1 :
だぶだぶさん :
02/10/16 20:56 ID:ZwKtghIY 初めまして! 僕は40歳のおじさんですが、ポエムを書くのはじめてです。 ここにはやさしい気持ちのいっぱい詰まった 素敵なポエムが載ればいいなぁって思っています。 それでは、おてやわらかにね!
2 :
名前はいらない :02/10/16 20:57 ID:6xz+iV7a
2げと!
3 :
だぶだぶさん :02/10/16 21:00 ID:ZwKtghIY
「好運なねこ」 僕は飼いねこ でもそれは今夜までのこと 明日にはこの町を出て行くのさ べつに飼い主が 嫌いなわけじゃない ただ僕の希望は生命を越えて なんとかなるさ 僕は好運なねこ ねぇ 可愛い君よ 待ってておくれ きっと会える ねぇ 顔もまだ知らない君よ 僕は好運なねこ きっと会えるさ
4 :
だぶだぶさん :02/10/16 21:01 ID:ZwKtghIY
「いつか会いたいね」 君の栗色の髪 素敵 僕の子供でもおかしくない 年齢 いつか会いたいね 恋人同士で どこにいるの?
5 :
だぶだぶさん :02/10/16 21:05 ID:7s3IfXoZ
「夜はもういらない」 彼女が 夜の中で 呼んでいる どうしても 行かなくてはと 声がする 僕の後ろのほうから 声がする まるで 偉大なる老婆のような ダミ声で 僕の足をだだだと駆けさせる 救いを待っているんだね 今行くよ 夜は暗くて何も見えない あまりにも暗すぎて 顔が 見たい
6 :
だぶだぶさん :02/10/16 21:06 ID:7s3IfXoZ
次はちょっと本格的なのを書いてみます
7 :
だぶだぶさん :02/10/16 21:09 ID:OPfPL+vw
「素直にやさしく」 舞い降りた木の葉を 水面が助ける そして 湖は 岸辺に運んだ 不思議だね やさしさは どこから涌いてくるのだろう? こんなやさしさを 君にも あげられたら いつでも僕は迷わせてばかり 君はひとり 木の上で眠る 口で言うほどたやすくはないね 「素直にやさしく」できたら・・・ 「ごめん」は言わずに
8 :
だぶだぶさん :02/10/16 21:10 ID:OPfPL+vw
どうでしたでしょうか? 感想、お待ちしております。 みんなの詩も見たいな! 僕のやさしさがみんなに伝わりますように。 それでは、また。
>>1 何を伝えたのか、僕にはわかりません
でも、語彙は豊富なようですから、いろんな人の詩を読んで、精進されると良いと
思います
(は?まさか、僕は釣られちゃった魚ちゃんだろうか……)
10 :
だぶだぶさん :02/10/17 21:10 ID:ugULUP/Q
>9さん 初めて書いたんだから、大目に見てよ〜 アドバイスありがとう。ガッツだぜ! 最後の括弧の中身がポエムな感じでいいですね〜 みんな、恥ずかしがらずに、もっと書いてよ!
11 :
だぶだぶさん :02/10/17 21:11 ID:ugULUP/Q
新作行きまーす 「夜の旅人」 夜の旅人は 何処からやってくるの? 夜の旅人は 寂しそうにギターを弾くよ 枯れ葉舞い散る道を渡って ルルルと彼がやってくるよ 頑張れと一言 頑張れと一言 なぜ君は言えなかったの? 夜の旅人は 恋人を探してる 夜の旅人は 次の町へ行く 素敵な朝が見つかるといいね
12 :
だぶだぶさん :02/10/17 21:11 ID:ugULUP/Q
どう?感想ほしいなー
13 :
だぶだぶさん :02/10/17 22:13 ID:XHobgZ3O
「向こう側へ突き抜けろ」 お前のハートに火をつけて 向こう側へ突き抜けたい ああ秋だ 俺は旅に出よう 俺の女を探しに行くのさ きっとカーニバルが待っている きっと町ではカーニバルをやっている 一緒に踊ろうぜベイビー 出会った瞬間からお前は俺のもの (今度はロックなのを書いてみたよ! 僕はKISSとか大好きなんだ)
14 :
Mana魔名 :02/10/17 23:10 ID:ZlIEYCR+
やさしく撫で上げた髪の束が落ちる瞬間 さわやかな気持ちとゆるやかな美学 しずかな湖に沈んで海流を抱き抱える いろいろと考え いろいろと捨て 風に消えた想いをかき集め にわか雨に濡れて雑踏に転がりこむ さみだれの思い出に悩み事を重ねては そでを捲って薄まる悩み事を連ねては わたしの心は真紅の嘆きに染めてくれ れいりな振りで白い吐息を掴んでみたら てれ屋の彼が天空の城へ旅に出た去年の秋
15 :
名前はいらない :02/10/18 00:43 ID:AIYy4aL1
>お前のハートに火をつけて >向こう側へ突き抜けたい The Doorsですか? リアルに40歳?
16 :
まーじ ◆W7.CkkM01U :02/10/18 00:47 ID:sV3S4qSv
なんでドアーズにはベースがいないのだろう
17 :
だぶだぶさん :02/10/18 16:02 ID:kJobLt8L
>14マナさん、どうもありがとう! 女の子?なのに難しいポエムを書くんだね。 そういうの、いいと思うよ! 一番最後の「てれ屋の彼が〜」ってのがすごくいいと思った。 また書いてくださいね!
18 :
だぶだぶさん :02/10/18 16:03 ID:kJobLt8L
>15 そうです。 でも、歳より若く見られるんですよ〜 この間まで「お兄ちゃん」って、近所の子供から言われてましたしね〜 >16 どうしてなんでしょうね? アルフィーやグレイにドラマーがいないようなものなのかな??
19 :
だぶだぶさん :02/10/18 16:04 ID:kJobLt8L
「あなたのポエムを載せてください」 かなしいひと くるしいひと つらいひと うれしいひと たのしいひと しあわせをもとめるひと このやさしいばしょに ポエムをおいていきませんか? きっともっと やさしくなれるとおもうんだ
20 :
だぶだぶさん :02/10/18 16:06 ID:kJobLt8L
僕はまだまだヘタだけど、みんなに刺激されて もっともっとうまくなりたいと思っているんだ。 みんな、書いてよ。 一緒にやさしくなりましょう。
21 :
Mana魔名 :02/10/18 16:21 ID:DaGHl1L+
23 :
だぶだぶさん :02/10/18 21:13 ID:AqNf8MDM
>21 え。男なの? うーん。マリスミゼルのリーダーみたいな人なのかな〜? 正直、君みたいな立派なポエムは書けないし、 僕はここでボチボチやっていこうかな〜とか考えてます。 自信がついたら、そっちへも遊びに行きますね!
24 :
だぶだぶさん :02/10/18 21:14 ID:AqNf8MDM
「怒れる拳」 この拳は 君のため 震える拳は 正義のため 固い拳に 何が見えるかい? 君を守ろうとする 優しさなんだよ もう君は泣かなくていい もう君は泣かなくていいんだ だってね この拳が暴れまわって 君を泣かせる悪を滅ぼすんだ
25 :
だぶだぶさん :02/10/18 21:14 ID:AqNf8MDM
みんな書いてね。 どんなポエムでもいいよ。 感想、書きます。
「夜道」 さっき 夜道を散歩してきた 一匹の白い犬とだ 駅の付近から公園をとおり スーパーをとおり 住宅地へ向かい家に帰宅 犬は 一度糞をして そして 一度休憩して のどが渇いたらしく水を飲んだ 私は部屋にかえり 夜道のおそろしさから 少し開放されて ほっとした
27 :
光屋 :02/10/18 22:18 ID:tDeOOFtM
電灯2002「君の思想と僕の思想」 君の勘違い。もう沢山だ 塗り替えられる白い壁 君達には時の想いの刻まれた虹色の壁が見える 僕達にはまだ未知の広がる美しい白の壁が見える。 白 それは始まり。 虹 それは終末。 終わらない壁の塗り替え。何処までもいつまでも。 僕達の音が紡がれるから。 あはは…。ハジメマシテ 先輩達との関係を書いてみました。
28 :
:02/10/18 22:21 ID:M0ptZYdn
29 :
だぶだぶさん :02/10/22 21:58 ID:Tf+Is0DT
感想遅れてごめんね! >26 はじめまして! 夜道って本当にこわいよね〜 家に帰ったらほっとするんだね。うん、よくわかるよ〜 >27 はじめまして! 先輩達との関係って書いてなかったら、僕なんかには 何が書いてあるかわかんないですぅ〜 書く力だけじゃなくて、読む力もつけないといけないっすね。 立派なポエムをありがとう! 僕もがんばりまっす〜
30 :
だぶだぶさん :02/10/22 21:59 ID:Tf+Is0DT
最近、やさしいポエムには「やっぱ、ひらがなだよね」って 思いはじめたよ! みんなも、やさしいポエムをどんどん書いてちょ!
31 :
吟遊怪人 ◆NS24xBLI8A :02/10/22 23:01 ID:/tIG7Ih4
昨日、大きな事故があったらしい 彼女が旅行に行っている場所だ 新聞の死亡者欄に目を通した 一瞬背筋が凍りついたが信じないことにした 今日待ち合わせの場所に出かけた 彼女がおみやげをもってきてくれるはずだ 公園のベンチにすわって彼女を待った 気温がかなり低く寒かったが心は温かかった 何組かのカップルが目の前を通り過ぎてゆく 彼女たちの幸せそうな顔になんだか僕もうれしくなった 時間をすぎても彼女はこない 遅れるなんてめずらしいな 気がつくと雪がふっていた どのくらい時間がたったのかな あたりには誰もいなくなった 雪はますますはげしくなり僕は寒さで震える膝を両手で押さえて我慢していた もはや震えは身体中をおそっていた 僕はもうろうとする意識のなかで つぶやいていた おかえり・・ さみしかったよ・・ 「ただいま」 彼女の声がした やっと帰ってきたんだ 「おかえり」 僕は力いっぱい抱きしめた 彼女も僕を抱きしめた 僕も彼女も魂だけの存在になってしまったけど ずっとそばにいられるなら 身体なんて必要なかった 二人でいっしょに空に昇った いつのまにか雪はやんでいた 夜空に星が輝いていた
32 :
吟遊怪人 ◆NS24xBLI8A :02/10/23 00:00 ID:LYYTwB5G
>だぶだぶさん はじめまして 純粋そうな方ですね なんだか場違いなものを書いてしまってすいません 次はここに合ったものを書きたいと思います。 ぜひ1000をめざしてください
33 :
だぶだぶさん :02/10/23 22:02 ID:YjFnz3iT
>吟遊怪人さん ありがとう! すごく切ないポエムですね。彼氏の「信じない」気持ち、 強すぎて泣ける。 彼女の巻き込まれたのがどんな事故だったのかがわかれば、 もっと入り込めたかもしれないな〜 でも、すごく気に入りました! 1000なんて行けるかどうかわからないけど、 今は楽しいからほぼ毎日続いて行くと思いますよ〜
34 :
だぶだぶさん :02/10/23 22:02 ID:YjFnz3iT
「50歳を過ぎて」 50歳を過ぎて ロックンロールをモノにした紳士を見た 異国のベテラン・アーチストだ 柔らかな物腰で ロックしてくれ ロックしてくれ 1世代下の轟音ギターに乗せて歌う アルバムを出すたびに 若くなって行く 彼のような歳をとりたいと強く思った
35 :
トルコ石の小魚 :02/10/23 22:33 ID:qkECh8bX
Nothing?
36 :
吟遊怪人 ◆NS24xBLI8A :02/10/23 23:13 ID:LYYTwB5G
ひとめぼれ おかしいよ ひとめみただけで好きになるなんて ずうっとそう思ってた 君に逢うまでは ひとめぼれ いまは・・ わらえないな
37 :
吟遊怪人 ◆NS24xBLI8A :02/10/23 23:46 ID:LYYTwB5G
としをとるのがいやだった オジサンになるのがいやだった だけど ありがとう だぶだぶさん 素敵なオジサンになればいいんだね
ま、悪いことは言いません。あんたら2チャンネラーに代表される
下界の凡人連中には、ベートーヴェンの晩年の弦楽四重奏がちょうどよいです
から、そのあたりをお聴きなさい。
間違えても、ぼくやドビュッシーの作品は聴かないように。
豚・に・真珠・でございましょう、ファッハッハッハッ・・・・・
で、ぼくのホームページK.OKADAワールド
(URL;
http://debu1957.hp.infoseek.co.jp/ )には
あんたら2チャネラーには似合わない私の傑作の音楽がついていますので、
ぜーーーーーったいに来ないで下さいね。
お・だ・ま・り、あたしを誰だと思ってるの? おそれ多くも、あ・た・し・よ。 お・だ・ま・り、あたしを誰だと思ってるの? おそれ多くも、あ・た・し・よ。 お・だ・ま・り、あたしを誰だと思ってるの? おそれ多くも、あ・た・し・よ。 お・だ・ま・り、あたしを誰だと思ってるの? おそれ多くも、あ・た・し・よ。 お・だ・ま・り、あたしを誰だと思ってるの? おそれ多くも、あ・た・し・よ。
40 :
名前はいらない :03/01/02 00:43 ID:Z7NoOUFd
だぶだぶさんって、人は、結局何がしたかったのかわからないまま消えたのです このスレタイに「萌え」な人は、どうぞ占拠しちゃってください ええ、下がってからでいいんですよ、勿論
41 :
山崎渉 :03/01/20 09:44 ID:ktp24cuz
(^^)
42 :
名前はいらない :03/04/17 11:07 ID:PVh6cU5L
あたし 麻野美紗緒 (゚Д゚)夜露死苦ね
43 :
山崎渉 :03/04/20 02:09 ID:3rQpfsMd
∧_∧ ( ^^ )< ぬるぽ(^^)
age
46 :
山崎渉 :03/05/22 03:01 ID:9hqkSSyZ
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
47 :
山崎渉 :03/05/28 11:17 ID:gH/nLI1G
∧_∧ ピュ.ー ( ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。 =〔~∪ ̄ ̄〕 = ◎――◎ 山崎渉
48 :
山崎 渉 :03/07/12 12:12 ID:Gu5iF5xl
__∧_∧_ |( ^^ )| <寝るぽ(^^) |\⌒⌒⌒\ \ |⌒⌒⌒~| 山崎渉 ~ ̄ ̄ ̄ ̄
49 :
山崎 渉 :03/07/15 11:50 ID:iuxfPmjy
__∧_∧_ |( ^^ )| <寝るぽ(^^) |\⌒⌒⌒\ \ |⌒⌒⌒~| 山崎渉 ~ ̄ ̄ ̄ ̄
ハッキリ言ってアメリカなどの多民族国家では黒人の方がアジア人よりもずっと立場は上だよ。 貧弱で弱弱しく、アグレッシブさに欠け、醜いアジア人は黒人のストレス解消のいい的。 黒人は有名スポーツ選手、ミュージシャンを多数輩出してるし、アジア人はかなり彼らに見下されている。 (黒人は白人には頭があがらないため日系料理天などの日本人店員相手に威張り散らしてストレス解消する。 また、日本女はすぐヤラせてくれる肉便器としてとおっている。 「○ドルでどうだ?(俺を買え)」と逆売春を持ちかける黒人男性も多い。) 彼らの見ていないところでこそこそ陰口しか叩けない日本人は滑稽。
51 :
名前はいらない :03/07/15 15:52 ID:fbJrrhRi
詩作に年齢など関係ない。
>>1 さん、安心しなさい。
52 :
山崎 渉 :03/08/02 01:19 ID:TahhWmQI
(^^)
吹いてきた風は暖かく 帰れないと思ったこの地はやさしく迎えてくれた 涙暮れた朱い島の幻影は 哀しみに沈み 夕陽に映えた海に別れを告げ それでも私は 夢の燈りを 手の平に翳しながら かえりたいと願った あなたは泣いてくれますか? あなたは思ってくれますか? 私は帰ってきました。 あなたは笑って言ってくれますか? おかえりなさい と 嗚呼 私は 泣いてしまう
54 :
山崎 渉 :03/08/15 13:09 ID:5TkIaFn9
(⌒V⌒) │ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。 ⊂| |つ (_)(_) 山崎パン
『風のラピュタ』 くんか くんか 風のにおいに誘われて このクソ暑いのに 地下鉄を走って バスに飛び乗って やって来たよ ここまで来れたよ 森をぬけて やわらかな腐葉土を踏みしめて くわえタバコはやっぱりやめて こんなに広いのに 風のラピュタは目に見えないらしい でもいいんだ すこし涼しいし 時間も止まっちゃったから いいんだ
『地下1階のJesus』 地下1階にある剥きだしのコンクリート 階段の胎道を通り抜けたバー 天井の大型扇風機がリズムを無視して 過去と未来をつないでアインシュタインの悪戯で 時空を折り曲げてゆっくり回る 暑い。 暗がりとネオンサインのカウンターが 天地創造をぶち壊した 床には雑草のような小さい神々がトグロを巻いている 鋼のジューク・ボックスに頌歌をリクエスト コインのまわる音 true or false 突然にはじけ出す大音響のギターとドラム そして7本のHORNSがいっせいに揺れ 行きつ戻りつの朝顔そして円環 シャウトする野太いヴォーカル 壁にこびりついたタバコのヤニと 飛び散った汗は永遠に乾かない
続き。 暑さと酸欠でカウンターの金魚が腹をみせている そして 君の2つの肩が休火山のように上下にゆっくりと動き うるうると盛り上がり 1コーラスの終了に合わせて 君の 汗に濡れた右腕が すっと水平に持ち上げられる その粗暴なまでの救いの声に こぼれ落ちるリキュール 2、3の飛沫と事件 君は踊る 長い髪をふり乱して 狂おしいヴォーカルとリズムにのって タイム・マシンでやってきた信者たちを蹴ちらして 周囲の困惑と小さな争いごとには目もくれず 汗とタバコの煙 ガンジャのにおい 薄暗いコンクリートの地下室 反響するシャウト ひとり踊る ひとり
『笑顔の系譜』 たんぽぽ ぽん たんぽぽ ぽん 覚えたての歌をうたいながら まだ小さなぼくたちの娘が 城趾公園の広場を駆けている 日ざしが少しまぶしくて 風は強いくらいで 広場には呆れるほどの たんぽぽの綿毛が群生している 大きな鯉のぼりが風にひるがえり 妻の背中では 赤ん坊の息子が うとうとと首を揺らしている たんぽぽ ぽん たんぽぽ ぽん ほうら たんぽぽさんに顔を近づけて ふう と吹いてみてごらん 妻がたんぽぽを一本 手折って娘にわたす 綿毛は少し強い風にのって 驚くほど遠くへ飛んでいった 石段を下っていった向こうには 雑木林に囲まれた小さな池があって 蛙があんなに鳴いていて 申しわけ程度にかきつばたが咲いている 空を見上げて娘はすっかりはしゃいで 息子は気持ちよさそうに にっこりと眠る
続き。 かつてぼくたちが父に母に手をひかれて せせらぎの小道を跳ねまわったように まだ小さなお前たちの 笑顔がいつまでも続くならば ぼくたちは きっと何もいらないだろう まぶしいくらいの流れのなか 手をひかれて 背中をそっと押されて いくつもの家族が いくつもの笑顔の系譜が歩いていく 風が少し強くて 蛙があんなに鳴いて 笑顔がざわざわして静かに春が過ぎゆく道を
>>58-59 は、雑誌に投稿して落選した詩です。
ちょっとヨソ行きすぎたか…。
こうしてうpしてみて、なんとなく原因がわかった。
既視感ありありだ。
『木挽歌』 しー たー しー たー しー たー しー たー しー たー しー たー しー たー しー たー しー たー 永遠に? 永遠に。 しー たー 永遠に? 永遠に。 しー たー 永遠に? 永遠に。 しー たー 永遠に? 永遠に。 しー たー みんみん かなかな しー たー みんみん かなかな しー たー みんみん かなかな しー たー みんみん かなかな しー たー えーえん えーえん しー たー えーえん えーえん しー たー えーえん えーえん しー たー えーえん えーえん (以上を16回くりかえし)
続き。 しー たー しー たー しー たー しー たー しー たー しー たー しー たー しー たー ごとり。
>>55 訂正。
『風のラピュタ』
くんか くんか
風のにおいに誘われて このクソ暑いのに
地下鉄を走って バスに飛び乗って
やって来たよ ここまで来れたよ
森をぬけて やわらかな腐葉土を踏みしめて
くわえタバコはやっぱりやめて
円形の空は
こんなに広いのに
風のラピュタは目に見えないらしい
でもいいんだ ぽかぽかしてて
すこし涼しいし
時間も止まっちゃったから
見えなくても
うん いいんだ
『黄昏の国境にてあなたが発した言葉』 目を閉じたあなたの意識がずっと見ていたのは 滅びゆく帝国の涯(きわ) 黄昏の白い砂漠に 鮮烈であったはずの光をうけて迷子のようにたたずむ あなた自身の裸足の後ろ姿だった 白い砂だと思っていたのは無数の骨の欠片で それはあなたが殺戮した四千の日と夜の またはあなたが知らない四千億の日と夜のなれの果てで 風も歌もとうの昔に消えてしまって 舌を抜かれた小鳥のコラージュがはらはらと舞い落ちて あなたの指先はいつまでも赤黒い血で濡れていた 耐えきれずに目を伏せたあなたの意識が ずっと聴いていたのは ずっと記憶していたのは あなたが一篇の詩を紡ぐために殺した幾多のもの言わぬ叫び あなたが一枚の毛布にじっとくるまって待ち望んでいた たったひとつのことば 肩にとまっていた小動物を抱くように裸の背中をふるわせて あなたはそれにいとおしく頬をよせた もうそれも死んでいるのに と どうしてもあなたは言い出せなくて 四千の日と夜の屍を踏みしめてあなたは あなたの絶望の旅立ちに秘やかな祝福のことばを喚げた そのことばさえ そのことばさえもが 組換えに失敗した出来損ないの遺伝子のように あっという間に黄昏の光に砕け散って 白い砂漠の骨に音もなく溶けていった
『やっぱりおおかみ(佐々木マキ、73年、福音館書店)』 0(プロローグ) (おおかみは もう いないと みんな おもっていますが ほんとうは いっぴきだけ いきのこって いたのです こどもの おおかみでした ひとりぽっちの おおかみは なかまを さがして まいにち うろついています)
1 影のない おだやかな光に包まれた路は 明るすぎて あまりにもなつかしい 黒い影をおとすのは ただひとり ひとりの おおかみの子供だった 両手をポッケに つっこんで まだ生えそろわない牙を もぐもぐさせて 仲間を探して 毎日うろついて (どこかに だれか いないかな) います
2 ウサギの街に着く 交差点でも 影が おおかみなのか おおかみが 影なのか ややこしや ああ ややこしや ガラス窓にだって おおかみはいるけど だれも 答えられやしないんだ ウサギ連中は白すぎて 影なんか 持ちあわせちゃいないから および腰で 背中をむけて 扉を閉めちゃえば 万事解決すると 思ってるんだ
3 (けっ) 小さな おおかみは ウサギも 赤ずきんちゃんも 丸のみなんて できやしないよ (なかまが ほしいな でも うさぎなんか ごめんだ)
4 午後1時25分 ヤギの街で 陽は おだやかに高く そうごんな そうごんなまでの 平屋の教会に ヤギはつどう おそろいの あおい僧衣と おそろいの しろいあごひげ たんたんと たんたんとすぎる 昼 おおかみは ひとりぽっち
5 ブタのバザールは いつも盛況 おもいおもいに テントを張って さあさあ なんでもあるよ 花屋 肉屋 八百屋 パン屋 せともの屋 古どうぐ屋 コーヒー店 通りは買い物ぶくろを抱えた ヒトの波 じゃなくて ブタの波 (みんな なかまが いるから いいな すごく にぎやかで たのしそうだ) 毎日開催 ブタのバザール よってらっしゃい みてらっしゃい なんでもあるよ 老若男女のブタさんがた ブタさん ブタさん 子だくさん 第1と第3にちようびは おやすみです
6 バザールを行く ブタの波に この身を ゆだねたい けれども ひとりぽっちだから 街のはずれまで きてしまった 買い物かごを下げて ブタがひとり 壁に あおいチョークでらくがきしていたが そそくさと 去ってしまった (けっ) 黒いおおかみには 染まらない
7 ヘラジカ中央公園は おおきな森のなか ヘラジカ中央駅から シカの脚で1分です すこしだけ おおきな崖も こえます 公園には ひろい道路も 噴水もあります みんなの集まる広場も 遊園地も レストランもあります シカのパラダイス みわくのでんどう というのは 冗談ですが 上品で おちついた 歓声のたえない 公園です (もしかして しかに なれたら あそこで たのしく あそぶのに)
73 :
__ :03/11/03 23:56 ID:UdKtdYMl
『 風さんになびかれて 』 唾液かんせんの病気のきみは ヨダレがとまらない。 たらぁ〜☆ 眠っているきみのかわりに フキフキ☆
74 :
ピース :03/11/04 00:30 ID:Ass63iEg
柿の木を眺めながら歴史と今日を振り返る 夜の匂いが濃くなると 明日を想像してしまう 笑ってる?
