【終わりのひとつの情景】
紅茶なんか飲んでやらないよ
君は渋い顔をして眉毛を抜いてる
橙の月が満ちて柑橘が薫った
誰かの詠んだ世界がそっぽむいてる
いいから笑えよ
その方が認知しやすいんだ
脳細胞の電気信号に還元しやすいって云うと
君は目を白黒させる 見事な01さ
僕はヒースも荒野も見たことないから
赤いドゥカティ磨いてみるんだ
ゆがんだ君の右手が空に映えてる 真っ赤な世界
ユングの観た太陽が光ってる
ぶらんぶらんと長いペニスを揺らし
僕らになまぬるい風を吹きつけている
黄色い空によくあう
カモミールティーを飲んで
ゆれる白いカーテンを閉めたら
ほらもう何も聴こえやしない
ほこりまみれの手を洗って
それから
ハツカダイコンかじって
よじれた敷布で
創世ごっこ
きっとコンビニのシフォンケーキみたいに
まあいっか
みたいな
かんたんな甘味と
それなりのやわらかさで
どっかのねじが
少しずつ変わってゆくんだろう
そうしてゆっくり回転
とめてゆくんだろう
オレンジマシマロの甘みの向こうで
期待している頽廃風味
デカダンにはほど遠い胸やけを
泥水で消したいんだけど 在るのはカフェオレ
オレンジの香味が地平に消えたら
牛乳ひげ拭いて立ち上がる
アクセル踏み込み
直線ずぅっと ぶっとばしてんのに
光る雲の配列パターン 変わりゃしない
鳶が進みもせず 落ちもせず
高くはなく低くもない空間にひっかかって
中ぶらりんのモビールになってて
嘴のねもとにじわり脂汗うかべてら
いつのまにやらパターン変わって きいろい青空広がって
唾液風味のガム噛みながら僕は気付く
世界はどうやら終わってたみたいだ