〜oreは死人〜 

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125大木人
駆逐艦がやってくる三ヵ月前に私は生まれ
その二ヵ月後に街は焼夷弾に焼かれた
駆逐艦が来る前に戦争は終わり駆逐艦のかわりに輸送船がやってきた

飼い犬が庭に埋められるのを見ながらパラオの豪雨を思い出した
埋められもせず雨ざらしにされた骸が匂ってくる

私は読み書きを覚え天井の雨漏りを百まで数えた
生と死の間には夜があって
その間に人々は逃げ場所を捜しているのだ

その二ヵ月後に死んで
私は意味もわからず葬列に加わった

煙は真っ直ぐに立ち上り
ただひたすらに秋だった