『やっぱり おおかみ』 8 おれは こどもだから 遊園地は 大好きだ たとえそれが ヘラジカの 遊園地であって おおかみの それでないとしても たとえここで 風船が 空をおよいで アイスクリーム売りが ベルを ならしたとしても それは おれのものでない 観覧車が 空をあざやかにいろどり メリーゴーラウンドが よろこびを回して 手オルガンが 楽しいしらべを奏でたとしても それは おれのものでない くろい影の おおかみの おれは 両手をポッケに つっこんで 枯れ葉を 踏みしめる
9 (おれに にたこは いないかな) ヘラジカの遊園地が 閉園するまで 一日中 そこに いてしまった どうしても 去ることができなかった
10 夜の ウシの街を あるく さびしいのは なれてしまった なんども なんども そんな夜を あるいてきたから はらぺこなのは いつものこと おおかみが はらぺこなのは昔から さけられない 宿命だから
11 だんろは こうこうと燃え 灯りのした ウシの家族が 食卓をかこむ とうさんウシ かあさんウシ にいさんウシと こどものウシ みんなそろって もくもくと ええ ウシですから もくもくと ささやかな夕食を たべています 食後のお茶の用意も できています かあさんウシは あみかけのマフラーを 隅の 小さな丸テーブルに 置いています 花びんの花が 咲いています 柱時計が ちくたく ちくたく 午後6時44分のことでした こどものウシは にこにこ 笑っています すべては そう すべては 窓のむこう ウシの家での できごとだった
12 はらぺこだった あしは 棒になった おおかみの仲間を探して おれの 居場所を求めて 道に迷った わけじゃ ないけど ここが どこだか わからない (おれに にたこは いないんだ) 街のはずれ 一夜のやどを 墓場に もとめて おれは ごろんと 横になった おおかみの ご先祖が 会いにきて くれないかな 仲間の ゆめを みたいなあ
13 「詩中詩:おばけのロケンロール」 ぬばたまの ぬばたまる夜 ぬばたまった おばけの 影はしろい なぜなぜしろい? おばけだから しろい さけ もってこい りんご もってこい ドーナツ もってこい リードギター ひとだまシャウト もってこい ぬばたまの ぬばたまりけり りんご のめや うたえや さわげや わらえや わらった わらわらうくちもとが ぬばたまる歯なしじゃ はなしになんねえ 歯なしは しゃれこうべから かりてこい それが おばけのおしゃれ しゃれや うたえや おどれや わらえや ひとだま つかんで ぐるぐるまわせ 琵琶の かたりに ぬばなみだ ながす 目なんか もっちゃいねえ しゃれた 歯ならび かちかちならして かきならせ ぬばたましい
14 おれは ねていた 墓場で おれは ねていた おばけの 夢をみた おばけは おれに 似ていない おおかみは 夜に とけるから
82 :
純♀ ◆Venus/0Oiw :03/11/14 23:22 ID:GtY3wJrb
月が綺麗な夜は 夜の散歩でもいたしましょう 月のあかりが きみの頬を白く照らして きっと もっと その横顔は素敵に映えて そんなきみに わたしは言葉さえ失うかもしれないけれど それでも良いではないですか 美しい月夜に素敵なきみがいるのなら
やさしい風に さそわれて つい・・・ ^^;
きつねにょうぼう シャワーから上がった息子たち まるはだかのまま ちっともパンツをはこうとしない ちび太は絵本の1ページに釘付け かかは庭でにわとりの餌やり ととは裏の畑を耕す わらぶき屋根には菖蒲が咲き あかんぼうはまるはだか 庭の隅に四つんばいになって 蛙を見つけたばかり しあわせの絵を 2才がいつまでも眺めている 部屋は潮が引いた後の砂浜のように 紙くずや菓子袋やプラスチックのスプーンや 誰かが無くした靴下が 誰かに拾われるのを待っている 私がしっぽをうっかり出してしまっても 子はそれを指摘したりはしない 心得たものである
>84 すみません。2行目削除
>>84 あんがとー。絵本を抱えて部屋の隅へ、ようこそー。
イイな、こういうのイイな。
『きつねにょうぼう』 片山 健 絵、長谷川摂子 再話、福音館書店。
『やっぱり おおかみ』 15 旅のはて 旅のはてなんて だれが決めた 空は 今日も流れているのに また しろい朝がきて ひとけのない ビルの屋上を ただひとり 両手をポッケにつっこんで ぷらぷら 歩いていると ひとり 屋上に つながれた ひとり乗りの 気球を みつけた ひとりぽっちの 気球と ひとりぽっちの おおかみと
16 ビルのうえ つながれた気球 あかい レモンの風船 あおい 三角の旗が ひるがえる 気球にのって このまま ここから おさらばしよう とも思ったさ おおかみは もういないし おれに 似たこは いないし みんなが わらいさんざめく 姿をみるのは つらいし でも な おおかみは 強いんだよ たとえ 絶滅寸前でも まだ おれがいる (やっぱり おれは おおかみだもんな おおかみとして いきるしかないよ) 気球は 気球で ひろい空を 駆けてくれ おれは おれで ひろい世界を 駆けていくよ
17 つながれた ひもを ほどいて 気球は 空に のぼっていく おれは 気球に のらなかった おれは ビルの屋上から 気球を 見送った 気球は ぷかぷか 空におよいで 小さくなった (け)
18 気球は 気球 おれは おれ おおかみは おおかみ やっぱり おおかみ ひろい ひろい 空 ひろい ひろい 世界 たくさんの いきもの やっぱり おおかみ (そうおもうと なんだかふしぎに ゆかいな きもちに なってきました。) きょうも はれ
『やっぱり おおかみ』完。
92 :
JOKER :03/11/16 18:02 ID:rHQpNBJd
ぼくのふうせん ちょっとしたぼくの不注意で 逃げちゃったぼくの赤いふうせん 飼い主のいなくなったふうせんは 笑って空へ飛んでった ふうせんは一生懸命 空を飛んで飛んで 海を越えて越えて どこか遠くの小さな島の 一人ぼっちの泣き虫の 小さな真っ赤な鳥の 最初の一番の友達になった そしてぼくは 飛んでったふうせんなんて すっかり忘れて 公園に遊びに行った 赤いシャツ着た一番の友達つれて
93 :
sage :03/11/16 18:25 ID:WQVOeZAi
>>92 いい詩ですね だぶだぶさんはどこに行ったのかな
作品を分断してしまい、失礼しました。
Canopusさん居られます?
いまーす。 子供たちが元気すぎて、手がはなせませーん。 カミさんが風呂に入れてる間、洗濯物干してまーす。 またねー。
詩集とか沢山買われてます? 詩集って中身が分かってても買うものですか?
戻ってきました。 んー、実は詩集はあまり持ってないです。20〜30冊程度で、大部分が全集形式 のヤツでした。思潮社の現代詩文庫だったり、文庫本の単発ものだったり。 ルネ・シャールの全詩集や、谷川俊太郎の『二十億光年の孤独』くらいでした よ、高価なのは。 詩集、高すぎだと思うんです。一冊2〜3000円、平気でするでしょ。あと1000円 くらい安くないと、商品としては魅力的じゃないと思う。 とはいえ、高階杞一さんの『キリンの洗濯』とかほしいなあ、と思ってる今日 この頃です。 ぼくが詩集を買うのは、ことばと戯れ、ことばを抱きしめ、ことばと寝るため かな、カッコつけて言うなら。 だから中身読んで、ヤラレタ!と思ったら即買います。 高校の時に買った西脇順三郎詩集は、一時、肌身はなさずに何度も何度も読み 返してたんで、もうボロボロになってます。
カノさん、場所替えしたんですか? ここに、新作のるのを待ってますね
いや、その、風に誘われて来ました〜。 『冬の到来』 嘘つきインディアンに騙されて ひなたで ズズーとお茶を飲んでいた それが今年の冬のはじまりだった 冬は孤独に マントをひるがえすのが いい そんな厳しさにも憧れるけど 猫の生あくびをじっくりと観察したり はたまたマグカップを握りしめて ひんやりしたぬくもりを確かめたり 上手な時間の食いつぶし方を 考えていた 退屈で平和な冬のはじまりだった
『キッチュ・バルーン・パラダイス』 駅前でやってる アンケートに答えてしまったり スーパーのいらないキャンペーン商品を 買わされる羽目に何度もなるのは ひとえに ぼくの八方美人と 風船好きの娘のせいだった 店先に並んだ風船を見つけたが最後 娘は一目散に駆け寄って ふうせん、ふうせん と ぴょんぴょんはしゃぎまわるのだ 娘よ 人間三歳にして我慢を知るべきである という説教もあまり効かない そのうちなんだか 売り子のお姉ちゃんと話が弾んでしまって まあ 娘は戦利品を手に入れるわけである (ええ こちらは商売ですので やることはきっちりしていただいてから) 今では下の息子までもが ハイハイもろくに出来ないくせに うつ伏せで 思いきり上体を反らして ぷかぷか浮かぶ風船に目を輝かせているのだ どうやらハシカが移ったらしい
続き。 ぼくがまだ 娘くらいの年頃だったろうか 天井の高いホテルの一室だった 持っていた風船をつい 放してしまって 火が点いたように泣きじゃくったことがある 155cm 80kgの叔父は まだ若くて テーブルの上に椅子をのっけて 高い白い天井の上端 みどり色の風船を ふうふう言いながら取ってくれたっけ ぼくは大きな風船を持って空を見上げて そんなことを思い出していた 子供たちの歓声 天使のふわふわ 産声をあげたメリー・ゴー・ラウンド すべての人類の遺伝子から 風船好きのDNAが発芽する ぱちん さてわが家では 風船は鯨のようなもので 余すところなく有効活用されます しなびて沈んだ風船 あれにはまだ ヘリウムが いくらか残っていますね 丁寧に風船の口を切って 中のヘリウムを思いきり吸い込みましょう 少し息苦しいですが なあに じきに慣れます 声が変わって おもしろいですよ 忘れるところでした よい子はマネしないように
103 :
名前はいらない :03/12/21 06:04 ID:DQuGVxGS
age
☆降誕祭☆ 悲しみのない空をおいたち 降りつのる、2003年目にわずか一度 記念樹の、針の枝を静止さす、その日 ノエルとブッシュ、樅の木木に紛れ落ち、天秤の翼しならせ、あかねになる火 カシミアの裏側にひそみ、銀のクレッセントに結ばれしライニング 玉虫のトリム、結晶し、舞い落ち、地表に宿る日 help myself───パーティーへ来てよ チャペル前の燭火、鋸歯の宵、静謐の悪魔かた手にし 霜砂糖の屋根屋根を裁く鍵、まかれ、鑓、ふり降ろされたなら 粉雪、きっと不倖せの子供になる シベールとコルク、うち鳴らさる、意味不明の供述 今日、白く発砲する、神の遣へ給ひし言葉かり have yourself───愛うたうわ インコ、オウムに口うつしする日 アヴァン、来る前に、お父様、国に召された 暮れるなら、冬木立ちにfiberの柳枝れ合う、マッチ棒に灯り、疎に積もる頃 煙突から、渇くペチカの通路抜け、硬貨三十枚と物質交換する 前庭の燈、もらう恩寵は湿る薪木、リフレインされる終の大木のオリエンテイリング 駈け巡る、トナカイの幹につもり、ララバイとライフとタイムの期限に括られた受難リースと・・ カード一枚のメッセージ託され、聖霊に擬せられし三等分の言づて その日、グレンプレイドの街底から、倖せの子供たち居なくなる
105 :
名前はいらない :03/12/24 23:34 ID:WD3SBVfE
how high the stars───届けられた木の実、貪り、運ばれた羽根をもぎ分かち合う 福音の通り、こぼれ堕ちる、ジルコニアの捧げ物、義の刃に射貫かれ 祝福が音符なら、祈りは翔け昇り、別の調性の不幸ねがうオルゴール 鋳造され、訓戒の遠くから降り注ぎ、散乱し、幻影に氾濫する残像の光り After Dinner、振り向くと、回転扉、アピシウス見降ろすと、倒立した深海の屋並みに、齎されし魚座の産卵 担われた耐火煉瓦、袋おろし、穿たれたソックスの毛穴から、手首とりだし 僕たちはニクラウスじゃない、と、ことわり その日、束の間の復活を待つ 数々の蝋石の街の面をおおう為、拇指と父指でつまみ、鼻先から砂のシーツ落とす もっと安らけく、永世に、それなりに眠れかしと その上に、私自身のリヴを包み、窓のあかぬ室内に凍てた、贖罪の息を吹き込む あくる朝早く、元の通り、子供たちが倖せの街へ追い立てられる前に
106 :
曼珠沙華 ◆.vCl000IOI :03/12/26 14:54 ID:iwxM2N+O
あめこきゅう。 あめがやむまで、ねません。 ずっと、みています。 そらがあかるくなっても、ねません。 ずっと、みています。 あめがやんだら、おきません。 ずっと、ねています。 いきがくるしくなっても、おきません。 ずっと、ねています。 あめがやんでも、しにません。 ずっと、まっています。 あさがつづいても、しにません。 ずっと、まっています。 あめがふったら、おきます。
107 :
もお直き来年だよ :03/12/30 21:48 ID:Lr5a4Wt4
>>100-106 作者の意識表面に
どれ程、捕捉されているか定かでありませんが
これら、何処となく今年の世相を感じさせられるもの
もありますね。
望みもしないのに、空の上から落ちて来るもの、、
穏やかな日々に来襲して、ヒトの命運を左右するもの
、、といったイメージ?
明年には異国で何名の邦人が無くなり、何名の泣く人が出るのだろう?
それがへー和な私達の暮らしにどの様な展開をもたらすのだろう。
反戦詩として、解釈できる様にも思えました。
>>107 うむむ。一括りにして読むとは面白いことを。
同じ空気をすって
同じ時代に生きていた
同じ意識のまま眠る共同体
頬にかかる雨粒の色は
少しちがっていた
某スレで タッチの差にて 間に合わず …お粗末。 『トランシーバー』 (ガーガガガーガーガーーーー) チッ (ゴウーーーゴウーーーゴウ) チッ くぐもるくぐもるくぐもるくぐもる チッ (ザアアザザザアザザザアーー) チッ (…緊急情報です緊急情報です…) チッ (どう。どう。どどどう。どどう) チッ (…絡せよ至急連絡せよ至急連…) チッ (……………………………………) チッ (……………………………………) チッ (…………………………………………………………) ガシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア ..。
『秋庭歌(しゅうていが):In an autumn garden』 1 (「ラオコオーン」のような自伝が 描けないただ とんぼ 蟻 かたばみ鬼百合 ほうせんか しおん と 殆ど区別が出来なく溶けこんで) ひとり 歩いてきた この懐かしい小径 さあっと一陣の涼風がぼくを襲い 波うつススキの海に一瞬目を細めた いつの間にか ぼくの右隣に妻がぽつんと立っていて どちらが話すともなく同じ方角を見つめていた
続き。 (生垣になるサンザシの実や ホウコグサなどを摘んだり はてしない存在 を淋しく思う) そのかわりに 歩みを緩めて妻の肩を抱こうとした その右手が 急に重くなったのに気付いて見ると ぼくらの小さな娘がちょっと困ったような顔で ぼくの右手を握り返して 小さな声で「パァパ」とささやいた ぼくらの足どりは ますますゆるやかになって 風に揺れるモミジ イチョウの梢や キキョウ オミナエシの花を ひとつ またひとつと数えていった
2 黒田三郎の詩集「小さなユリと」 を読んだ 何度も何度もくり返し読んだ 『夕方の三十分』という 何でもない詩の 何でもないことばに こんなにも心を打たれる年令になったのかと 改めて思う ぼくはしがない月給取りで (僕は腕のいいコックで 酒飲みで オトーチャマ 小さなユリの御機嫌とりまで いっぺんにやらなきゃならん) ぼくはロクデナシで 妻は結核で入院していて 小さなユリのお尻を叩いたりする 「ユキちゃんは いつまでもおハナがでるのね」 と すっかりお腹の大きくなった妻が 娘の世話をやくのを 何もしないでながめていた 娘は覚えたてのことばで 「おハナ チーン」と大人しく されるがままである
続き。 妻がお産で入院中 夜遅く迎えに帰ってきたおやじを 小さなユキは まだ起きて待っていて 玄関までトコトコ駆けてきては ぼくに困ったような笑顔を見せる 夜半過ぎ 小さなユキは そっとぼくの寝床に入ってきて おやじの腕の中で眠る (それから やがて しずかで美しい時間が やってくる おやじは素直にやさしくなる 小さなユリも素直にやさしくなる) ぼくの左手に 小さな頭をもたげてお乳を探す まだ首がすわってない長男がやって来たのは それからすぐのことだった
3 そしてまた ぼくは歩いていく かつてぼくだけが歩いていた道は やがて人の知るところとなり ささやかだった ぼくの洞窟は ことばとの 人との出会いで だんだんに充たされて いく 駄偉大なる緑ヒスイの七隗はフエルトの託痴所を脱蒼して天獄たる地下垓への Trumpoetont Bridge を黄イキイと着膝に這い逆あがるのは赤ん棒の、藍旗ひろ がるのは礼陰房の、橋蓋ころがるのは東遷某の、ぼくの紫界に広ガール七人の シェラフィー多。タガメつ眇めつ眺メール、タガメ絞めの刺しつ刺されつのそ の慌景たるや、マサに増炊にふさわしく、Sevene trumpets を屍違え金でたっ た、騒麗たるファンフェアレーレ! ラン!Run !riverrun ! (川走! イブとアダム礼盃亭を過ぎ、く寝る岸辺から輪ん曲する湾へ、今も度失せぬ 巡り路を媚行し、巡り戻るは栄地四囲委蛇たるホウス城とその周円。 サー・トリストラム、かの恋の怜人が、短潮の海を越え、ノース・アモルリ カからこちらヨーロッパ・マイナーの凹ぎす地峡へ遅れ早せながら孤軍筆戦 せんと、ふた旅やってきたのは、もうとうに、まだまだだった。)
続き。 さあ、鳥スト、鳥の王ロプロプが、パトリックの泥誕を阿弖つつも、三そっ葉 のシャムロックを流為と呵々げてダブリ北たかう、オレンヂ・常時亜集にまで 膨れあがった黄金田村麻呂仮面との、永遠円なる壮舌戦の一休鎮!流れる戦多 血たるや既に人色ではなく、五臓六腑の七謄八臀の噴酔と倭きあがり、嬰峰の 木紙緑が暴愚然と紅玉リンゴするが否や、熱劣たる寄子の嵐を阿鼻せ共感、刃 傷去ったの象殖の一途を辿る―! 拍手!白秋ぅぅぅ! の逃げる後ろ神の洗択可能な二足一つのニュートリノ尻(ケツ)アルに、南の 男女は艶をなして真赤に紫に脊黄青に瘧リて、出雲の事く声(コア)トル。 「どうして顛国(ヘヴン)なの?」 「どうして顛国(ヘヴン)じゃいけないの?!」 漸略、ことばがあふれてくるよ、押せば命の泉湧くよ、この胸をかきむしられ るよ、至福制服の蝗水に溺れているよ、それは百頭女の思う壷だよ、眼を覆う ような甘い蜜だよ、その淋しいささやきだよ、水平線ではノアのじじいが遠い 顔でせせら笑いカワセミの、御宿でサシ涼んでいるよ、息つぎを求めてもがき 彷徨うよ、永遠なることばの旅だよ、めくるめく世界で巡り戻って生きている よ、つないだ鎖をチカラづくでヒキチギルよ、人間の思念ていうのは光速をは るかに超えているんだよ、 暗い淵から湧きあがり 生まれてくる、 いのちのことば、 その、 ささやかな一篇の詩に、 どうしてぼくは、 こんなに胸が震えて、 かなしいんだろう?
