あなたの詩にストーリーを。

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167「月」の逆位置 ◆rAprrpGEjE
ふるさとの夕暮れに
影は伸びて
見慣れた道の電柱に
背中を預け
帰り道を走る子どもの足音を聴く

一日の記憶をカバンにつめて
重い足取りで辿った帰路は
小さな小石も腹が立ち
コンクリートに打ち付けて
浮かんだ記憶を踏みつける

どうしようもできなかった
愚かさと言い訳で固まった
岩の彫刻の群れ
目をそらすたびに
責任を押しつけるたびに
誰も知られずに置かれる

一人で見送る夕暮れは
紅く染まって地に落ちる