『 日曜の仕事 』
鳴らない目覚ましにも起きてしまうこと
二度の朝寝を つづけるということ
きっちりとした朝ご飯を抜くこと
朝でも昼でもない遅い食事を
ゆっくり食べるということ
晴れでも 雨でも
窓の すべてを開けること
風の通り道を つくるということ
留守電のメッセージを確めないこと
今日は日曜、と頭の中で書いてみること
ハノンを一から 弾き通すこと
無意識についた癖を捨てること
公園や犬の声に 目を伏せること
あらゆる時計に目を向けないこと
夕焼けの色に 突然驚くということ
夕の仕度を急がないこと
風呂の湯を たっぷり張ること
郵便受けは もう見ないこと
日曜日だけ お店を飛び出し
通りで売りに回るお豆腐屋さんの
帰っていく音を見送ること
とっぷりと とっぷりと
とっぷりと
失くしたものは 探さないこと
忘れられるのだからいい ということ
寝る前には 目覚ましをセットし直すこと
明日また 月曜から始める
…… ということ