続き。 それでも ぼくは歩いていく ぼくの洞窟はぼくのものでしかない やがてからっぽになって 忘れられていく運命だというのに ぼくは歩いていく 行き交う人々が 皆 人間に見える その 日まで In an autumn garden.
117 :
名前はいらない :04/01/09 03:19 ID:aPz5Tgl7
さそわれてきましたよ。
118 :
名前はいらない :04/01/09 12:37 ID:YW4Agb1O
「無題」 ゆっくり ゆっくりでいいから 歩き出そうよ 道に迷ったっていいから なんなら支えになるよ 辛い時とか慰めてあげるよ 泣きたい時は泣いてもいいよ だから ゆっくり歩き出そうよ
さみしいこころで かんがえる もしも恋とよべたなら どんなに楽だろうって
『マイノリティ・ウォーキング』 【100万人のキャンドルライト!】 2003年6月22日、夏至の午後8時から10時の2時間、電灯を消してロウソクを 灯しましょう。それぞれの思いを胸に秘めながら、暗闇のウェーブを静かに広 げましょう。ある人は省エネを、ある人は平和を思い、またある人は恋人と二 人きりの夜を過ごし、またある人は子供の寝顔を見つめ、ある人は世界のどこ かで生きる人々に思いを馳せる。 100万人のキャンドルナイト。電灯を消して、スローな夜を。 夏至の夜 電灯を消すと 妻と娘は もう眠ってしまった 妻は育児疲れで 娘は遊び疲れて 所在なさげに手足を動かす 六ヶ月になる息子を抱いて 明日の天気だとか 今度の宝塚記念でどの馬が逃げるとか とりとめもなく語り合っていたが それにもやがて飽きてしまって 灯りを借りに二人して 外に出た 思いのほか涼しい風が吹いていた
続き。 21世紀は少なからずふざけていて田舎の私鉄沿線の住宅街にまで車が遠慮なく 走ってきて半袖半ズボンのおっさんがぷらぷらしてコンビニの蛍光灯やらファ ミレスの看板やらまぶしくて近くには24時間営業のスーパーがあるし有名な寝 ぼすけパン屋はタッチの差で閉まっていて昔よく行ったトンカツ屋がつぶれて いて牛丼のチェーン店や新装のラーメン屋を見つけてレンタルビデオの前の道 路は鈴なりの駐車の列で街は眠らない日本は眠らない暗闇はやっぱり怖くて星 空なんか見たくないもっと遠くに行きたい同じことばの同じ日本の同じ街の灯 りをいつまでも眺めていたい他人の不幸も幸せも飽き飽きだ腕の中のこの子の 幸せだけ見ていたいぼくだけが幸せになればいいぼくは眠らない日本は眠らな い日本はいつまでも起きている もう一つ先のブロックまで行きたかったけど 排ガスと夜風にあたって 息子が軽く咳をしたので 抱きなおして ゆっくりと帰った
『クライング・ミス・デイジー』 たあくんが生れてこのかた ユキちゃんはめっきりむずかしくなりました もう三歳 なんだけど まだ三歳 父さんとは手をつないで歩こうとしません 母さんにだっこをせがんでは えんえん 泣いています えんえん えーん えーん ユキちゃんには楽しそうな動物園も おいしそうなラーメンも目に入りません そしてもちろん 通りすがりの 大人たちの困惑したような視線も えんえん えーん えーん うまく言えないまま 立ち止まったまま せっかくのお出かけも台無しで ぼくたち夫婦は 恥ずかしさと怒りで 顔を真っ赤にするばかりです
続き。 おそとに出たいよ えーん おうちに帰りたい えーん たあくんのベビーカーに乗せてよ えーん この服じゃいやだよ えーん ごはん食べたくない えーん ねむたいよ えーん でもまだ遊びたい えーん ひとりはさびしいよ えーん どうしてわかってくれないの えーん この気持ちをどうしたらいいの えーん つらいことばかりだよ えーん 今までがまんを重ねて傷つきながら生きて 毎日の生活には追われてばかりで 声なき声はいつも闇の中にすいこまれて 何故泣いているのかもわからなくて ただ ただ むなしさとかなしみだけが この身を襲うよ えーん そうなんです 父さんも母さんも 疲れはてて傷だらけで 声さえあげることもできずに ずっと前から泣きつづけて いつしかそんな境遇にも慣れてしまって ユキちゃんは そんな両親の背中を そうです 見ていたんです しわくちゃで洟たれの ちいさな花に そっとキスをしました
『異邦にて、精霊たちと』 「そうか、カノさんは、まだキジムナーには会ってないんだね」 南国特有の濡れるような暑い夜、大きなテーブルを囲んで泡盛を傾けて、カコ ちゃんとヨシコさんは、内緒ばなしするように互いのおでこをくっつけ、くつ くつと屈託なく笑った。 「キジムナー?いるの、本当に?」 「うん、いるよ、やんばるあたりに行くと」 「ガジュマルの木に住みついてるんだよ」 コンクリートの床、安っぽいプラスチックのテーブルとイス、学生食堂のよう な饐えたにおい、天井の大きな扇風機がくるくる回って白い蛍光灯がまぶしい、 ライブハウスというには違和感ありありの「ライブ酒場」、なま暖かい風が吹 いて、正面のステージでは内地から来たバンドが「いちゃりば ちょーでー」 と大声で歌っている。ウチナーたちは彼らを歓迎して、合いの手をいれたり、 指笛を吹いたり、なかなかやかましい。若衆と目が合って、にんまり笑う。三 人とも相当量の泡盛が入っているはずなのに、カコちゃんとヨシコさんは、ほ とんどかわらずに喋りつづける。 「五歳のころから飲んでるからね」 「カノさん、『いちゃりば、ちょーでー』知ってる?」 「知ってるよん。『一度会えば兄弟』という意味だよね」 「うん、みんな友達になれるのよ。私、このことば好き」 「私も好き。カノさんと私たちもそんなものね」 汗がじっとりと吹き出す、頭は拍動してほどけない毛糸玉、鼓膜がわんわん揺 れて、夜は真っ青に湯だって終わりそうにない。夏のなま暖かさがまるごと 入ったグラスを飲み干す。
続き。 「キジムナーと、ちょーでーになれるかな?」 「わあ、ちょーでー、なれるよ。キジムナーの好きなものを、ガジュマルの木 の下に、そっと置いておくのよ。魚とか、蟹とか。 最近はね、氷も好きなの」 「氷?何、それ。私も知らない」 「氷はねえ、昔は沖縄には、なかったから。 キジムナー氷食べて、気に入ったんだよ、きっと」 「ほんとかしら、溶けたんじゃないの? でもキジムナー、悪さもするからねえ」 「そんな時は、キジムナーの嫌いなもの置くのよ。知ってた、カノさん? キジムナーは、蛸が嫌い。それからね、うふう、オナラが嫌いなんだって」 「うふう」 ライブはますます盛り上がって、囃子も指笛もいっそうやかましく、夜はまだ まだ終わりそうになく、観客は総立ちで、誰かがやがて踊りだす。踊りの輪は 熱狂的に広がっていく。 「カノさん、明日はきっとキジムナーに会えるよ」 「うん、キジムナーは、どこにでもいるから」 カコちゃんに手を引っ張られて、あやしい手付きで、ふらふら千鳥足、隣のニ イニイと肩を組んで、暑く濡れるような夏の夜、夜はいつまでも終わりそうに なく、みんなで大きく口を開いて、終わらない琉球の夜、終わらない夜、夜の 中、扇風機くるくる、白い蛍光灯、踊る、踊る、踊る。ちゅらちゅら。
カノさんのを見ると、書けない日でも書きたくなるんだよなぁ、詩。 いや、書けないんだけどね……(苦笑
ありがとです。実は最近、ぼくも書けてません。月に1〜2編がいいとこです。 ちょっと長めのヤツは、全部『詩学』に投稿して、採用されたりボツったりし たヤツです。 余勢をかって『現代詩手帖』にも!などとは思ってますが、いかんせん量が書 けないんで、質も向上しない有様です。こういう時はジタバタしてもダメ、っ てのは、経験上わかってるから、しようがないけどね…。 『冬眠』 ぼん ぼん 柱時計が鳴るのはなんのため? ロウソクの火がふたたびともるその時まで 眠りなさい。 眠りなさい。
『北極星とワイン』 東へ東へ 水道水の蛇口をさかのぼり 船は歩く 十四足の黄色いクツをはいて 「海だと思ったらラプラタ河でした」 「島だと思ったら亀のコウラでした」 「いつのまにか雲の中を飛んでいました」 「季節違いの自転車の歌に皆うっとりしました」 「なんでかエピグラフの触角に感電しそうになりました」 「楽しい楽しい旅なんて昔っから存在しませんでした」 「ふざけたような夢のようなそんな浮遊感の真ん中にどっかと座りました」 「いつだって羅針盤は馬鹿正直でいいかげんなぼくそのものでした」 世界の果てだと思ったら 食卓の上でワインのビンが倒れて 滝となって流れるワインの海に死んだように たゆたっていた そんな旅も悪くない
『ニッポニア・ニッポン』 二〇〇三年十月十日午前七時二十分 日本最後のトキ キンが死んで 日本のトキは絶滅した 職場に届いた夕刊の一面に書いてあった 体重1.5kg 予想外にかろがろとしたその躯は 静かに横たわっていたという 三十六歳の大往生 八年前に日本最後のオス ミドリが死に トキの絶滅は確実だった その既成事実を 今さらながらに噛みしめるような記事だった 「これからの日本人は トキなしの人生を歩まねばならない」 午前七時二十分 ぼくは仕事前に 十ヶ月のたあくんをベビーカーに乗せて 祖父母の家へ預けに行く 朝夕は冷えこむようになりましたね ミルクは150cc飲みました ウンチもしました じゃあ行ってきます たあくんが祖母の腕で笑って ぼくに覚えたてのバイバイをする そんなトキなしの人生 「失ってきた たいせつなもの? そんなの いくらでもあるだろ」
続き。 トキはすでに ぼくが子供の頃から 博物館や図鑑のなかの鳥だったことを 思いだした 二〇〇三年十月十日 みんなが寝静まった夜に ぼくは クラークの『幼年期の終り』を 本棚から取りだして ページをめくった 註:アーサー・C・クラーク。SF作家。 『二〇〇一年宇宙の旅』など。
「怪獣詩集」、復活。 『シーボーズ』 怪獣墓場から地球に墜落した かわいそうなガイコツ怪獣 それがシーボーズ 地球人が打ち上げたロケットにぶちあたる という文字どおりの天文学的確率だった 不幸な事故だった 麗しきまどろみの帝国は はるかな過去の遺物となりはてた せっかく怪獣さまにお出ましいただいたんだ このさい盛大にやっつけちゃいましょう 地球はお前のいるべき所じゃないから ありとあらゆるミサイルやら弾幕やら 唾や痰や嘲笑や同情や無関心やらが シーボーズに投げつけられた やっとあらわれたウルトラマンまでもが シーボーズをこてんぱんに叩きのめした
続き。 爆風と粉塵のなかを逃げまどう シーボーズの悲痛な叫び 墓場出身の亡霊怪獣だから どれほどの攻撃をうけても 死ぬことすらかなわなかった うつむき加減にたたずむシーボーズの背中を 誰もみようとしなかった どこにでもよくある日本のフォークロアだった 「怪獣墓場にかえしてあげよう」 心やさしいムラマツキャップはそう言うけど それがシーボーズのしあわせなのかは 誰にもわかりはしなかった
『レッドキング』 レッドキングは 強い 強かった んじゃないかな でもひょっとして いやマジで強い と思うよ 多分 行きつけのラーメン屋で叉焼を入れるべきか 否か、その抗いがたき自己肯定や誘惑や財布 のヒモや高カロリーの狭間で迷走と逡巡をく り返すがごとく、かといって辺りをゆるりと 遠望する余裕などなく、地面にのたくったヘ ビにもウンコにも怖じず、雨にも風にも世間 のシロイメにも負けずに、馬鹿が戦車で行き 逝きてたどり着いたいわゆるひとつの。 小さなピグモンはプチチと潰しちゃった チャンドラーの翼を引きちぎった ドラコもこてんぱんにしたぞ ウルトラマンには 首投げ一本で あわれレッドキング あっさりと死んじゃった
続き。 レッドキングは かっこいいから強い 理由はいらない 名対決に名勝負なしとは昔人はよくぞ言った、 一瞬の立ち会いですべては決まる、巷間では お好み焼ともんじゃ焼の名勝負数え唄とか、 アメリカとイラクが砂漠でじゃんけんぴょん だとか、切実なまでのとめどない喧噪がぼく の心をとらえて放さない、暴れるのは怪獣の 責務だ破壊するのは怪獣のゲノムだ、思想も 宗教も悪意もプライドも王楽浄土もヘチマも ミロのトーナスもありゃしねえ、負けるケン カは三十六計、どっかにウルトラマンはいな いかなあ、どっかにウルトラマンはいないか なあったら! ああ レッドキングよ ただ一途に ひとすじの煙が。
『光の子』 気をつけろよ もうすこしで空飛んじゃうとこじゃないか 重力やあつれきから解き放たれて 大気圏をトッパして それのどこがしあわせというんだ ぼくは 光の子 地球といっしょに笑うこともできる 荒野をはるかめざし 闇も悪意も愛でさえぼくの敵ではない それはぼくだから カレースプーンを太陽に透かして きらきらと溶ける道を 今日も変身する あかねさせ みふぁ
『チェルシーバン』 光を 駆逐するのは闇でも雨でもなく もっとまぶしい光だった へえ を連呼するいとまもなく到達するんだ それはある種のなつかしささえも伴いそして ダーウィンに敬意をはらいつつ 手風琴の恣意のままに季節がすぎていく 音の粒子 また歩くがいい 百億年もたてばいくらでもやりなおしは効くから また歩くがいい
『港町ろきしい★チャンピオンズ』 かわいいウェイトレスが おれの投げだした脚につまずき 仔犬のような目で「もうしわけありません」をくり返す こんなところにまで 潜在的な暴力の根がはびこっていたのか びくびくしちゃいけないよ スウィースー もっと背すじを伸ばしてほら ついでに スカートはもすこしタイトなほうがいいな おれは歩く 視線は 斜め上方15度プラスマイナス2度をキープ うっかり目をあわせちゃいけないよもしそいつが猿だったなら あるいは冥王星がえりのながれ者が 溶けるためだけにこの町へやって来たとしたら おれはどんなに手を汚しても 他人からはいい人と呼ばれ続けたいんだ
続き。 いや正確には クサい飯を食うと 涙がとまらないんだ オフクロの味だったから おれはまだ負けちゃいない いかなる権力にもことばにも屈しない 歩きタバコは2年前にやめたし シルバーシートには座らねえ 生意気なガキを殴ったりとかとんでもない 戦争はイクナイと真顔でいう さて 旧友でもさがしに出かけようか ああまぶしい まぶしいぜ
怪獣シリーズ。 『ピグモン』 (おとなりのワンちゃんは生れたときから ネコとばかり暮らしてきたので 自分がネコだとかたく信じています イヌがやって来ようものなら別の動物ということで ワンワンほえて威嚇します おしまい。) ピグモンは小さい ピグモンは小さい子供の背丈くらいしかない ピグモンは小さい子供の背丈くらいしかなくて風船持ってる ピグモンは小さい子供の背丈くらいしかなくて風船持ってて人間となかよし ピグモンは小さい子供の背丈くらいしかなくて風船持ってて人間となかよしで可愛い ピグモンは ピグモンは怪獣だ ピグモン死んだ 人間援けて死んだ頼まれもしないのに レッドキングの投げた石にプチチと潰された
続き。 ピグモンなかよし 怪獣酋長ジェロニモンは地球を征服するのに 何を思ったかピグモンを生き返らせた ピグモンは当然のごとく人間の味方に付いて 身の丈50メートルの怪獣と闘って せっかくもらった命をまた散らした ピグモンは どうして人間を援けようとしたんだろうか 人間は ピグモンに救けられる資格があったんだろうか 一説によれば なきがらとなったピグモンの魂を 薄暮のむこうへ運んでいく銀の影があったという あれはウルトラマンだったんだろうか あれはウルトラマンだったんだろうか
『ハルウララ』 春うらら とはいいがたい花冷えの雨のなか 高知競馬場にご来場いただいたみなさん ほんとうにありがとうございました みなさん ケイバのケの字も知らなくてもいい このスタンドを この砂ぼこりを 目に灼きつけてください 記憶の片すみに残してください 10年後にはかならず消えてなくなる競馬場です みなさん 地方の競馬場は不況のドン底です 中津 三条 益田 足利 上山 みんな消えてなくなりました 走ってた馬は大部分が買い手がつかず 肉屋の車が引き取っていきました 何十年も働いていた人たちもまた 同じ運命をたどりました ハルウララは幸運な馬です かつてコンビーフになった栄光の名馬や 忘れ去られた馬をぼくは無数に知ってます
続き。 毎朝はやくから働いて 10万やそこらの賞金を取り合いっこしている 場末も場末の高知競馬場も今回だけは ハルウララのお相伴にあずかりました それはひとときの夢でしかないそんなことは誰もが知ってます でもせめてこの滅びの前の宴を 喜びましょう感謝しましょう みなさん 平日の昼間からバクチに精出せとはぼくは言いません ましてや負けた腹いせに近所の家の前でウンコしろとも言いません ただ この競馬場で生きた人と馬がいて どうか どうか
『耳』 いちめんの白い尾花が風に揺れて まるで たくさんの兎が野を駈けていくようだった 雨の予報をきいて 夕暮れの廃屋に宿を借りて 旅の途中 ぼくも心が揺れて眠れない 破れた屋根から 黒い雲が走ってくる 虫の音 戸にあたる風の音 遠くからやって来た黒い雲 やがて屋根をたたく驟雨が 世界を太鼓に変える ごうごうたるしずけさの中で ぼくはひとり 盥の音に耳を傾ける ひとり ひとり いつしか雨もやんで びしょ濡れのぼくは やはり眠れない 破けた屋根からは満天の星空 水滴の音 風の音 せせらぎの音 草原の音 星の音 彼方から響く重奏の集合体 夜のまん中に横たわって ぼくの耳は いったい何を懐しむだろうか
『バンドネオンの山猫』 山猫の 背中は傷だらけだった 舞台のまんなか 古いイスに腰かけて バンドネオンをゆっくりと奏でていた 金と銀の瞳が暗闇で光る 山猫の背中は ぱっくりと肉が割れ 乾いた血糊がこびり付き パリで ニューヨークで ラプラタ河で なまなましい幾多もの戦闘よ 記憶のにおいよ 蛆に喰われるがままの 山猫よ お前の抱えるバンドネオンという宇宙が あのポルテーニョたちの夜の叫びが お前の背中にある傷という傷から まだしたたり落ちる血のひと雫が 答えるのだ 山猫よ お前の指がお前の心が走り続けるかぎり 頭(こうべ)をがくっと垂れて 閉じた 金と銀の瞳
『ルパン三世の背中』 うっかり逆方向の快速列車に乗ってしまったり 足の小指をイヤというほどタンスの角にぶつけたり 外出直前どこを探しても財布がみつからない そんな時 母の背中を思い出す ぼくと弟がびりびりに破いたふすま 散らかしっぱなしのおもちゃ ひっくりかえった昭和40年代のわが家で 仕舞いそこなったコタツに頬杖をついて 若かった母はひとり14インチの白黒テレビで 毎週欠かさず『ルパン三世』をみていた 結婚してすぐに北海道から九州へ移り住んだ まもなく年子の男の子を二人もうけた いくら掃除しても カビとゴキブリとカマドウマは家に侵入してきた 母は無言で『ルパン三世』をみている ワルサーP38が火をふいて 敵を撃った
続き。 「おかあちゃん」ぼくは母に訊く 「あれはいい人?悪い人?」 母は迷ったふうで 「ルパン三世は悪い人」「銭形警部はいい人」 それはマジンガーやウルトラとはまるでちがった展開で 三歳だったぼくはとまどいを隠せなかった 「どうしていい人が負けちゃうの?」 母が何と答えたかは覚えていない ぼくたち幼い兄弟は他愛ない悪さをくりかえして 母によく怒られたりぶたれたり外に追いだされたりした しかし「めし抜き」は一回たりとなかった プチ虐待ともいうべきそんな抑圧の日々を 楽しく生きてきた昭和40年代 ほどなくわが家のテレビはカラーになり 『ルパン三世』は華やかな色でブラウン管に再登場した たとえば納豆にソースをかけてしまったり 買ってきた小説がちっとも面白くなかったり 午前0時というのに たあくんが全然寝てくれない そんな時 ぼくは思い出さずにいられない 白黒テレビのくすんだ『ルパン三世』を 軽い絶望に満ちた母の背中を
147 :
Canopus ◆DYj1h.j3e. :04/04/18 08:56 ID:WWMP0Ixr
えー、何回めかは忘れましたが、しばらくのお別れです。 今回は引っ越し&ネット環境の変化にて、多分1ヶ月ほど2ちゃんには来られま せん(仕事場ではブロックされているので)。 つながる間はこっちにも来ますんで、ヨロシう。
保守しちゃいますね。
『ティヘーラス(鋏)』 ちょん切れ ナニをちょん切れ その蠱惑的な碧空のまなざしで 早足であるくなやましい腰つきで たくましい褐色の肌で ハダカのヘソで ラテンの陰影に見え隠れするダンスステップで ナニをちょん切れ 堕落した赤道都市にとける陽射しのもと 山の斜面にへばりつく段ボールのスラムで コカのにおいにカラダごとほてりながら 甘いささやきの羽毛にだかれて 弓のように背中をしならせ あるいは夜露の草むらで口をふさがれて 両腕を縛られ スカートは切り裂かれ じりじりとチューリップの花弁は開き 下腹部の蜜に濡れた弾丸を充填し ためらいなく発射した
続き。 ナニをちょん切れ 股間に醜く垂れさがる萎びたヘソの緒を 12歳の誕生日に否応なく貫かれた記憶を 忌まわしくも荒ぶる吐息の男の感触を 学校を追われ背に浴びせられた無数の視線を 虫けらのように死んでいった肉親の笑顔を 生きるために殺し 死ぬために殺した 壊れるために壊し はじめから壊れていた みずからの影さえも分断して 背中合わせの一対の刃を颯爽と綱わたり スパンコールひるがえって切り口の空洞 真紅さらさらと彩るんだ世界を 地下1階に吹きつづく熱風 豆電灯そして ちょん切れ。
『ハナたれの小春日和』 家族みんながハナたらした小春日和 母さんは仕事で出かけてしまって 父さんは ユキちゃんとたあくんを公園に連れていって やりたいけどそれもできずに 掃除をしたりたあくんにミルクをあげたり 二人が散らかすのをだまって見ていたり そんなこんなで午前が過ぎていきます 昼ごはんの後 たあくんを寝かしつけて ちょっとつかれて 父さんもいっしょにゴロゴロしたいけど うっかりするとユキちゃんが 父さんを看病しに来ちゃうので おちおち横になっていられません 「たいへん たいへん パパがびょうきよ」 ありったけのおままごとセットとご丁寧にも 体温計まで持ちだしてそれはいそいそと おかゆを作ったりおくすりを調合したり 甲斐甲斐しいことったらないのですが おへそのゴマをとろうとしたり 木琴のバチをつっこんで ノドのおくすりを 塗る段にいよいよなって もうたまらんと飛びおきる始末です
続き。 ユキちゃんは この2週間 どうしても幼稚園に行こうとしません ぱんだ組でいちばん最後におむつがとれて 二十歳そこそこの若い先生がたは わが子のことのように喜んでくれました お絵かきがとても上手ね と ほめてもらいました さくらちゃんというお友達もようやくできて たのしく手をつないでいます みんなが遊ぶ輪にはまだ入れずに その様子をニコニコ見つめています 「ようちえんには行けないの」 ユキちゃんは少し申しわけなさそうに 静かにかぶりをふるだけです ゆっくり 成長すればよいと ほかの子と比較するわけでなく 大丈夫だよ と 誰かに肩をたたいてもらいたいわけでもなく ただぼくたちが予測していたとおりに 一日が過ぎるのはあまりにもはやいのです
さらに続き。 ハナたれているのは みんないっしょ 泣いてるわけじゃない 「はやくおかぜをなおそうね」 父さんはそれだけ言うのが精いっぱいで たあくんもそろそろ昼寝からさめる時間で 夕方の冷気が忍びこむ小春日和の台所 ハナをすすりながら厚揚げを煮たりレトルト フードをレンジに入れたりして 母さんの帰りを 遊びつかれた仔犬のように待っていました
とりあえず復活です。mixiさん、どうもありがとうございます。 子供の世話をしなきゃならんのでひとまずオチますが、 ボチボチ顔を出していきます。
キス あなたのくびすじにキスをするとき 髪から他の男の臭いがしたので、 僕はおもむろに君を殴りつけた。 すると君は泣きながら、その臭いは わたしたちが今、こうしてここに居る理由だと 言って空を指差した。 何の変哲もない景色が四角に切り取られ、 君はその中に何人も居た。 僕は一番幼い君を抱き上げたら、 やさしく頬にキスをしたのだ。
オカエリなさいませ>Canopusさま。 謹んで、喜びの意を表明させていただきます。 − 足跡 − 名も無き私が青い花びらを振りまいて そこかしこに足跡を刻みます やさしい風があってこそ やさしい誰かがあってこそ そんな遊びも出来るのです お帰りなさい、お久しゅう いらっしゃいませ、こんにちは あなたが作るこの風は どうしてこれほどに柔らかく甘いのか 答える術もないままに 喜び震える花びらを 足跡代わりにそっとひとひら ここに置かせてくださいね
真実 私の中で 私を励ましたり 私を慰めたり 私を叱ったり 私に立ち上がる勇気をくれるのは誰? 耳には聞こえない この声は誰のもの? 一生、出会うことのないこの声の持ち主 眩しい光の発信者 私でなく もう一人の私でもない 日の出のように 夕日のように たったひとつの たったひとつの 生命の源が 世界中の人々に語りかける
北さん、156さん、早速ありがとうございます。
2ヶ月近く来てなかっただけなんだけど、けっこう浦島太郎の気分です。
ま、ぼちぼち行きます。
ちなみに
>>149-150 は現代詩手帖に、
>>151-153 は詩学に投稿して落選したヤツです。
『悲しき頃』 かなし きころ そのか みに さわら びはも え いなび かりわ きいで て ほむら もりを おおい ひゃく がのま ぼろし とび そのこ ころだ けの こころ だけの かなし き
『鏡のなかのトーキョー』 それはちょうど地球の裏が透けてみえて ブエノスアイレスのマリアが 生れながらにして何度も死んでいたように やわらかな影のままで 東京よ ぼくも君もずいぶんくたびれてしまった だから余計に 夜も昼も自らを飾りたがる 地下鉄を乗りかえる 駅から駅へ ただ君を通過する おなじ方角を求めて歩くせまい通路で ネクタイをしめた白ウサギが時計をみながら 「遅刻だ 遅刻する」と跳ねまわった それはきっとどの世界でも起こりうるような 事件ともいえない些細な 君への導入部だったとして ぼくは いつまでこの階段を降りつづけるのだろう?
