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116 ◆75PSbtSdd2
『白紙』

残そうとする
そのそばから
逃げるように

存在は
永遠にも似た時間の中で
瞬間の
その一欠けをも満たさぬ微細

滑り落ち

どんなに強く筆圧を込めようと
形跡のみ
薄く、浅く

かすれゆくインク

それを目の前にして
力無く

深く
焼き付けようとしながら
俯瞰

その表面をさすり
せめて感触だけを掌に、と
願うのも束の間

裏返し、伏せてはまた

白紙