たましい、の、奥深く。