続き。 東京よ ぼくも君もずいぶん歩いてきた 冬のプールに浮かぶのは枯れた苔ではなく どこまでも伸びやかな君の肢体 無関心な窓に 君の全身が映ってみえた なにもかも壊してしまいたくなったぼくは 両手でつくったカメラのフレームを向け パチリ と 在りし日の君をぼくの人さし指に刻みこんだ
『肩にふりかかる』 黒頭巾ちゃんが寝ているあいだに 内緒で神さまをこわしてしまおうか 慈愛のシャワーがどうしてもやまないなら 谷間のユリ という名前の薔薇をささげよう あかいゴマシオを世界にふりかけるように キレイな農薬が大河を埋めつくす 「なあ もうページめくっていいか?」 「だめだよまだ読んでるんだから」 そしてぼくらは空を見上げた ぼくらの夥しい血もナミダも どこにも流れてやしなかった いいかい 世の中にたいせつなものなんてひとつもないんだ こわれたおもちゃもこじれた関係も切り裂かれたサキイカも 決してもとには戻らないんだ って誰ですかそこで ウサギの首を嬉々としてもいでるのは 対流とか円環とか いちいちめんどくさいけど スルーパスの名手とよばれるのにはやぶさかでない ほら見えるだろう 冷たい雨がやんだあかね雲のむこう 黄昏に消えゆく巨星たちの強い光が 「やべえ赤信号だ」 「いっちゃえいっちゃえ」 生きるということ
『マリーノ超特急』 あわくふくよかな海洋特急列車 が ぼくらを南へはこぶ 間断なく規則正しいマリンバのエンジン音 海に敷かれたレールをゆっくりと エルスール エルスール エルスール 仲間は海に喰われた 肢体を折り曲げ手のひらをかるく握って あろうことか眼を閉じたままほほえんでいた 知らない仲間だった 慟哭するひまもなかった 3日後にながれる車掌の声明まで予想できた 海は列車のあしもとから 単調だが効果的な攻撃をくりかえす お花畑やどこまでもつづく草原を 夢みる年齢はとうにすぎてしまい 背中にべっとりと張りついてまぶしい 1時間の停車 フェードアウトするユニゾンシフト 海に囲まれたプラットホームに降りたって 沈んでしまった過去をのぞこうとした ぼくらはもう 天気と風の話しかできなかった
続き。 ときおり海をこえて 遠雷のような地鳴りがきこえてくる どおおん ごごごご あれは水に浸かったビルヂングの崩落する音 きみは突然両手を太陽にかざし みじかく イグアス! さけぶ しずかな 南に帰郷する車窓でそんな紀行文を読んだ ゆっくりとはしる海洋特急は どこまでもどこまでも海で 次の到着時刻もわからないまま ぼくらはやがて浅いねむりにおちる
『愚者の楽園(マリーノ超特急)』 火曜日には お気に入りのアクアバイクに跨がって 積めるだけ積んだジャスミンの花束を届けに 海上に浮かぶ列車整備駅まで出かけていく 海に囲まれたプラットホームで陽に灼かれて 彼は私を待ってるだろう 明日停車する海洋特急の準備に大忙しで 流れる汗と機械油にまみれて 私をみつけて手をふってほほえむだろう 明日はマリーノ超特急が到着する 海に敷かれたレールをしずしずとやって来る 停車時間は一時間 次から次へ迫りくる仕事を 彼はひとりでこなしていくだろう エンジンの点検と調律 車輌のサビ落とし 滑車にこびりつく塩塊の除去 客車に機器に侵入するフナムシ退治 フナムシ退治にはジャスミンガスが有効で それは彼の独自の研究成果で 私は毎週ジャスミンガスの原料を届けにいく
続き。 かつて駅には整備士がふたりいて 私の入り込めない硬い友情で結ばれていて ある日ジャスミンガスの効能を管理局に報告した同僚は めでたく上級技術職に転身して 彼はひとりになった (だってさあ エラくなって迎えにいくなんて不可能だよ え 誰をって?) たったひとつの彼のこだわり それは ジャスミンガスは使用前日に製造すること ジャスミンを抽出し終えて 手のあいた私は彼の庭をこっそりのぞきにいく 武骨な駅舎の片隅に設けられた こじんまりとした花壇に ひと株の野バラが忘れられている 色褪せた小さな花と乾いた葉っぱ 吹き荒れる海風のなか枯れずに咲いてるのは奇跡だった (ここは潮の香りしかしない)
続き。 葉っぱにしがみつくアブラムシをちくちく取りながら私は 野バラに話しかける ねえ 結婚しない? 私はあなたの助手もできるし それからプラットホームでジャスミンを育てよう 海に侵食されたこんな世界だけど この駅だけは花の香りでいっぱいにしよう そしていつか私の子供たちが 広いジャスミンの庭ではしゃぎまわる日を夢みよう (マリーノ超特急の旅人よ もしあなたが 海風のなかに花の香りを感じたなら 感じてくれたなら) いつの間にか 見渡すかぎりの海に月がのぼって 私は今週も帰りそびれてしまった 明日はふたりで列車を待とう ジャスミンガスも出来たし 彼もまんざらでもないふうで 月がきれいだし 実のところ 海洋特急はいつ到着するのかわからないしで
『水仙』 あまりにささやかな事件だったので ぼくはそれを忘れようとした しんと降りゆく神話の雪のなか 川辺にたたずむ一輪の水仙の ひっそりと映る 永遠に失われた瞳を 焦がれながら探しさまよう まだ幼い少女の姿を それは春の訪れというには あまりに哀しくささやかな事件だったので ぼくはそれを忘れようとした
『土星さんの帽子』 夏至祭の夜はちょっと冗談じゃすまされない めくるめくまばゆい星空で あちらこちらで星タバコの煙がたなびいて あたしは楕円形の星座早見表を片手に 例年どおり田んぼのあぜ道で 偶然を装って土星さんを待伏せします やっとあらわれた土星さんは 自慢の帽子を目深にかぶって ふわふわ浮いてて でも足は田んぼの泥だらけで たくましい二の腕が陽に焼けてて 土星さんは星をみるのがとっても好きで こんなに明るい白夜だと星がみえないね と さわやかに笑います あれほど星がまたたいてたのに 土星さんのいったとおり太陽が沈まなくて きいろい闇は一瞬でしろく早がわり 面喰らったあたしは こんばんは 精いっぱいの笑顔でつきあって 土星さんのほんとの顔は帽子の広いツバの翳でわからなくて あたしも星をみるのが好きよ とつぶやきます
続き。 土星さんの帽子は立派な縞模様 広いツバも立派な立派な縞模様 だれもが土星さんの帽子に夢中でほしがってさわりたくて だから夏至祭の夜空は飛び交うロケットの火花でいっぱいだけど 土星さんはどこ きいろい闇みつからない 土星さんの帽子にホタルがとまってつるっとすべって転んで 土星さんとあたしは手をつないであぜ道を歩いていきます あたし土星さんが好き あたししあわせだわ 土星さんのあたたかい手のひら握りかえす いくつもの火花や紫煙が夜空をいろどって 土星さんの笑顔が好き たくましい腕が好き 土星さんの帽子が好き 帽子の土星さんが好き かがみこんで土星さんのほんとの顔をのぞきたかったけどできないで 白夜のみじかい恋は もうすぐおしまいです おわかれの時刻です 夏至祭のおおきな扉が開きます いっておいで こころだけで やさしかったあなたのたいせつな人たちに よふけの窓をノックして 涙をふいてあげて さびしいさびしい道をずっとひとりで歩いてきたあなただから いきもかえりもこわくなんかない エンキドさんもナミさんも見守ってるよ でもうしろの正面ふりかえっちゃだめだよ ではいっておいで よい逢瀬を
続き。 売られてクスリ漬けにされて 骨まで灼かれたあたしの かえる場所はもとよりどこにもなくて それでも毎年のこのこやって来るのは ただただ土星さんに逢いたいからで そんなことはとても言えなくて ぽろぽろ涙がとまらないで 土星さんの帽子あたしをぎゅっと抱きしめて 土星さんやさしくてあたしますます泣けて 土星さんのほんとの顔やっぱりわからなくて さよなら いってきます やっとの思いで声しぼり出した あたしは もう忘れなくちゃいけないのでした
『そいつは海じゃない』 あつくて あおくてあかくて 夕立ちが来るのをひと月半くらいまってた あまくてあざやかで あやふやであさはかで あきっぽくてあきらめが早くて 工事現場にはどでかい紅白の 固定クレーンがどんと設置されてて 太い軸索が空をくっきり切り取って 補色じゃないけど やけにきれいで 気をつけろ そいつは海じゃない ゆうやけだったらクレーンがそらにとけて もっともっときれいかもしれないと ふえのれんしゅうしながらおもいました けれどすっかりわすれて したむいて10えんだまひろって うたうたいながらかえりました
続き。 ひろい広場を支配する夏の騒擾の音楽だ 笑いさんざめく鳩の群れだ ぼくはちがう ほら気付いてほしい 翼の尖端の色あいがグラデーションで ちょっと痙攣的だろ だからぼくは胸まで浸かって葬式する においに敏感な日本人は 枯れてしまった花の残骸を放っとかないから 気をつけろ そいつは海じゃないかもしれない だいたい夕焼けなんてほんとに存在すんのか あかあかと染まるてめえの面影だと? じょーだんは顔だけにしてくんねーかなあ いつも弱っちくウスぼんやりしてくばっかで あれじゃまるで少しずつ死んでくみてえだ なになに 夕焼けこそがあれは原初の死で 所在なげな恣意的先入観のいわばわれわれは 貸衣裳にホンローチートイのハタハッハで A子の芋洗いと冷えピタな坊主めくりの ハカマで屁をひるアスパラバレンシアだ? いいかお前 ちょっとそこ座れ …このバカが ああ 永遠のヘッドロックでもかましてやりてえよ とりあえず そいつは気をつけたほうがいいとおもう
続き。 もすこしだけ歩こうか ズボンの尻はゼツボー的に破けっちまって ぼくの人生こっから夜なのかな なんて つぶやいたりして そんなにツラくないけど そんなに脚もいたくないけど 適当なとこあちこちさすって 歯グキむき出して もう少しだけ なんとなく て言ったら 君はおこるかな
『ツノ銀』 曲り角をのんべんだらりと曲ったところで ユニコーンに出くわして 「ほらよ ブツだぜ」ツノを一本わたされた ユニコーンっていったらあれだろ 女のそれも処女しか相手にしない 17歳ギラギラ童貞くんみたいなスケベエ馬で それがなんでオレに絡むんだよって訊きたかったけど そいつの目つきときたらちょうど 共産党を非難する時の石原慎太郎みたくイッちゃってて 怖くて何もいえずにもらっちまった こないだヤギのシッポをつけて歩いた時は あまりにハマってたらしくて誰も笑ってくれなかった これワシントン条約にひっかかってねえだろうな という危惧はあったが この際だからツノをおでこの窪みに装着した ぴったりだった
続き。 ツノは重いからふんぞり返って歩く ツノは月に引っぱられて波のようにうねる 間もなくテレパシーが届く オーヴァ オーヴァ こちらナポレオンボナパルトです オーヴァ ヤツは新たな諸国民解放の第一歩として パリのディズニーランドでバイト中だという 着ぐるみは暑くて重くてたいへんだと流暢な博多弁で話す ヤツはツノを通信販売で買ったんだと オレのツノ入手の経緯を話すと思いきり羨んだ オーヴァ 鬼の幼い兄妹が泣いている 寒くて腹へって道に迷ってあたりは地雷が埋まってて 汚染されたヒトの肉しかなくて妹の顔は土気色です だれかなんとかしてくださいいもうとだけでもたすけてください たちあがるげんきさえもうありません オレは全人類を代表して詫びた ごめんな 多分サンダーバードは ツノ生やしてない金持ちのボンボンしか助けないんだ だいたいオレが助けにいったとしてお前らオレを喰っちまうだろ 鬼はヒトを喰わないってそんなの信じられるか トナカイとか龍とか そのほか全世界のツノ愛好家たちのテレパシーが飛んでくるが オレは正直そんなのどうでもよかった
続き。 お前とテレパシーがしたかった お前ツノつけてくれるかなあ ツノつけていっしょに歩いてくれるかなあ お前におでこの窪みあったかなあ 月にツンツン引っぱられて と ビッグニュースが飛び込んできた 地球がツノさしたんだと 誰がイタズラでさしたんだよ地球のおでこってどこなんだよ イルカと泳ぐエコロジー野郎のようにわくわくして 地球とテレパシーしてみたんだが うん まあ 詳細をここに書くのはちょっとはばかられる ひとつだけいえることは 地球あんまり頭よくないみたいだった
久々におもしろい詩をみました。ありがとう。
ありがとー。よーしがんばるぞー。 『ロボット』 「父さん」 「うん」 「もうすぐ俺、初給料日なんだけど」 「そうかおめでとう」 「なにかほしいものある?」 俺の目には父は典型的な仕事人間で 週休二日制になっても 土曜にはいそいそと職場にでかけていった 「ロボット」 「へ?」 「いやだからロボット」 「…AIBOじゃないよね」 「うん」 「……いくらすんの?」 「三千万円」 迷ったあげくに俺は 新しい電動ヒゲ剃りを父に買った 母と婆ちゃんに何を買ったか まったく覚えてない
『海を渡る(マリーノ超特急)』 「線路の上を歩いて海を渡る それ自体はけして珍しい行為じゃない だが 心してきいてほしい 次の駅にたどり着くことのできる者は きわめて稀である 「大洋をどこまでも縦断する一本の直線 それは島嶼 それは紡がれたほそい蜘蛛の糸 それは世界をやさしくコーティングするシナプス それは人類にただひとつ残された叡智 「必需品 まずは 一本のおおきな水筒と 絶縁体の手袋と靴を用意すること 線路は帯電していて触れると必ず体を蝕む また駅間の距離は定かではないが 夜通し歩いても二日は優にかかる 「マリーノ超特急は週に一本 南回りの便ばかりが走っている 急げ 急いで海を渡れ 列車がぼくらを飲みこむ前に ぼくらの運命が サイコロのように決まってしまう前に
続き。 「線路のまわりの波はおだやかで はるか向こうには灯台がかすんでいる 口笛を吹きながら渡った 私を祝福する太陽と空と海と線路と 旅の道連れにウミネコの泣き声と 駅までの道のりはけして退屈しない 「われわれのエグザイルの 妨げとなるのは高波だけではない 強い紫外線と海風は確実に体力を消耗させる 波に洗われる線路は 常に横揺れをくり返し 海を渡るわれわれを拒絶するかのようだ 「そして今やかなしいことに イルカもクジラも人類の敵なのだ 彼らに見つかったら最後 四肢から徐々に喰われて 私の存在した証はどこにもなくなってしまう 「このちいさな街に生をうけて なにひとつ不自由なく暮らしてきた それなのにどうしてだろう 駅がぼくをいざなうんだ 旅に出ようとぼくをいざなうんだ
続き。 「海を渡るには駅を見つけなくてはならない 駅の正確な場所は誰も知らない 規約上は誰にも訊いてはならない 秘密裏のうちに目くらめっぽうに 探す 薔薇の薫りのする方へ 「駅員は親切にも旅の手ほどきをしてくれる 最低限の必需品まで揃えてくれる 駅員はパトロールも兼ねていて 海を許しなく渡る者を取り締まる 彼らはためらいなく密航者を射殺する 駅に駅員のいたためしはなく さびれたプラットホームがぽつんとあるだけだ 駅は 存在しない 「海の向うだろうか マリーノ超特急の汽笛がきこえる 姿をみたことはない 音だけの幻の列車だ 私は思い出すかつて私の成し得なかったくさぐさを ユニゾンのこだまはいつまでも続く後悔のように
続き。 「ぼくははだしで 海上のプラットホームに立っていた これからぼくの渡るまっすぐな線路だけを見ていた 次の駅は かすんでまだ見えない 歩きはじめる 「ぼくは駅を知らない ぼくは線路を知らない ぼくは海を渡るすべを知らない ぼくはマリーノ超特急を知らない ぼくの眼前にひらけた道を知らない ぼくは海を知らない 知らない。
『家族写真』 なつかしい声に反応するかのように、彼女は、最後にもう一度だけ振り返り、 何回かゆっくりとまばたきして、そして微笑んだ。 1990年2月14日。旅立ちの日から、13年の月日が、すでにながれていた。時速 6万キロをこえるスピードで、文字どおりの虚空をただひとり走る、彼女。地 球から40億マイル、太陽系は、はるか後方であった。彼女の耳に地球からの声 が届いて、彼女は180度旋回し、その瞳を地球にむけた。 惑星探査機、ボイジャー。 振りむいた彼女の瞳にうつったもの、それは、ひとつのフレームにおさまった、 太陽から冥王星までの、十の光の肖像。 それは太陽系の家族写真だった。 小さくともなお光彩をはなつ、太陽。 木星と土星は、太陽を挟んで輝く。やっと視える程度の、小さな点でしかない。 水星、火星、冥王星は小さすぎて、どんなに解像度を上げても、確認すること が出来ない。 地球も…いた。金星とふたり、寄り添うように、宇宙の闇のなか、弱々しく光 る、ちいさなちいさな光の粒。 家族写真は、いつでも静謐に包まれている。
『シング・ウィズ・ウルブス』 「きょうはパパとおふろにはいるの」 ユキちゃんはすでにすっぱだかで あたりをとことこ歩きまわってるので 父さんもあわててすっぱだかです。 シャンプー シャワー ちょっとした格闘のすえに ふたりで湯舟につかります 「パパ、おうたうたお」 「うん何がいいの?」 ワーオワーオ ワオー ボバンババンボンブンボバンバババ ボバンボバンボンブンバボン …『狼少年ケン』です。 昭和39年放映のアニメですから 教えたのはもちろん父さんで ユキちゃんはイッパツで この歌を気に入ってしまいました。 それにしても子供というのは どうして何度も何度も際限なく 同じ歌をうたいつづけるのでしょうか。
続き。 「ワーオワーオ ワオー」 ―また歌うんかい。 「いつもおいらはなかない」 ―うんうん。 「しっぱいだってへっちゃらあ」 ―歌詞をつくっとるぞ、つくっとるぞ。 「わらうかどにはふくきたるう」 ―エラい方向にハナシが進んでるなあ。 「みんな いーいーこー」 ―…もう何も言うまい。 カエルの子はカエルと申しましょうか いや正確にはオタマジャクシなんですけど 夜のしじまにこだまする ボバンボバンボン ブンバボンです。 「パパ、このおうたね、いつも 保育園のみんなでうたうの」 うそつけえ。
『むかしは』 むかしは ふゆのゆうがた じんせいだとかれんあいだとか げいじゅつのしんえんたりうるあるいはならざるもの について しんけんにかんがえた ちんこもひとなみにいじった ぼくは しあわせだった となりのへやでユキちゃんとたあくんがひるねしてて こんなながいひるねだとよるがたいへんだなあとか せんたくやごはんのしたくやあとかたづけのこととか かあさんとさいきんいちゃいちゃしてないなあとか ユキちゃんにはやくともだちができるといいなとか たあくんのごはんのすききらいがなおりますようにとか そんなことばかり かんがえる ちんこはいまでもすこしだけいじる ぼくは しあわせだ
ひらがな だ おとな の ひと も ひらがな すき?
すき。 フンジャコンドハカタカナデ。
『家族写真・2』 黒・クロ・赤茶イロノ土・ネムル・光ガ射シコムアレハドコカラノ光ダロウカ ・眼ヲサマス・青イ泡・ぷりずむ・白ノ研究室ヨリワレハ旅立ツ・赤茶イロノ 土・燃エユク・赤ノホムラ・おー?hぁ・ホムラハ散逸シ地表ヲ焦ガシ・ヒカリ ・光ガ射シコムアレハドコカラノ・透メイノ重力・壁・赤茶ヲ脱シ蒼ノ泡ヲ抜 ケ・ワレハ交信ス・時速60,000まいるノ壁・遠ザカル故郷・僅カ須臾ノ間ニワ レハ振リ返リ・光ガ射シコムアレハドコカラノ・青・アアアオノ星・シロ・赤 チャイロ・遠ザカリユク・アアアアアオノ星・くろのすヲうらぬすヲカスメワ レハ立チ止マラズ・おー?hぁ・漆黒・ソレデモ光ガ射シコムアレハドコカラノ ・光カラ光ヘワレハ旅スル・時速60,000まいる・ワレハ青ク輝キタシ・ワレハ カノ天体トトモニアリタシ・アアアアアオノ星・ワレハ射シコムドコカラノお ー?hぁアレハ光・闇モ壁モ音モナク立チ止マラズ・故郷ヨリ40億まいるノ地点 デワレハ懐カシイ声ヲ聴キ最後ニモウイチドダケ振リ返リ・ぷりずむ・きゃめ らヲ反転サセ・太陽系ノ家族写真ヲ・遠ザカル・ふれーむニ・オサメタ・ 寄リ添ウヨウナ光ノ粒。
191 :
曾村益廊 :2005/05/01(日) 19:10:26 ID:jA1KOrsy
うわ、なんだココ。 カノープスしか書き込んでねー…。 よし、俺が書き込もう! 『いっちょ、やったりますか』 激しく疲れたココロとカラダ 突かれたから疲れた あんな激しいのは生まれて初めて… ポカポカ陽気にさそわれて 股ぐらアリスが散歩しています ねえ、見てごらん 蟹がいるよ ほんとだ、こっちを見ているね じゃあ、 いっちょ、やったりますか
>>191 そーなんだよ、なんとかしてくれよー。
『こういうふうにして世界はツナがってる』
ねえ この花なんていうの?
うん オオイヌノフグリ
陽射しの明るい草っぱらには
薄紫の可憐な花がいっぱい咲いてて
ぼくは君がその花の名前を知らないのが意外だった
ふーん オオイヌノフグリかぁ
あ ここにもオオイヌノフグリ
あ ここにもオオイヌノフグリ
ねえ オオイヌノフグリたくさん咲いてるよ
オオイヌノフグリきれいだねえ
オオイヌのキャン玉と連呼しながら
草っぱらにかがみこんだ
ライムグリーンのミニのワンピース
君の無防備な形のいいオシリ
うっすらとパンツのライン
ああ オチリ オチリ ああ パンチュ
ああ サイコーだね
こんなふうにして世界はツナがっていくんだね
と ぼくは
君に的確な返答をしようと努力した
194 :
曾村益廊 :2005/05/19(木) 10:16:31 ID:Crr4m/xT
『会計士ナワバリ娘』 しめ縄食い込むあなたの季節 みだれた前歯がまぶしくて 港の奥で後背位 男ロマンの肉付け浣腸 日干しメロンが食べたくて…
195 :
未羅琥瑠 :2005/05/19(木) 13:28:05 ID:wDiKF2AM
春には春の風 夏には夏の風 そう もうすぐ待望の夏がきます お祭りの季節 楽しみだね 夏祭り 好きな人と 手をつないで行こう 射撃が得意な私 射撃の出店で あれをとって!!!と、彼 とれるかなーと不安げの私 とった とった とれました 喜び顔の彼 たまにはこういうのもいいかな 反対だと思うけど 甘えられるのもいい感じ 夏祭りには浴衣姿の女のこ達が 一番浴衣姿を見て欲しいのは彼 可愛いいっていってくれると思ったら 赤い顔して下向いちゃった まあ、いいか 夏の思い出 夏には夏の 秋には秋の 風が吹く
『朝』 その日のうちに 生まれてくる いのちのために 地球は 美しい嘘を吐き続ける
『成層圏ランデヴー』 さあ、今から 大気圏に突入するわけだけど やっぱり映画みたいには カッコよくキメられないよね。 火の玉よけのこうもり傘で 右手はふさがってるし 左手で君をしっかり抱きしめてる。 そうなるとズボンが爆風でずりさがっちゃうんだ。 だからものすごいガニ股で 成層圏を駆け抜ける ぼくと君 君もパンツがずれないよう大股開きで ブラウスの裾がめくり上がる感触が伝わって ぼくの下半身ときたら 君の下半身のことばかり考えてて 始末におえない。 すごいスピードだね。
続き。 ほら、とおくにソラクジラがみえるだろう あそこではソラウサギの集団がぼくらを観察してる 彼らは有名なんだ 地上からも時々確認できるから。 ぼくらの鼻先で ポツポツ飛び散る火花、これはソラミジンコ。 君はモスグリーンの瞳をうっとり開けて ぼくの耳もとでささやくんだ。 うん。ステキだね。 うん。ぼくらの愛は永遠だね。 でもさ、映画みたいには ぼくら首尾よくいかないんだ。 やっぱり現実ってキビしいよね。 ぼくも君もススだらけの顔で 爆風で髪の毛は逆立ってるし おまけに君の長い髪がチリチリ焦げてるよ。 ぼくら二人してなんかの悪ふざけみたいで いつまでもバカ笑いしてて 成層圏で永遠の熱いキッス なんて できそうにないね。 すごいスピードさ。 ほら、もうすぐ成層圏を抜けて ぼくらおなじみの青空のなか。 ほら、もうすぐなつかしの地球、 ぼくの故郷。
『未投函の手紙より(Mr.チャボの苦悩)』 前略 Mr.チャボ きみが組織を脱走して 正義のヒーローになって ずいぶんツラい暮しをしていると 風のたよりに聞いている ガキの頃からずっと一緒だった きみの笑顔は変ってないだろうか ひとりぼっちで さみしくはないだろうか ぼくはとてもさみしいよ きみに手紙を書く気になったのは ほかでもない こないだ ぼくもとうとう改造を受けたんだ フラワー団の幹部 怪人菜の花として生れ変わったんだ このぼくがフラワー団の幹部だなんて 怪人菜の花だなんて 笑っちゃうね 涙がでるくらい
続き。 来週には 幼稚園襲撃計画の指揮を任された 多分きみとも闘うことになるだろう フラワー団の命令は絶対だから きみとの思い出を 人間としての記憶を 全部捨てなくちゃならない 今日 アパートを引き払ってきたよ やさしかった大家さんから敷金の残りをもらって 時々差し入れを届けてくれた 娘のミヨちゃんにさよならをいってきたよ ミヨちゃんたら 社交辞令だろうけど 「菜の花さん お元気でね」だって 頼むからフラワー団の怪人に やさしいことばなんか掛けないでくれ ああ 特攻隊員の気持ち って こんな感じだったのかな ぼくは 怪人菜の花 フラワー団の幹部 この手紙をポッケに突っ込んで 世界征服のた め Mr.チャボ カナラ ズ キサ マヲ タ オ ス
『流星雨の夜(マリーノ超特急)』 海上を突っ走るマリーノ超特急は どこまでも青い廃虚やら波濤やらが 混じりあったりのたうちまわったりで 車輌の隙間から 夜が入りこんでくる頃には 俺もアンちゃんもいい加減しょっぱくなる。 こんな夜にはどこからともなく 子どもたちの翳がやってくるんだ。 ひとり またひとり。 いつしか客車は 子どもたちの翳でいっぱいになる。 客車の最後尾は 夜になっても灯りが点らない 俺とアンちゃんは 錆びた義肢がやたらにしみて この時刻にはすっかり眼がすわっている。 痛みはアルコールで抑えるのが 大人のやり方 子どもたちの翳がやかましくてしずかで どうしようもない星空だ。 あ 流れ星。 夜空にまんべんなく降り注ぐ流星群に 子どもたちの翳は歓声を喚げる。 また流れ星。またまた流れ星。 それにしても光の筋はあまりに多すぎて ケムリさえ立ちのぼるくらいの勢いだ。
続き。 子どもたちの翳が夜空に映ってみえる。 願いごとは当分おさまりそうになく 流星をすくおうと両手を伸ばして 暗やみがこわくて今まで泣いてたカラスが どいつもこいつも 瞳を輝かせて笑っていやがる。 ああ そうだ。 俺もアンちゃんも知ってるんだ こいつは流れ星なんかじゃない。 空にかつてひしめきあった人工衛星のかけら そいつの迎撃に発射されたミサイルのかけら 遠いそらの向うで繰り広げられた 過去の無色な戦闘の成れの果て だ。 そいつらが毎晩のように地上に降り注ぐ。 ぼくの手みつかんない。もげちゃった。 ママ どこ? ママ? アンちゃんが眼を閉じたままつぶやく。 ごめんな。 どうやら俺たちはお前らに 世界をそのまんまで渡す羽目になっちまった。
続き。 歓声が遠のいていく。 流星雨がやんで子どもたちの翳は 騒ぎ疲れて眠りにおちる。 ひとり またひとり。 冷蔵庫のような体型の車掌がやってきて 窮屈そうに背中を折り曲げながら 眠った子どもたちの翳ひとりひとりに 一枚づつ毛布をかけていく。 子どもたちの翳はぐっすり眠ったまま 夜と毛布に溶けて消えていく。 ひとり またひとり。 車掌が子どもたちの翳にちいさな声で 抱きかかえるように なにごとかささやきかけるが よく聴き取れない。
「置き手紙」 前略、Mr.チャボさま 怪奇!ホルモンバランス異常の恐怖、中年思春期怪人ゼッケンです とつぜんで申し訳ありませんが、明日の決闘はなかったことにしてください しょうこりもなく、おれ、また女に惚れちまいました おれはもう誰かに惚れるなんて思ってなくて、だから、そろそろチャボさんにやっつけられてお見合いでもしようかな? だったのですが、昨夜、最後のパーティだと思っていった場所で彼女に出会っちまって おれの武器はコンドーム水風船爆弾、一個だけ使用済みという設定だったのですが コンドーム全部使用済みになっちゃいました、てへ。 彼女についてはここにはなにも書きません。書いてしまうと、本気になってしまいそうだからです やり終わってもまだどきどきしてるんです。また会いたいなんて思っている自分がいるのです どうなんだろう、こんどはホントなんだろうか? これを確かめるまでは、だから、チャボさんとはたたかえません 勝手で卑怯ですけど、どうかお願いをきいてください それでは、ますますのご活躍をお祈りしています 草々
『メール受信エラーです(Mr. チャボ 敵はフラワー団だけじゃないぞ!)』 来る 来ない 来る 来ない 来ない 来る… 散ってゆくイチョウの葉っぱを数えていたが あくびをしている瞬間に 見逃してしまった おととい販促のおネーちゃんからもらった ケータイで連絡をとろうにも 決闘相手の電話番号なんて知らないし そもそもカネがなくて契約できなかったんだっけ 踊る 踊らない 踊る 踊らない… 踊らない! がらんとした造成地の裏は切り立った崖になってて Mr. チャボは そこを勢いよく滑りおりる いや 滑りおりようとして 石に蹴つまずいて マント踏んづけちゃって あまりの傾斜に脚が追っつかなくて チャボは大きく伸びあがるように 宙に舞う 飛ぶ 飛ばない 飛ぶ 飛ばない… ひっ飛べ!! チャボよ 虚空へ 虚空のかなたへ コンドーム水風船爆弾100連発のように (一晩で100個も どうやって使うんだろう?) 頼むから 使用済を再利用するのだけは気持ち悪いからやめてくれ
『もいっかい、童謡からやりなおせたら』 詩 って なんだろうね? 君がぼくに訊ねる ぼくは 脱いだばかりの クツ下のにおいを無心に嗅いでいて 君の問いに答えられない 君とぼくの目と目がゆっくり重なる 例えば 早朝の草野球 主将どうしが試合前に握手しながら 詩 って なんだろうね? という会話はされないだろうし あるいは 帰りがけのコンビニ 店員のおねえちゃんが 付けまつ毛をパチクリさせて釣りを渡すとき 詩 って なんだろうね? と話しかけはしない 思えば 結婚して10年になるけど 君とぼくが 詩について 話をしたことは一度もない 詩 って なんだろうね? 君はぼくに訊ねてほしい ぼくはきっと 今度は足の裏のにおいを嗅ぐのに夢中で このにおいが世界平和に活用できないか 真剣に考えているだろう
ぼくら もいっかい 童謡からやりなおせたらいいね たんたんたぬき を大声で合唱して 幼稚園のクララ先生に 火が出るほど怒られた時みたいに そして君とぼくは 詩の話をしよう ぼくは ぞうさん とか みかんの咲く丘 とか それいけアンパンマン に 比肩しうる詩をいつか書くんだ 幼稚園の制服で 手をつないで 芝生にすわって空を見上げたりなんかしてね 大人になって 故郷をはなれて ぼくは ふるさと の2番 いかにいます ちちはは つつがなきや ともがき のとこで いつも涙で 声がつまって 最後まで うたえないんだ ねえ 詩 って なんだろうね? ぼくは君に ひとりごとのようにつぶやいてみる 君は子どもたちの世話とか 夕食の支度とかに忙しくて ぼくの問いに 答えられない
208 :
サリー :2006/01/19(木) 14:11:29 ID:MylCT1I1
やさしい風のようになりたい…
209 :
名前はいらない :2006/02/25(土) 21:14:55 ID:I36Sn7nT
あったかい風に吹かれて 君と手を繋いで 歩いていきたい
210 :
名前はいらない :2006/02/25(土) 21:18:04 ID:I36Sn7nT
あったかい陽射しに照らされて 君と笑いあいたい
春の風に運ばれて 君の想いが僕に届く とても綺麗で 儚くて 切ない想いが 生暖かい春の風に運ばれて僕のもとに舞い降りた。 『君の想いはちゃんと僕の心に届きましたよ』って 新しい風に乗せて返事をしたよ。 ねぇ届いたかなぁ?
212 :
名前はいらない :2006/02/26(日) 20:33:45 ID:vL+peYMZ
殺人鬼!!!!!!!!殺人鬼!!!!!!!!!殺人鬼!!!!!!!
『きときと。』 ことばなんか おぼえちゃいけないのかな 保育園の先生に さよなら を言いわすれた ユキ姉ちゃんがいつまでも 半ベソかいている そのすぐ傍で たあくんが 「あびば ぷぅー」とか絶叫しながら そこいらを駆け回ってる(…あびば ぷぅー って何なんだよ) たあくんは 三歳になって随分たつのに ことばを喋れない んま も ぱぱ も まま も たあくんの前では 意味が意味にならない わけのわからん幼児語をさえずりながら ことばのない世界で元気に遊びまわる かわいいおバカさんだ たあくんは 洟を垂らしている たあくんは けたけた笑っている たあくんは 背中をぽりぽり掻いている おむつにウンチもらして 感触が気持ち悪いのか ズボンごと脱いで ウンチまきちらしながらミニカー遊びしてる 仕事できときとに疲れた父さんと母さんは それを視て 軽いめまいにおそわれる たあくんは
あかまきがみ あおまきがみ きまきがみ の 練習をしている 誰が教えたのか うまく回らない舌で たあくん いつになったら お前のバカは治るんだろうね たあくん いつになったら お前は赤ちゃんじゃ なくなっちゃうんだろうね 意味なんかなくても いつだってぼくは お前の流すくだらない涙に立ちどまる お前のちいさな手をにぎって家に帰ろう 歩くのがいやなら抱っこをしよう ことばをおぼえない ぼくの息子 お前につけるクスリをゆるりと探しながら ぼくはどんな時でもかならず お前のちいさなぬくもりに帰ってくる
昔遊んだ小さな丘の上 小さいけれど自分の町が見渡せる 町といっても広大な森の中に家がちらほらとあるだけで 他は何もない町だった 学校から帰るとき夕日を見にあの丘へ友達と上がって 海からのぼってきた風に吹かれて 夕日色に染まった自分たちの町を 暗くなるまで見ていたよ 明日もまたここにこようねっ って約束してからそれぞれの家へと降りていった まだ残ってるといいな最後に君と会ったあの丘が
216 :
名前はいらない :2006/04/02(日) 02:00:54 ID:pVRn1z1z
優しい風が埋もれてしまわぬように
217 :
ろきしい :2006/06/19(月) 01:11:36 ID:pfzIiSIs
消せ!!!!!!!!!!!
『花の名前をおぼえようとする』 マリーゴールドと マーガレットの区別がつかない ツバキとツツジを間違えて 笑われてしまう アヤメとカキツバタにいたっては はなっから諦観の境地で でもそれはちょうど パスカルとサルトルを間違えたり 萩原朔太郎と 高村光太郎の区別がつかないのと一緒で きっと大したことじゃないんだろう 土曜の朝に ぼくとたあくんは電車を乗り継いで 手をつないで花の咲く私鉄沿線を歩く たあくんはことばが遅い無口な幼児で 父親のぼくもきっとことばが遅いんだろう パンジーやサクラソウがご丁寧にも 名札をぶらさげてつつましく笑っている 閑静な住宅街の空き地は クマもオオカミも荒らしに来ないからタンポポが伸び放題で 一瞬 菜の花畑かと見間違える 「たあくん たんぽぽ」ぼくが口を開く 「みかん」たあくんがこたえる 「みかんじゃねえよ たんぽぽ」 「おしさま」おひさまのことなんだろう タンポポは当たり前のような何の感慨もないまあるい黄色で 春に暖まってきらきらして少しさびしくなる
時間がまだあるので 近所の公園に寄り道することにする すべり台とブランコしかないちいさな公園だ たあくんはひとりで すべり台とブランコを何回も何回も往復する 両手をひろげ ときおり転びそうになり たまには実際に転んでみせながら ぐるぐるぐるぐる ぐるぐる 「バターになるぞう」 「のぞみ つばめ なんかいラピート」 たあくんがバターになった時の対処法だが 実はきちんと考えてあるので心配いらない 目的地は目と鼻の先だけど 朝っぱらから親子して かるく道に迷って早くも遅刻しかかってる 白い小鳥が一羽 公園の下生えをつっと横ぎっていく ぼくはといえば ちいさなブランコに窮屈な尻を埋めたままで ぼくは花の名前をおぼえようとする ぼくは 鳥の木々の草の名前をおぼえようとする
おはようございます お久しぶり……と言うべきでしょうか、ね(苦笑 とても久しぶりにカノさんらしい優しい詩を拝見できて、すごく嬉しかった だから、書き込みしてみます 今日も軽く遅刻しながら、二人でいろんな名前を覚える そんな優しい風が、吹きますように……
どうもです。 これは『詩学』に投稿したんですが、載ればいいなーと思ってます。 ちなみに「きときと。」は一時予選すら通過しませんでした。 パロディだからしようがないか…。
222 :
名前はいらない :2006/09/23(土) 23:55:14 ID:96CmQ/Ny
☆
223 :
名前はいらない :2006/09/24(日) 00:22:06 ID:/4lx1Sjg
『あんだんてかんたーびれ』 世界が時々 はっとするほど美しいから 幾多の水たまりをよけるふりして 思わず 華麗なステップを踏んでみせる ひとつ ふたつ みっつ よっつ いつつ むっつ ユキが生まれて たあくんが生まれて 親父が手術の創がもとで死にかけて 精神にまで変調をきたした ユキが運動会のかけっこで一着をとった 庭のオジギソウがコンペイトウのような小さな花を咲かせた ほとんどそれはぼくがいつか見たことのある 深紅の夕陽のような精確さでぼくに迫ってきて 黒いおおきなコウモリ傘は何本買っても いつもどこかに置き忘れてしまう にじゅうに にじゅうさん にじゅうし 25で死んだ友人の葬儀で 「あいつは社会になんも役に立たんかった」 半ば自嘲ぎみにタカダが語りはじめて おい お前はあいつの友だちでもなんでも なかっただろうが ということばを すんでのところで呑みこんだ
さんじゅう さんじゅういち さんじゅうに アレグロビバーチェで繰り広げられるぼくと君の日常生活 買ったばかりの二台の子供用自転車 乗せてあげられる機会を逸したまま 二週間以上も 玄関に放置されている 暗闇のなか親父が 助けてくれ 何度も叫んでいる と報告する 電話口の母は涙声ですっかり取り乱して そんな両親の姿はもちろん今まで見たことなく ぼくは36時間の休暇をもらって郷里へ急ぐ さんじゅうしち さんじゅうはち 君がたあくんの保育園のことで悩んでいた ぼくは君の悩みにずっと気づかなかった 君はぼくに悩みを打ち明けたりしなかった 今度の日曜日 仕事が早く終わったら ぼくと 君と ユキと たあくん 自転車乗りの練習に 出かけよう
『川崎さんのプレゼント』 「てんとうむし かわさきひろし」 ユキの声がきこえてぼくは頭をもたげる 学校の宿題で 「てんとうむし」を十回音読するのだという いっぴきでも てんとうむしだよ ちいさくても ぞうとおなじいのちを いっこ もっている 一回読み終えるたびに ユキは律儀に ノートに一個づつ ちいさなまるを書き足していく ああ 詩は まだ世界とつながっていたんだ 思いもよらないプレゼントに 目をとじる ぼくをみつけたら こんにちはって いってね そしたらぼくも てんとうむしのことばで こんにちはって いうから きみにはきこえないけど
かわさきさんは ね こないだなくなったんだ ユキに話してもユキはきょとんとしている 生まれてからさいわいにも 大好きな人をまだ失ってないし めくるめくややこしい未来が 手ぐすねひいてユキを待ち構えてるし なによりも たいせつな宿題の途中なのだ ここの前でひと息いれるとよくなるよ 父さんは いらんアドバイスをする うまく息継ぎができている うん なかなかいい 「12回もよんじゃったじゃないの もう」 川崎さんのせいで ユキにおこられる *川崎洋『てんとうむし』全文引用。 川崎さんほんとうにありがとうございました。
228 :
名前はいらない :2006/11/01(水) 22:02:13 ID:soSa6v4s
詩板にも僕にもこういうのが必要だなーなんて思いました
229 :
名前はいらない :2006/11/07(火) 04:55:25 ID:hlrMd+fS
ぶさいくじゃねえええええええええええええええええええええええええええええええええ ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ ええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! !!!!!!!!!!じねええええええええええええええええええええええええええええ えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ !”“RッK`K『WKRpkg『kgsr@gか得pk『ケ『gあぺwg@ぺあk!!!!!!!!!!!
『祭:Fetes』 あかるい 闇。 あしおとが だけが 3分の4歩 すすみ 7ブン の5 ホ もど るるるるるるるるるるるるる 光は くらい光を駆逐しそれはさらにあかるい光によって ながれつく 岸べ 丘をころがりのぼる その あしあと。 あしあと。あしあと。 あしあと。あしおと。あしあと。 リズム に のって
拍子木の驟雨がいっせいに光をうがち森をそうだぬけなければ 一対の蛾が螺旋をえがくよう--にからまり合う鱗粉のささやき がどうしてもかの名前を思い出せない思い出そうとさえしない ふざけたような軽い軍靴のステップ砂漠の色だそれは森の海の 雲の色だいいえちがいます御嶽しずかな石の押しだまった集積 ひろがり集束するベクトル嬌声のひびき槌を砧をその奥で叩く。 あしあと。あしおと。あしあと。 あしあと。あしあと。 あしあと。 そうだ 森を ぬけなければ あかるい 闇の なかを。
『Forgottin' in the Moon』 夜のまんなかで 立ち上がる兎のように いっそ 月に狂ってしまえたなら よかったのに 村のはずれ 丘の祠にむかうほそい道の 両脇に列をなす 篝火 ゆっくりと 四つ脚の車輪が滑るように昇っていく ふっ と途切れそうになる あれは みずの音だろうか それとも ゆらゆらと炎に明滅する背中 あなたの 坂の軌道にさしかかる 月。 (月ガ沈ミ我ラ 月ヲ忘ル 忘ラルル月 昇リユク時 我ラ赤児トナリテ照ラス 初メテノ月 思イ出ヅル) 高速でまわる独楽を手のひらで受けとり たわむ草 闇に浮かびあがる能面 あかあかと燃える 切れた弦と 放物線と 失われた記憶の 月。
月を視るのは誰もがはじめてだから 誰もがあなたの背中に 目を凝らしていた はじめての月に行く 生野のみち せまい昇り坂 はし がかり かがり ひ 火の粉が大地を舐めるように 這っていく くらい緞帳に 散らばり 舞 消える (祠ヘト続キタル路ヤ 路ニ非ズヤ 月ノアワヒニ続キタル 路ニ非ズヤ 橋懸リナリ 月ノ裏側ノ朱ニ染マル顔) やがて すぐに 忘れられるだろう あなたの あかい背中 舞 小さくなり おおきく揺らぎ たかくかかげた 両手 何処からの 光を浴び やみに ほむら 消える 背中 もう見えない あなた 闇にたかく 舞台のむこう 浮かぶは 月。
「白色生気」 今日は天気が良いでせう こういう日は病院で ハ ハ ハ オヤオヤお若い看護婦さん 点滴のチューブを踏んづけておしまいですか そんなことはどうだつてよいでせう だつてほらほら天気が ハ ハ ハ 吐く息が白くなつてきたでせう だつてもう冬ですもんね 病院の白さに溶け込んでいつて わたしはもうすぐ死にますか ふうん さうですか死にますか ハ ハ ハ わたしはね ちひさいころから弱虫で よく人にいじめられたものですよ でもさういふときはね いつもきまつて思ふのです この息の真つ白さと ひとり天にただよふ雲のような白さをね そうするとね なんだかおわかりですか 真つ白ですよ ぜんぶ真つ白になるんです 生も死もよろこびもかなしみも ぜんぶ真つ白くなつてゆくのです でもねもうすぐ死ぬでせうわたし そこでやつぱり思ふのはね 白はやつぱり駄目でせうね いいえ駄目ですやつぱり駄目なのです 何故なら透明ではないのだから あのラムネの壜に透きとほつた夕陽のこころだけは 白はうつしだしてはくれない
>>234 はじめまして。中也を感じさせます。かるい諧謔が利いてて、巧い。
『お祝いに来ました』
お祝いに来ました
あたらしい門出のあなたのもとに
ピースの空き缶にブチ込んだ
ゼンマイで動くイクラのお寿司をおみやげに
猛スピードの電車を馬跳びして
砦と砦のドンパチを匍匐して
道端のお地蔵さんに眉毛をかいて
募金活動する無数の慈善の手を払いのけて
一億個の縄ノレンをくぐり抜けて
人生のかなしみというかなしみに鼻クソをくっつけて
息を切らして
わけもなく笑いながら
からだ中 菜の花だらけで
あなたのもとに
はーっはっはっはっはっはっ
はーっはっはっはっはっはっ
来ました。
>235 ^ ^ はーっはっはっはっはっはっ はーっはっはっはっはっはっ 風 っすねーー! あたりなど風にきけども
>>235 ありがとう御座います。
中也は好きですが中也ファンは嫌いです。
あの妄信的なキャラは見ていてとても痛々しい。
畳み掛けが凄い巧いですね。
また来ます。
どもです。 「あたり」は「魚信」だったりして。 『風にきいてみる』 風のなかに 釣り糸を垂らす おぼろげな記憶を取り戻せるような気がしたから とは 本気で考えてない むしろ何も考えてやしないのだ 長い映画がつい先頃終わってしまったから ふふんふんふふん ふふんふんふふん 世界はどんどん鼻唄で埋まっていく セミの声も カエルの声もきこえない
メイキング・ポエム。第…三稿くらい。 『風を釣る』 風のなかに 釣り糸を垂らしてみる それはおぼろげになってしまった古い 記憶をせめて呼び醒ますよすがではなく かなしい決意でも無邪気な思いつきでも その日の飢えをしのぐための投げやりな衝動でもない そう 映画はつい先頃終わってしまったんだ セミの声も カエルの声もまだきこえない 灰だか靄だか細かい粒子の 色のない地衣が世界にべっとり張りついて あるいはじっと暴発を待ってる 「このままじゃ囲碁も打てないね」 栗坊主頭の童子がふたり浮かび上がって いかにも手持ち無沙汰ふうに 眉をさやかに寄せて笑っている 実のところ 囲碁も碁盤もまだ発明されてなかった それどころか クヌギもセキレイも 苫屋から立ち昇る炊煙さえもまだ 名札を失くした卵のように眠っていたんだ
ふふん ふんふん ふん ふふん ふふん ふんふん ふん ふふん 世界が少しづつ鼻唄で充たされていく ぼくはこれから生まれてくるだろう あらゆるろくでもないものどもについて思いを馳せる ぼくは笑う ぼくの意思にまったく関係も頓着もなく 生まれてくるだろう ろくでもない 愛おしくも騒がしいものどもを ぼくは待ってる ぼくは目を閉じたままでいようと思う 釣り針の尖 きらりと何かが光ったけど それはきっと気のせいなんだろう 草原のロウソクに灯がいっせいに点ったけど それもきっと風のいたずらなんだろう
魚信!? わぉクリスマスに、ちょい悪戯なハミングで いい風吹き抜けてゆきましたよー ありがたや なんだか雲に腰掛けて釣糸垂らしてみたくなりました あたりたいのは 気持ちのいい風で 熱くても涼しくても寒かろうが温かろが 荒れて吹くとも そよと吹くとも 通り抜ける瞬間やあと残り 気持ちいい が在るような むこうでナブラが光るでしょ なかなか魚信がこなくても合わずにバレてしまっても にんまり坊主 竿揚げながら ふんふんふーーん と伸すところで 〜 気持ちいい風 送り出せる太公望になれる気が全くしないので また いい風よろしくお願いいたします。
242 :
誕生日 :2007/01/14(日) 23:48:32 ID:fM2XqyxE
ごめんなさいを言う ひどいことをしたと思う あと20分で誕生日 あやまって おめでとうを言われて それで全てが丸く治まるのに ごめんなさいを言う さようならを言う あと15分で誕生日
243 :
名前はいらない :2007/01/28(日) 20:11:12 ID:pFGI7ihF
あげ
【あめ玉としての地球】
trip test
なんか、パンツなくしたような気分だなあ… もいっちょテスト。
これに決定だ、のテスト。
>>242 …もしかしてみっちゃんか?…誕生日が同じだ…
まだ10代ん時のニガーい思い出。
いや、彼女は詩なんか書く人じゃなかった。
多分ぼくのことなんか思い出したりしないだろう。
まあ、遅ればせながら、誕生日おめでとう。
そして、さようならを言って、通り過ぎていこう。
新バージョン。 『もいっぺん、童謡からやりなおせたら』 詩 って なんだろうね? 君がぼくに訊ねる ぼくは 脱いだばかりの クツ下のにおいを無心に嗅いでいて 君の問いに答えられない 君の目とぼくの目とが ゆっくり重なる たとえば 早朝の草野球 主将どうしが試合前に握手しながら 詩 って なんだろうね? という会話はしないだろうし あるいは 帰りがけのコンビニ 店員のおねえちゃんが 付けまつ毛をパチクリさせて釣りを渡すとき 詩 って なんだろうね? と話しかけはしない 思えば 結婚して10年になるけど 君とぼくが 詩について話したことは一度もないんだ 詩 って なんだろうね? 君は ぼくに今すぐにでも訊ねてほしい その時ぼくはきっと 足の裏のにおいを嗅ぐふりをして 困ったような笑顔を君にむけるだろう 詩は たぶん 読んだり暗誦したり歌ったりするものなんだ と 思うんだけど ぼくはやっぱり君の問いに答えられない
ぼくら もいっぺん 童謡からやりなおせたらいいね ぼくら幼稚園のスモック着て 手をつないで 廃墟に腰かけて空を見上げて 体験した戦争とかの 記憶をすべてうしなったままで そして君とぼくは 詩の話をしよう 今ここには 君とぼくと詩しかいないから 夢や木の葉の話でも 故郷の大きな火山の話でもいい そうだぼくは ぞうさん とか みかんの花咲く丘 とか それいけアンパンマン に 比肩しうる詩をいつか書くんだ わけのわからないたたかいにわけのわからないまま参加させられて 今この瞬間に世界のいたるところで叫びごえひとつあげることなく 消えていくいのちがどれくらいあるのだとしても それでも詩は必要なんだと できるかぎり胸をはって ねえ 詩 って なんだろうね? ぼくは君に ひとりごとのようにつぶやいてみる 君は子どもたちの世話とか 夕食の支度に忙しくて ぼくの問いに 答えられない
多分、1年以上ぶりの、新作。シリーズ再開、できるといいな。 『山岳地帯(マリーノ超特急)』 ここでは稜線をつよくなぞるようにして吹きつける風が、けして浅くはない爪 跡を至るところに残している。砂混じりのかわいた大気に、あれた山肌に、つ つましい色を放つ丈の低い植生群に、かるくひび割れたぼくの頬に。そしてそ れは海から届いたものだと悟るのに、それほど時間はかからない。 空気は乾燥しているが照り返しは激しく、背にうっすらとかいた汗でシャツが 張りついている。ぼくの、岩々のみじかい影、束の間のコントラストを、一匹 の蜥蜴がいそがしく這いまわり、時を置かずに真昼の陽光に溶けて消える。ぼ くはそれと会話を交わすこともなく、足早に通りすぎる。 尾根をつたう道の眼下にひろがるのは見渡すかぎりの深いみどり。人の立ち入 ることを許さない暴力的な森が、生をどこまでも謳歌するかのように、海から の風を受けてざわざわと波打つ。いちめんのみどり、わずかなうねりは驚くほ どにその色合いを変え、幾億もの兎がみどりのうなばらを走り去っていく。 山岳地帯。ここはいちめんの森に浮かぶ孤島。 視界はこんなに広がっているというのに、海はどこにも見えない。 切り屹った断崖を背に、わずかに広がる荒れ地をたどる。ばらばらになった材 木のかけら、不揃いに並べられた大小の四角い石、それらはかつて人の住んだ ぼろ小屋の痕跡だということは、当人でなければ判るすべもない。 ここにはかつて子どもたちが住んでいた。親に見捨てられた、他の世界を知り ようもない、兄弟かどうかさえわからない子どもたちが。干した草の根をかじ り雨水をすすり、数少ないぼろ布を奪い合って、そして弱く幼いものから少し ずつ死んでいった。生き残った子どもは死んだ子どもたちを埋め、その死骸か ら花は咲かず、果実はみのらなかった。
森のはるか向こう、見えない海を南に縦断する特急列車があると、旅の手すさ びに幾度も聞いたことがある。或るものは、それは人類に最後に残された技術 の集大成だと語り、また或るものは、それはサハリン製のラム酒に呑み込まれ た愚か者の見たあわれな幻影だと語る。或るものはそれはあまりに早く通り過 ぎるがために肉眼では見ることができないまぼろしの列車だと語り、或るもの はそれは真夜中に音さえもたてず秘められたままに走り去っていくのだと語る。 南へ。南へ、南へ。ここではないどこかの駅から、ここではない彼方の駅へ。 ぼくは海洋特急を折にふれて思いだし空を見上げる。 ここは山岳地帯。麓に唯ひとつ横たわる駅はみどりに浸蝕されかけて、ぼくら の列車は山を登ることも森を渡ることもかなわず何年も立ち往生している。 ほそながい雲がすごいスピードで頭上を駆け抜けていく。雲は山頂近くの風に 襲われて、出来損ないの有機物のように空中分解して短い生涯を終える。そし てその風は海から届いたものだと悟るのに、それほど時間はかからない。
『砂浜に絵を描く(マリーノ超特急)』 酒がキレた俺とアンちゃんは 「大きな砂浜のある」駅にあてもなく降りる 行商のオッさんはしゃべり好きで 列車の走るあいだ ずっと ハマグリが夢をみる話とか 食べられる星を手に入れた話とか たらふく聞かされてふたりとも悪酔いして 実際のとこ酒なんかどうでもいい 誰かオッさんのしゃべりをとめてくれ 逃げるように下車すると案の定オッさんも降りてきて ながいながい挨拶をさんざ繰り返して 別れた 砂浜をわざと肩をいからせて歩く 俺とアンちゃんは 相槌をうつだけでアゴがはずれそうになってた 手入れの悪い義肢があるくたびにみしみし音をたてて 冗談じゃねえ アンちゃんが呆けたようにつぶやく アンちゃんの上半身がメトロノームでもぶつように おおきく揺れている 冗談じゃねえよ まったく おおきな櫂で砂浜に絵を描いている ふたりの若いおんなに出会う ひとりはティールで ひとりはノーグ どこから来たの?ティールがまぶしく訊ねて 俺とアンちゃんは正直なマヌケ面で ほぼ同時に真上を指さす 俺とアンちゃんは小高い丘に腰かけて 真昼の海風にあたってぼんやりしている ティールとノーグは 櫂をふりまわし色砂をまき散らし走りまわり 眼だか太陽だか迷路だかの絵を仕上げていって 実際のとこ絵なんかどうでもいい ティールのうなじとかノーグの太ももとか 果てしないふたりの嬌声とか そんなもんばかり俺とアンちゃんは眺めていた ティールとノーグが朝はやく描いた絵は 風と波にあらわれて半分消えかかっている
アンちゃんがやおら立ち上がり ようし オレも絵を描くぞう と おおきな木切れをひっ掴み駆け出して派手にすっ転ぶ 義肢が絡まってガシャンとおおきな音をたてる 俺とティールとノーグは 大の字に突っ伏してるアンちゃんに駆け寄り アンちゃんを中心にあたらしい絵を描きはじめた 冗談じゃねえよ 砂を噛みながら立ち上がるアンちゃんに ノーグが大量の色砂をぶっかける 四人で 絵を描く 絵が仕上がった頃には 夜のとばりがすっかりおりて 俺たちの描きあげた絵を俺たちの誰もみることができない 波の音だけがきこえる 四人の息づかい 朝が来るまでに 海風と満ち潮が 俺たちの絵を完全に消しちまうんだろう 脚がいてえなあ 木切れを杖にしてアンちゃんが言う オレは腕がいたいよ 俺が返す
『肩にふりかかる、雨が』 肩にふりかかる、雨が、 どうしてもやまないのなら そっと傘をこわしてしまおうか 暗い昼の空、信号機がにじむ、 雨雲はゆっくりと北東を向いていて シャツの背中に変な汗をいっぱいかいて シャツの背中に変な汗をいっぱいかいてるよ と 言われる ぱらぱら、ぱらぱらと、ここちよく雨音がひ びくのが良い傘の条件である、と 父さん、 いつだったかあなたは話してくれましたね、 父さん あなたのつくる傘は大きくはないけ れど、ぼくはあなたの傘の雨音で眠りました、 そして雨にぬれた冷たい肩で目を覚ますので すよ、靴がよごれないよう気をつかいました、 雨はどこまでも肩にふりかかる、父さんの肩 は、ぼくよりもさらに濡れて、重く冷たい両 肩を岩のように振りしぼり、父さんは、ひと つひとつ、ていねいに傘を仕上げていきます 国産の傘は売れなくなって 修理に訪れる人もみるみる減って ぼくは ちいさく貧しい傘をひとりで差すことにした 、、雨が、、、肩に、、、、、、、、、 、、、ふりかかる、、、、雨が、、、、 、、肩に、、、、、、、ふりかかる、、、 傘、傘、傘、道行く人、傘の花が咲く、誰の 肩も雨に濡れ、濡れた肩を寄せ合う、幼な子 をしっかりと抱いている、落とさないよう、 みづいろの濁流に溺れないよう、父さん、ぼ くは偉大な傘職人ではありません、ぼくの傘 は皆を包むには多少こわれているようです、 いやむしろこわれているのは空のほうであり、 肩にかならずふりかかる雨であり、そんなこ とはないよ、と、なにかを隠すように諭す、 ぼくの笑顔が、 肩にふりかかる、慈愛の雨が、 どうしてもやまないのなら そっと傘を差している 雨は肩にふりかかる
『やさしくなるために』 箱庭のようなドーム球場 ビジターチームの先発は かつてのエース 40歳のベテランピッチャーが 一回裏に5点もとられて チャンスで送りバンドを失敗して それが原因でゲッツーくらって その裏 先頭打者にホームラン打たれて ただ ただ 試合をこわして 降板する スコアは0対9 チームは今日も最下位 防御率は6点台 これで2勝7敗 監督からは二軍落ちを言い渡される ビジターのファンは 野球なんかやめちまえ とも 引退しろ とも 言えなかった ホームチームの応援団の歓喜の渦のなか 消えるようなピッチャーの背中を みつめていた どっちのファンでもないぼくは 2個の弁当と全種類のホットドッグを平らげ 800円もするビールを3杯飲んで ドーム球場はすべてが陰のない美しさ チアガールの姉ちゃんが見事なバク転の連続技で喝采を浴びる でもこれは現実のゲームで 外は雨 ほどよく冷房がきいてて グリーンの人工芝が照明に映えている ラインドライブの大飛球 ナイスキャッチ ファインプレーのレフトに拍手が送られ オーロラビジョンにアップされたレフトの顔が紅潮する 野球グラブのあたる抽選は外れてしまった 見送るファンの目を思い出す どうして人間はあんなに悲しい目ができるんだろう ゲームの途中で球場を出ると 外は 雷雨 となりの球場は六回途中コールドゲーム ちいさな傘をひんやりさして 家に帰ろう
『ウィリー、ウィリー、きみの名は(完全版)』 ウィリー、ウィリー、 どうか、 きみの名前を思い出してほしい 訪れる者もない、荒れた墓地で、 いつまであふれる愛を憎しみにかえて、 この世を呪いつづけるのかい? ウィリー、ウィリー、だから きみの名前を思い出してほしい きみの名は、 ジゼル。 …………………… (*_*)つ[しおり] …………………… (前回までのあらすじ) 村の娘ジゼルに恋をした貴族アルブレヒトはお忍びでジゼルに近づきあっとい う間に恋の炎がバーニング。同じくジゼルを好きな森番のハンスはおもしろく ないのでアルブレヒトの正体を暴こうとあれこれちょっかいをかける。そんな でこぼこ三人組の愉快な人生模様はバチルダの登場によって唐突に幕を降ろす ことになるんだねなんたってバチルダはアルブレヒトのモノホンの婚約者だか ら。ハンスのよけいなお節介も手伝って真相を知ってしまったジゼルは絶望の あまりそのまま悶死してしまうんだなおこれはフィクションであり特定の個人 および団体とはなーんの関係もないらしいよ。 第一幕、おわり。 …………………… (*_*)つ[しおり] …………………… 第二幕。 夜。 そりゃもう、夜。 いつまでも、夜。 ずっと、夜。 ずうっと、ずっとずうっと、夜。 夜は明けない。
…………………… (*_*)つ[しおり] …………………… 村のはずれの森を越えて木々が途切れ途切れになると見えてくるのは、昼なお 暗い沼沢の地。沼のほとりの墓地、そこには透きとおる白い花嫁衣装を身にま とった精霊たちが、夜な夜な墓のなかから抜け出して来ては激しいレッスンに 明け暮れる。 主将の「女王」ミルタが率いる、ウィリー・ダンス・チームだ。 チームの参加資格は、とても簡単。まず女性であること。次に嫁入り前のうら 若き乙女であること。そして乙女のまま死んでしまうこと。つまり彼女らは妖 精であると同時に死者でもあるため、夜にしか練習できないのが悩みの種だ。 ところで何故うら若き乙女である必要があるのか?チームオーナーのハインリ ヒ・ハイネ氏は語る。嫁入り前のうら若き乙女はとにかく踊る。母さん呼ぶ時 も食事や野グソのさなかさえもそれこそ一心不乱に跳ね回りステップを踏む。 彼女らはウサギではない、うら若き乙女だ! そう、彼女らは踊ることしか知らない。よきことも悪しきことも知らないまま 教わらないまま踊りの記憶のみを抱いて死んでいった娘たちは、死んだ後も踊 りつづけたいのだ。無垢な彼女らのめくるめくパフォーマンスはまさに踊りの 本能が惹起させえた奇跡に他ならない! 主将のミルタは語る。ハイネさんて、ほんっとうに女の子を知らないわね。 ウィリー・ダンス・チームの新しい顔を紹介しよう。即戦力との評判も高い、 その名はジゼル。もちろん婚礼前の乙女で死にたてのほやほやだ。錚々たるダ ンス歴の持ち主でなにしろ世界中の舞台劇場でフルオーケストラをバックに死 の直前まで踊っていたというのだから尋常ではない。しかもジゼルを愛した男 がふたりもいたという。これは大きい。男性団員の入部はチームの至上命題で す、主将のミルタは語る。チームのスローガン「魅せるダンス」をさらに高み へと導くのは、男性の存在が不可欠なのだと。今夜もチームのオーディション に若者たちが沼の墓地を訪れるが、並の男では彼女らのダンスのあまりの激し さに体力がもたず、踊りながら絶命してしまう者が後を絶たないという。 以上のリポートは、インタビュアーが森番ハンス、監修はマック・エッツさん でお届けいたしました。
…………………… (*_*)つ[しおり] …………………… 「博士 大丈夫ですか?」 「なんだね助手のアルブレヒトくん」 「ウィリーに身をやつしたジゼルの救済は可能なのでしょうか?」 「非常に困難といえるね…明日に橋を架けるのと同等の困難さだ… しかし わしは人類の叡智に賭けてみずにはいられないのだよ ワトソンくん」 「ぼくはアルブレヒトです博士…しかしどうやって?」 「人間が近寄ると呪いをかけられて死ぬまで踊らされるからな そこでわしはロボを用意した!ロボ祈祷師だ! ロボ祈祷師にオハライをしてもらい ジゼルの魂を救うのだ」 「思いっきり宗教がちがう気がするんですが…」 「心配ない!ロボは赤青黄桃緑の五体いる!オハライは強力じゃ! これは東洋ではゴギョーといってそりゃもう由緒ただしいらしい ゆけい!ロボよ!!」 「………………」 「………………」 「…教授…」 「わしは博士じゃ…なんじゃその…踊っとるな ロボ」 「踊ってますね ロボ」 「ううむ ロボでさえ呪いには無力か 恐るべしウィリー!!」 えらやっちゃ えらやっちゃ よいよいよい よい 「博士…ロボの踊り あれはなんですか?」 もえってあがるはぁ おはらはー さっくらーじーまー 「うむ あれはおそらく日本古来よりつたわる古典舞踊じゃな」 はあー ほっかいめーいーぶーつ あ どーしたどしたぁ 「…つまり?」 「あのロボはHONDAから発注したのじゃ メイドイン・ジャパンじゃな」 つっきがー でったでーたー つっきがぁーでたー 「教授」「ワトソンくん」 「…たのしそうですね…」「…たのしそうじゃなほんとに…」
…………………… (*_*)つ[しおり] …………………… あたしアルブレヒトといっぱいえっちした。いっぱいいっぱいえっちしたわ。 アルブレヒトは優しく激しくあたしを突いてくれた。上になったり下になった り前からも後ろからも。ベッドの上で台所で藁のなかで草むらで教会の裏で。 あたしはずっとアルブレヒトのちんぼこを離さなかった。手のひら口のなか おっぱいの間まんこのなかにずっと大切に仕舞っていたわ。いつでもえっちで きるようにずっとハダカでいたりエプロンだけ身につけたりスカートだけ履か なかったりした。あたしはお尻をつきだしてあまあい声でアルブレヒトを誘う の。食事はいつも口うつしで食べさせあった。一度だけハンスを縛ってころが してそこでアルブレヒトとえっちしたことある。ハンスがあたしを好きなこと は分ってたから。あたしたちがしっかり繋がっているとこをこれでもかと見せ つけてやったわ。ハンスったら泣きじゃくりながらちんぼこをあんなに硬くさ せて。その時アルブレヒトが耳もとで囁いてくれた言葉を今でも思い出す。 心のこり?あるわよやっぱり。 あたしアルブレヒトともっとえっちしたかった。もっともっともっとえっちし たかった。あたしアルブレヒトが王子さまだったらいいのにって思ったことが ある。そしたらお城のバルコニーで演説するアルブレヒトのちんぼこをこっそ りしゃぶったり玉座でえっちしながら大臣に命令を出したり賓客を迎えたり時 には一糸まとわぬ姿で馬に乗って領内を巡回したりできるのにな って。 でもほんとに王子さまだったなんて。あたしはただアルブレヒトとえっちがし たかっただけなのに。もっともっと肌を重ねていたかったのに。いろんなえっ ちをいろんなところでやりたかった。だってそれが愛なんだから。
…………………… (*_*)つ[しおり] …………………… さようなら!さようなら! さようなら、村のみんな、さようなら、朝の光、 さようなら、揚げ雲雀、さようなら、葉擦れのささやき、 さようなら、やわらかな土の瘤、さようなら、ひそやかにうたう茸たち、 さようなら。 俺は沼地のウィリーに捕まりました。 俺は死の舞踏に否応なくいざなわれます。 俺が踊りをやめる時、それは俺が死ぬ時です。 父さん母さん、俺はあなたたちのとこに行けそうもありません。 ウィリーにもなれない俺は、死の淵に引きずり込まれ沈黙するか、 ただただ森をさまようだけの存在になるんだ。 さようなら、肌身はなさず持ち歩いた形見の弓矢、 さようなら、ウサギの肉を届けてお礼をいうおかみさんの笑顔、 さようなら、木漏れ陽にひょこりと首を上げる子連れの鹿、 さようなら、革の水筒で喉をうるおす口吻からこぼれる水のきらめき、 さようなら、みんな、さようなら、 ジゼル。 君に、もいちどだけ会いたかったな。君の笑顔。 ごめんな、そしてさようなら、ジゼル。
…………………… (*_*)つ[しおり] …………………… 青ざめた夜の森。生あたたかい風がいつまでもふいている。 草木は眠れない。対峙したままのシルエット。 ジゼル、そしてアルブレヒト。 一触即発のふたりを、ぐっと固唾をのんで見守っている。 見つめあったまま、どれくらい時間がたったのだろう。 先に口火を切ったのはアルブレヒトだった。 「…どうしてもわたしたちは闘わなくてはいけないのか?ジゼル」 死者と生者。この世と、この世ならぬもの。 あまりにもかなしい、パ・ド・ドゥの幕はこうして開いた。 「えぇい聴く耳もたぬわアルブレヒト! 食らえぇぇ!!ウィリーデスバレェボム!!!」 かるがると宙を舞うかのごとく、間合いを一気に詰めるジゼル。 哀れウィリーと変わり果てたジゼルにアルブレヒトのことばは通じない。 ぐぅわしゃぁぁぁぁ しゃきーん! しゅうぅぅぅぅ 真昼のような閃光が一瞬飛び散ったかと思うと、次に訪うものは静寂。 あつい熱を帯びた水蒸気がようやく晴れて、ふたりの姿が浮かび上がる。 アルブレヒトのたくましい膂力は、ジゼルの攻撃を頭上で受け止めていた。 「ふ 昔のわたしとは違うのだよジゼル この程度でわたしは倒れない」 ジゼルの体を放り投げるアルブレヒト。脚を幾度も打ならし着地するジゼル。
ジゼル?なんだろう、なつかしいひびき。誰の名前だろう。 遠い昔、たくさんの愛しい人がその名を呼んでたような気がする。 いったい誰のこと?…あたしの名は?…思い出せない。 いいえ、あたしはウィリー。死んだ乙女の妖精。目の前の男を葬り去るのみ。 「ジゼルぅぅ? ぐうぅぅぅ その名前で呼ぶなあぁぁぁぁ!」 …うう…ジゼル、ジゼル…アルブレヒト?! ああ、頭が割れるように痛い、今のあたしに何が起きたというの? 苦しむジゼルを見つめるアルブレヒトの眼は昏い。 かつてあんなに愛しあった日々はもう取り戻せないのか。 いいや、そんなはずはない。 この不毛ともいえる闘いのなかに、一縷の望みを見い出すよりほかはない。 そのための、血の滲むような鍛練ではなかったのか。 「行くぞジゼル!! アルブレヒト流星ゴールデンサイクロン!!!」 意を決して光速のステップを踏みながら、アルブレヒトは、 渾身の一撃をジゼルに叩きつける。 きゅいぃぃぃーん ごごぉごぉぉぉぉぉ アルブレヒトの手のひらから繰り出される正義の青白いビーム。 これこそがオーバーサンドライブであり、セントジャスティスパームであり、 すなわちアルブレヒト流星ゴールデンサイクロン、鍛練の集大成だ。 アルブレヒトの必殺技を浴び、のたうちまわるウィリー、いやジゼル。 「きしゅあぁぁぁぁ! おのぉれぇぇぇ アルぅブレヒトぉぉぉ!!」 闘いのなかから生まれる愛がある。それだけを信じつづけよう。 拳をかたく握る。 (もうすぐだ、もうすぐだジゼル、 きみがきみの名前を思い出すまで) 終わらないパ・ド・ドゥ。 …………………… (*_*)つ[しおり] …………………… やがて 夜がしらじらと明けて ウィリー、ウィリー、 ぼくは何もできないけど ぼくはぼくの愛をささげよう ウィリー、ウィリー、きみの名は。
『星になる方法』 なあ あんちゃん 俺たちふたり ドラム缶転がして まっすぐな坂道のぼっていこうよ もう二週間も頭は痛えし咳がとまらねえ たぶん少しだけちがった空気吸って さ たぶん少しだけちがった景色を見に行こうよ せまい国道を車がびゅんびゅん走ってる 大粒の雨がおちてきて すぐに土砂降り シャンプーも石鹸も持って来なかった 俺たちはかるく舌打ちする あんちゃん 今 ドラム缶の手をはなして 頬にかかる雨を拭ってなめてんだろ しょっぺえのか しょっぱいんだな なにか楽しいことでも思い出そうか ボイラーの下にネコが四匹寝そべってるとか 国士無双十三面待ちとか 雨粒は線になってどんどん幅をひろげて 雨の垂幕を俺たちはくぐり抜けていく しろい昼 くろい夜 ページをめくるたんびに 回転するドラム缶の中で俺は目をつむって 肩があらぬ方向に曲がってはまた戻る ドラム缶転がすふりをして あんちゃん 俺たちきっと 地球を転がしてんだよね (一九九九年二月十四日、惑星探査船ボイ ジャー一号は、地球から四十億マイルの地 点で、草原で少女が微笑むように振りかえ り、彼女の母星をみつめ、最後から二番め の仕事を行った。 彼女のフレームに映るのは、寄り添うよう な光の粒。太陽とその惑星たち。太陽系の 「家族写真」を撮影し、地球に送信した後 に、彼女は永久にその瞳を閉じる。 現在も彼女は最後の仕事を遂行中である。 彼女は宇宙塵のただなかを突っ走る。その 瞳を閉じたままで。瞳を閉じたまんま。) あんちゃん 俺たちふたり たぶん肩を並べて このまま海まで連れてってくれよ 水がいっぱいだから風呂にも入れるよ それに虹を見れるかもしれないし 海辺を列車が突っ走ってるかもしれないし
『生還者たち(マリーノ超特急)』 そんなの嘘よ と ベッドに腰かけた少女は私の目の前で若草色のワンピースを腰までたくし上げ 秘所を露わにする。不釣り合いな厚手のストッキングを躊躇なく下ろしそして 両大腿に咬み合わさった品質の悪そうな義足を優雅にはずした。 少女はシャツでも脱ぐようにワンピースをもどかしげにさらにたくし上げる。 下着をつけていない。少女の腹部と乳房と犬のような乳首。海辺の寒村にはめ ずらしいほどの白い肌がまぶしく窓辺の光をうけて揺れている。少女の栗色の ながい髪が脱いだワンピースに引っかかり跳ね上がり しずかになる。 あなたの服を脱ぐのを手伝えなくてごめんね。少女は半分ほどしかない白い大 腿をほぼ一直線にひらいたまま恥ずかしそうにささやいた。 崖のうえの孤立したこの小屋が村でただ一つの宿である と 崩れそうな岩場を登りながら案内人代わりの男が私に教えてくれた。聞くとこ ろでは少女は五年前に海辺で全裸のまま倒れていた。誘拐でもされたのだろう まだ幼いその少女の体にははっきりと乱暴された痕跡がありそして 両大腿がばっさりと切り落とされていた。 少女には発見される以前の記憶が欠落していた。余程の出来事に少女自身が自 らの記憶を閉ざしてしまったのか。村びとの看護の甲斐あって快復した少女は 崖のうえの小屋に住まうようになり今では旅人の面倒をみながら体を売ってい るのだと。 そんなの嘘よ。少女はゆっくりと私の首に両腕をまわす。
また書き込めなくなった。
保守
てす
『バンドネオン』 レクエルド。 砂時計が音もなくなだれを成して舞い墜ちる 夜にあなたは迷いこんできたちいさな銀河を 手のひらでつつむように抱きとめる 葉脈を 透かしてみえる地球の裏側では生れながらに しろい瞳のマリーアが影のまま生きつづけた 腰かけた椅子がわずかに浮きあがりそれでも なお部屋に壁は在り床が在って誰も知らない ラピュタがゆるやかな光芒をはなつ雲の濃淡 垣間見えるのはおそらくあなた 忘れられた 歌をうたう バンドネオンのはじまりだった ハカランダ。 水のにおいがする波の音がきこえる陽だまり にたたなずむギターのように古い三階建ての 事務所あなたは仕事でいそがしく窓をあける 知る人のない並木道を踏みしめた 薄紫色の 花の絨毯をふたり 深く知ることの難しさを 確かめようとかたく手を握りしめる瞬間その 手のひらと手のひらのわずかな間隙を狙って 散りゆく花のかけらが忍びこみ溶けて静脈を 遡る 毛細血管から支流を抜け本流へやがて 心臓ちかくの大血管に到達する あたたかい オルヴィード。 色鮮やかに縁どられた外壁を持つ建物の群れ が鳥のように河岸に列をなす折しもあなたは 源流より大河へつづくながい旅程を終えよう としていた草原を渡りあるいた記憶も誰から ともなく伝えつづられた物語もたった今この 雑踏でうたいおどられる劇中劇さえも過去の 事象として忘れられた 変わり果てたあなた にとってあなたは誰なのか思い出せない風が いつしか体内をめぐりあなただけが持つただ ひとつの音を響かせる バンドネオン ロカ
270 :
[それら] :2008/04/26(土) 15:06:01 ID:yEWCTv7z
テガカリヲ目指して航路を行く君たちの先に 言い過ぎない環境の端にそれがあるのなら それが僕の言葉で ここが僕の居場所で それらしいことなど何一つないのに パインの木の幹に鈴なりの言い訳が 誰かの姿も見ないのに ここまでと線引きをする猫が 夜の帳のその奥に 言い過ぎない環境が それまでとしゃべる君の目に 一片の絹が 言葉は言葉にならず 夜は草原の中にとけ またとけ 解けていく日々の向うにやはりそれらしい 切り立った海岸線の凍りついた白雲に それらしい かもめらしい それではまだ足りないらしい
寂しい思いをしてまた一度 寂しい言葉を並べてまた一度 雨の汽車は誰も知らない場所を通り抜ける そしてまた一度 心地良い眠りの奥でリフレインする 漁火にまぶたをゆっくり閉じる猫たちが 何度も何度も防波堤にぶつかって砕け散る 寂しい思いをしてもう一度 陶器のようにつるりとした梅雨の廊下に ぶつける小さな蝶々のひらめき さらさらの小唄 銀星の呼び声は何度も跳ね返りながら手元に戻ってくる 柔らかな毛並みの子羊たちを 僕はちゃんとした名前で呼びたい 釣竿を伸ばす前の子供たちのように この場所を恐れずに 言葉を信じている =========================
272 :
名前はいらない :2008/05/20(火) 19:42:54 ID:v9t8IQec
これはアメリカのゲームです。1度やってみてください。 これは、たった3分でできるゲームです。試してみてください。 驚く結果をご覧いただけます。 このゲームを考えた本人は、メールを読んでからたった10分で願い事が かなったそうです。このゲームは、おもしろく、かつ、あっと驚く結果を 貴方にもたらすでしょう。 約束してください。絶対に先を読まず、1行ずつ進む事。 たった3分ですから、ためす価値ありです。 まず、ペンと、紙をご用意下さい。 先を読むと、願い事が叶わなくなります。 @まず、1番から、11番まで、縦に数字を書いてください。 A1番と2番の横に好きな3〜7の数字をそれぞれお書き下さい。 B3番と7番の横に知っている人の名前をお書き下さい。(必ず、興味の ある性別名前を書く事。男なら女の人、女なら男の人、ゲイなら同姓の名前をかく) 必ず、1行ずつ進んでください。先を読むと、なにもかもなくなります。 C4,5,6番の横それぞれに、自分の知っている人の名前をお書き下さ い。これは、家族の人でも知り合いや、友人、誰でも結構です。 まだ、先を見てはいけませんよ!! D8、9、10、11番の横に、歌のタイトルをお書き下さい。 E最後にお願い事をして下さい。さて、ゲームの解説です。 1)このゲームの事を、2番に書いた数字の人に伝えて下さい。 2)3番に書いた人は貴方の愛する人です。 3)7番に書いた人は、好きだけれど叶わぬ恋の相手です。 4)4番に書いた人は、貴方がとても大切に思う人です。 5)5番に書いた人は、貴方の事をとても良く理解してくれる相手です。 6)6番に書いた人は、貴方に幸運をもたらしてくれる人です。 7)8番に書いた歌は、3番に書いた人を表す歌。 8)9番に書いた歌は、7番に書いた人を表す歌。 9)10番に書いた歌は、貴方の心の中を表す歌。 10)そして、11番に書いた歌は、貴方の人生を表す歌です。 この書き込みを読んでから、1時間以内に10個の掲示板にこの書き込みをコピーして貼って下さい。 そうすれば、あなたの願い事は叶うでしょう。もし、貼らなければ、願い事を逆のことが起こるでしょう。とても奇妙ですが当たってませんか?
273 :
もうきん :2008/05/21(水) 14:32:12 ID:sNQ1hWtB
ともだちが誰もいなくても 風はやさしい ふっと思い出させてくれるから 通りすがりの帽子ゆらしてくれるから 初夏の香りを教えてくれるから ね、ともだちが誰もいなくても 風はやさしいよね こんなふうにいつかさりげなく 会えたらうれしいのに 聞いてほしいこともないような でもなんだかあるような そんなこと夢見させてくれるから 想うだけですこし幸せになれるから できるならわたしも風のように 一生あなたに話しかけられなくても やさしい風のように
『屋根の上のマノウさん』 空にはいくつもの泡のような放物線が とんびが 海のむこうの出来事が 屋根の上にはマノウさんが わたしたちは 目を閉じて見上げよう 歩道沿いにはあやめの花壇が 街角のアパルトマンには大きな鏡が わたしたちは そうしてマノウさんは屋根の上にいる むくどりが少しやかましい あるいはホイッスルかもしれない 山からの風がふく タバコの灰がぱらぱらとこぼれる 砂に埋もれるようにわたしたちは眠る 「ちいさな善意や励ましや何気ない笑顔が どれだけ人を傷つけているのか 考えたことがあるか」と吐き捨てられる そうしてマノウさんは屋根の上にいる かるい会釈だけのあいさつをする 昼下がりには真っ赤な鉄塔が 夕焼けには緑の浮き島が 夜には汽車が わたしたちは目を閉じて見上げよう 屋根の上には マノウさんが
『ミンミ十字路で、ぼくらは微笑んだ』 すこし涼しいね エマさんがささやく たしかに風が吹いている 夜からの風だろう もう七月で冬の足音がきこえてくる いろとりどりの十字路 ここは見晴しがいい 少し背伸びをするだけで 100キロ先の海が見渡せるところ エマさんの髪もトマムの長いコートもみえる 十字路のはじっこで三角形に並んで ぼくらは 互いの名を呼びあった しろい大きな道をくだっていく かつてここで新種の恐竜が発掘された 鏡のむこうに鎮座する十字路 白鳥の北十字星はここからみえないし 太陽は西からのぼる ネイティヴは言いたいことが言えないので みんな笑顔が貼りついている ぼくらは通過した 通過する者にふさわしく いろとりどりのまぼろしの十字路を 地元の慣習にならうように 沈痛の微笑みをたたえたまま いつか船は出航したのだろう しろい砂のなかをどこまでもどこまでもどこまでも エマさんはベンチに腰かけて編物に余念がなく トマムは緑の丘でながい杖にもたれて立ちつくす 通過する者は通過する者たちと視線を合わせない 果てはあるが終点のない 夕闇があたりをつつむと もうすぐ朝 空を見おろす 南をさした十字路の舳先でぼくはおおきな伸びをする すこし涼しいね エマさんがささやいた 夜からの風を吸いこむ 十字路で肩を組んだ記憶 距離と時間をおいてトマムもぼくも 振り返り うなずく いろとりどりの十字路で ぼくらは再会し 微笑んだ
『再会』 きょう ウルトラマンに会ってきたので ぼくは なにも考えられない たあくんと 暗がりで手をつないで ウルトラの星を 映画のスクリーンを ふたり 見上げてきた あきらめなければ夢がかなう とか 信じる心と 希望を失うな とか かならず最後に正義は勝つ とか 観ているこっちが恥ずかしくなる内容で 何年もあきらめずに できることをやっているけど それで たあくんの自閉症が治るわけじゃない でも きょう ぼくらはウルトラマンに会えた それだけでじゅうぶんだった きょう ウルトラマンに会ってきたので ぼくは何か言いたいのに 何も言えない きょう ウルトラマンに会ってきたので ぼくは しあわせだ
『狙われた街/狙われない街(メトロン星人)』 こんな日はめったにないけど たとえば なにもかもが真っ赤に染まる絵のような夕焼けの日 空は思いのほかよごれてしまって あるいは記憶のなかの夕焼けとどこかちがっていて こんな日はほんとうにめったにないけど そんな見事な夕焼けの真ん中で すきとおるように立っている虹色の何かがいたら それはメトロン星人なのだ と あきおさんが教えてくれた そんな日はタバコを喫ってはいけない タバコに仕込まれた毒が頭にまわって 誰かを傷つけたくなる それはメトロン星人のしわざなのだ と これもあきおさんが教えてくれた 子どものぼくはタバコを喫わなかったが 母子家庭の生徒をいじめる教師 何かと絡んでくる不良もどき 傷つけたいヤツはいくらでもいた ぼくは体をきたえた 背は一年に30センチも伸びた 大人になって タバコの味をおぼえて それで 多分 きっと 誰かを 傷つけながら 生きて それはメトロン星人のしわざなのか あきおさんは教えてくれなかった
あきおさんは逝ってしまわれたのだ 2006年11月29日午後11時45分 享年69歳 あきおさんの最後のウルトラ作品で メトロン星人は地球を去っていった こんな星いらん 捨て台詞をのこして あきおさんもまた地球を 去っていった 多分ぼくは今もさがしているんだろう いつか視たはずの 記憶のなかの あの夕焼けを そんな日は めったにないのだけど そして 夕焼けの真ん中に 蛍光色の影をおとす メトロン星人の 後ろ姿を 今も ぼくは。
『花の名前をおぼえられない』 コスモスがコスモス色に咲いてて ススキがススキ色に揺れてる 土曜の朝 私鉄沿線の住宅地を ぼくとたあくんは歩く めずらしく陽が射している 建物の影が舗道をおおって肌寒い ぼくは細長く伸びるわずかな日向をえらんで歩き たあくんは カエデの型をしたカエデの落葉を次々に踏んで 足裏の感触をさくさくと楽しんで歩く たあくんも もう6歳 三語文までは話せるようになり 自分の意志も少しだが伝えられるようになった ひらがなを書けるようになった 「小学校の普通学級は…ちょっと無理ですね」 と つい先日 通告された 名前の知らない木が白い大きな花を咲かせている 名前の知らない鳥がどてっぽーと鳴いてる ぼくは無言で たあくんはぼくの知らない歌を小声でうたっている ページを開きっぱなしの本や 封をきらないまま積み上げてる専門書 のことを思いだす ぼくはつまりそんなふうにして今まで生きてきた 近所のちいさな公園は愛犬家たちの社交場になってて ちょっとしたドッグランの景観で すごく楽しそうだ ぼくの知らない近所の人たち どこかの子が怪我でもしたのか なけなしの遊具がまたひとつ撤去されてる たあくんは犬がこわくて 公園に入れない 両手で耳をふさいだまま立ちつくしている ぼくはたあくんの肩に手をやって話しかける たあくんの視線はぼくの知らない空間を見つめたまま 固まっている 公園を背にして ふたり もう慣れてしまった舗道を歩いていく たあくんが手をつなごうと右手をぼくに差し出す ぼくはたあくんを見ないまま左手で たあくんのちいさな手を しっかりと握りしめる あたたかい ひざしが
『時折の笑い声が、そして』 夜 草はらの草の丈が少し低くなった窪地に テントは立てられて そのかたわらに とうもろこしの絵がかいてある木箱 寄り添うように ふたつ 上には座布団が縫いつけられ 厚手の膝掛けが かわいた風に旗めき それに向かいあうように 木箱 もうひとつ 8インチのトランジスタテレビが あたりをおだやかに照らし 司会者の絶え間ないトークに 時折の観衆の笑い声がひびく つい先ほどまで先住民の老夫婦が 寄り添うように ふたり それをながめていた 時折の笑い声が 彼らの顔を煌々と照らし かつて焚火や昔語りやギターが担った役柄を テレビはじゅうぶんにはたしていた 老夫婦は 崖下の厠にでもいったのだろうか 連れ立って しばらく前に座を外したきり 戻ってこない あたりは闇夜 テレビはちいさな半径を照らし 膝掛けがかわいた風に飛ばされて 時折の笑い声が 束の間の静寂を そして
決定的な愛情はモッツェレラチーズのように びよよんだらんと伸びきって 竹とんぼのように飛び去って 一級河川のほとりを歩けば 僕らはまるで大人物のようで それでももうすぐ故郷を失う予感に ばらばらにさいなまれて それもひとつのさようなら 育った町を捨てるということ ねぇ あのドブ川を飛び越えたことを覚えているかい あの駄菓子屋の棚の隙間に落っことした50円玉の行方覚えているかい 全部は宙ぶらりんのまま 僕はこの故郷に居場所をなくす さようなら さようなら ゆっくりおちていく夕日の赤さに さようなら
鳥テスト。
おかしいな。これだったかな。
もうあかん。
『たんぽぽ咲きみだれる野っぱらで、俺たちは』 とおくの丘で 風力発電の風車がゆっくり回っている 見ろよ あれが相対性理論てやつだ 他人事であればあるほど てめえだけは平穏無事でいられる 俺は腹がへって あんちゃんのつぶやきをあまりろくに聴かずに 肉眼で空を凝視しながら あいまいな合槌をなんべんも打った たんぽぽが咲きみだれる野っぱらで 飛び交う綿毛にむせっ返りながら 俺たちは たたかってるところだった 成層圏のむこうに きらりと光る何かが見えたら そいつが敵だ 事の真偽を確かめずに 俺とあんちゃんがぶっ放す これしきのランチャーじゃあ ちいさなデブリがあたった程度だろう まっすぐな煙はどこまでもあおい空に吸いこまれ ちりちりと空気の焦げるにおい あたためたレーションのにおい このなけなしの軍用携帯食が 俺たちの一日分の命の代価だ 安いなあ ひとの命は あんちゃんが鼻唄まじりにレーションをあける ああ 安くて旨い まだ値段をつけて貰えるからな いい身分だよ 俺たち やつらの言う 「誤爆」ってやつを目撃したことがある ちょうど人間の形に蒸発した影が 壁に貼りついてた なにかをつかもうとするような 指の痕跡まではっきり見えた やつらが本気出しゃあ このざまだ このたたかいは 負けなんて生やさしいもんじゃない 首根っこをつかまれて悪あがきで 手足をじたばたしてるようなもんだ よそうぜ そのはなしは メシがまずくなる
宇宙に もいっぺん行けたならな あんなやつらこてんぱんにしてやるのに 俺は眠くなって あんちゃんの遠い眼をかえりみもせず 大きなあくびをしながら いいかげんな合槌をなんべんも打った 俺の頬を つう とひとすじ涙がつたう あくびのしすぎだった ここはあたたかすぎるんだ。 成層圏のむこう きらりと光る何かが見えて 俺たちは何も考えずに 照準をオートにしたまま ランチャーをぶっ放す あおい空にどこまでも吸いこまれる軌跡 消えていく爆音 と 空の色が変わり 真昼の星が輝くように俺たちの阿呆づらを照らす 命中か? 命中だ…逃げろ! 咄嗟に熱反射シートをかぶり ランチャーを放り投げる間もなく あんちゃんの右脚と 俺の右腕が視えない衝撃に撃ち抜かれた ちょうど俺たちの脚と腕の形に 地面は蒸発し 大量の黄色い花弁と 白い綿毛の乱舞が これでもかと俺たちの上に 降り注いだ
287 :
花言葉 :2010/06/26(土) 23:16:42 ID:24fxxVh1
野の花の あなたが好きだったという花の 庭に咲いた花の あなたがいつも見ていた花の 柔らかい雨に打たれて ちらちらと瞬く花々の その日々が、言葉が まだそこに芳しく漂い 遠くに漕ぎ出すあなたの舟をそっと沖へと離す時 また花の咲く日々のあることを知る まだ眠りの中にある花々のことを思う
288 :
たま :2010/06/26(土) 23:38:13 ID:qz+bCucE
こんばんわ。素敵なスレね ちょちょ通わせてもらいます^^
289 :
たま :2010/06/27(日) 01:52:43 ID:Tr3rVcnG
1から読んだけど、なんだこのスレ。胸がすーとしたよ。 カノプスさん、もういない?
290 :
たま :2010/06/28(月) 03:42:36 ID:2hT7tjwE
「お墓に」 雨がぽつぽつ ふってきて 花壇のすきまのお家が こわれてしまった お外で はたらく 蟻さん達は こわれたお家を うろ うろうろ うろうろうろ うろうろうろうろ みんな こわれたお家に お菓子をそなえて うろうろうろうろ うろうろうろ うろうろ うろ
291 :
たま :2010/06/28(月) 14:30:14 ID:2hT7tjwE
なんまんだぶ なんまんだぶ
292 :
たま :2010/06/28(月) 21:24:13 ID:2hT7tjwE
「梅雨」 首、べーとべと 脇、べーとべと 股、べーとべと ああ みきちゃんと あたしも、べーとべと。 もう ぜーんぶ脱いじゃえ すっぱだか
293 :
たま :2010/06/28(月) 23:23:04 ID:2hT7tjwE
「お布団」 眠るとき ママはもういないから なにげなく 大きな、お布団よ あたしが くの字になると もっと もっと大きくなって なんだか 小人になった気分 だから ちょっとだけ 息ぐるしい ママ あたし ママがいなくなって せかいの大きさが わかったのよ 夜 なにげなく 大きな、お布団と たしかに 小さな、あたし
294 :
たま :2010/06/29(火) 17:26:03 ID:ZSlpvy8U
「ともだち」 雨がふっている 教室でも 廊下でも ふっている 雨 コンクリートや木片に たたきつけて その悲鳴が こだまして、こだまして 私 耳をすます 雨音をかいくぐって ともだちの声を さがしあてる (たまちゃん、聞き上手ね だけど私 のがしたことがある ともだちの声を 私 ぞっとして 学校やすんだ(アンネといって 何度も、あやまろうと 寝返りうった(後にいるきがして でも ともだちは ともだち だった (ピンポーン お家に ひょっこり と 遊びにきてくれた (たまちゃん、大丈夫 私 うれしくなって うれしくなって (ありがとう 雨なんか いつのまにかに 止んでいた
295 :
たま :2010/06/29(火) 21:56:58 ID:ZSlpvy8U
「純粋」 ヒトデ ううん 星 ウニ ううん 栗 サンゴ ううん 城 クラゲ ううん 花 アタシ ううん 穴
296 :
たま :2010/06/30(水) 18:23:51 ID:894BoH+p
「キノコ傘」 また キノコ傘に 雨宿り いきつけの 喫茶店のように こしかけて ジメジメ と 泣いていたら あ また おっきくなった
297 :
たま :2010/07/02(金) 18:08:53 ID:0YfN4Iei
(インスパイア) 「いいこと」 あの、 まん○を ツーとなぞったり、 お口にふくんで コロがしたり(赤ん坊みたい そんなこと つづけてたら、 ぱぁ と ももの花ひらいたように あたり一面いいかおり (あれれ ちょっとだけ △布巾にうるっとした、 水たまり あの人 おもわずとびこんで、 ちゃぷ ちゃぷ と あそんだわ(ほんと子供みたい するとね、 色んな水がさらさら と 白い壁からわいてきたの おしっこみたいに
298 :
たま :2010/07/02(金) 18:10:37 ID:0YfN4Iei
ふいに、 くすくす と 笑いが(いじわるなのです耳たぶをのぼって、 あたし 海にうかぶ 水ふうせんね それでも あの人、 ちゃ ちゃ ちゃ (ここ? て さがしてくる (ここ? て しつこく (たま? でも (ここか? そこ って言うと あ ほら 洩らしてしまう
299 :
たま :2010/07/03(土) 19:39:12 ID:M4muzNk6
「いただきます」 ジュージュー て 鳴いているの フライパンの上で雛が ジュージュー て 泣いているの もくもく と たち昇る その 白いからだを 風に絡ませ 窓からお空へ とびだっていくの だれにも 悲しまれずに いってしまうの (どこへ? どこ、でしょうか そうね ひょっとしたら みんなの声や手や足 そんなところに 今も ひそんでいたりして
300 :
たま :2010/07/05(月) 18:06:47 ID:7bQN2j+Y
「渦」 一日の中で ちょっとずつ ちょっとずつね ルーズになっていく 定時に近づくにつれて 汗は 流しっぱなしになり 髪型だって 帰りの電車の中で とき放ってしまう 家についたら ブラウスを脱ぎ ブラジャーひとつになって 洗面台に手をつく (はぁ と 一息洩らしたら 洗濯機に 何もかもを投げ込み ポチ ごうん ごうん 回りだす ごうん ごうん 目の前で ごうん ごうん 一日の汚れが 渦の中心へ もろもろ 溶かされていくのをみて ごうん ごうん ごうん ごうん ごうん ごうん ごうん ごうん ごうん ごうん はっ とする 私
301 :
たま :2010/07/06(火) 18:55:26 ID:n+EFn4s8
「おり姫」 おり姫は 窓からみていた ひこ星と あの子を おり姫は じーと 窓からみていた
302 :
たま :2010/07/18(日) 19:59:49 ID:oYuVPCfr
「屋根」 私が曇りをとなえると 外はたちまち曇りである いたずらに雨を降らせては ひとつの屋根に雨宿りしにいき 私はそこからひそひそと どしゃ降りの世界をながめていた ある日 先客がいることに気がついた 先客の水々しい眼は どこか遠くのほうをみつていた 私よりも遥か遠くの場所に 先客は雨の彼方をみつめていた いつしか 彼がひとつの詩集をにぎっていることに気がついた よくみると詩集名が私であった 一度だけ貸してもらえた 嫌いではない、むしろ心地いい はじめての感覚であった そのはじめての感覚に私はとまどった とまどって、屋根からにげだして たちまちずぶ濡れとなってしまった (あの人の中に隠れよう 私は急いで屋根にもどった が そこにはだれもいない あの人、屋根から立ち去りいってしまったのである 今でもあの詩をおもいだそうとすると 辺りはたちまち雨である しょうこもりもなく またあの屋根に雨宿りをしにいっては どしゃ降りの世界を、ぼーとみつめている 隣にはいつでも、ひとつのスペースがあり 軒下から少し外れたところで 水色と桃色が混じったような すみれの花が 雨に打たれつづけている
303 :
たま :2010/07/20(火) 21:33:34 ID:3NTFs/3c
「そういうもの」 おとこは かくれるものだ おんなは かくまうものだ おとこは はしるものだ おんなは うたうものだ おとこは よごしたくなるものだ おんなは あらいたくなるものだ おとこは はやくいくものだ おんなは あとをおうものだ
304 :
名前はいらない :2010/07/22(木) 01:03:45 ID:Skok1CFp
やさしい人が一番怖いの知らないなんて、あんたら子供かよ。 やさしいなんて全部芝居。中はどす黒い。色見た瞬間そいつはもう死んでいる。
305 :
たま :2010/07/22(木) 12:29:19 ID:nHQ/CfDP
そんな糞レスに…釣られないクマ━━!! ∩ / ̄ ̄ ̄`ヽ、 \/ ● 、_ ヽつ === ミ\( ● ● | | X_人_ノ ミ ==== 、 (_/ ノ /⌒| /\____ノ__/ /== ( __/ \ \_ ズルズル〜 \__) \==== `\ ___\_ \___)__
306 :
たま :2010/07/25(日) 17:59:59 ID:LVJLEeYu
「嫌な予感」 妙に静かな隣室 その 襖から洩れでた オーロラの様な光線に 妖しさを伺う 幼い私
307 :
たま :2010/07/25(日) 18:01:18 ID:LVJLEeYu
「こつ」 ぶかぶかでも きつきつでも 駄目だとおもう 形こそ変えられないけど りきんだり ゆるんだりして 遊んであげなきゃ すぐ逃げてしまうんだから 心だってそうよ
308 :
たま :2010/07/25(日) 18:02:36 ID:LVJLEeYu
「いのち」 お花に隠れる、小さなにんげん、ふたりいました。 おんなじお花に、隠れたふたりは、 おしべの椅子と、めしべの机で、ぴったんこ たくさん、お話、咲かせあいました。 お昼時も過ぎたころ、お外の方では、 北風びゅうびゅう、雨ざうざう、 なにやら嵐が、きたようです。 お花は、ひらいた屋根を、とじまして、 お家のように、ひとつの蕾と、なりました。 風にぐらぐら、揺られ 雨にぱちぱち、打たれ * どのくらい、経ったでしょうか。 お外の方では、 陽が、でています。 虹が、かかっています。 お花が、雫をたらして、泣いています。 嵐は、とおり過ぎて、いったのです。 耐えた、お花の、つよいこと そのうち、蕾は、ひらくでしょう。 ゆっくり、ゆくりと、ひらくでしょう。 風に、そよがれ ゆっくり、ゆくり、ひらいていったら、 なんてことでしょう お花のなかに、小さなにんげん、 さんにん、笑って、暮らしています
309 :
たま :2010/07/25(日) 18:03:39 ID:LVJLEeYu
「玉」 ちょっとずつ ちょっとずつ 「光」を剥いていくと そこに 一つの玉がみえてくる あれは一体 なんなのだろう
310 :
たま :2010/07/25(日) 18:04:42 ID:LVJLEeYu
「星と花」 星のなかに花をみた! 花のなかに星をみた!
311 :
たま :2010/07/25(日) 21:01:48 ID:LVJLEeYu
「むじゃき」 花と花をむすんだら 神さまに叱られました。
312 :
たま :2010/07/25(日) 21:03:24 ID:LVJLEeYu
「動物園」 みんな みえないそらを みつめている みんな みえないそらを みつめているから みんなうつくしく みんなの みえないそらはもっと みえなくなっていく
313 :
たま :2010/07/25(日) 21:05:14 ID:LVJLEeYu
「おかしな苺」 苺、ひとつ おくちに含んだら 母さん 父さん、にんまり笑う 苺、ふたつ おくちに含んだら 母さん 父さん、にっこり笑う 苺、ずーと おくちに含んでおけば あら、ふしぎ 母さん 父さん、ずーと、笑顔
314 :
たま :2010/07/25(日) 21:07:29 ID:LVJLEeYu
「黄昏」 夕日が うれしい昼を かたづけた 夕日が かなしい昼を かたづけた 夕日が いつかの昼を ぶらさげていた! 黒々とした山の スクリーンのうえ 夕日が いつかの昼を ぶらさげていた! かなしかった うれしかった それゆえ 心がもうしわけなさに かられてしまった 夕日が てっていた 白々と てっていた 黒々とした山の スクリーンのうえ 夕日が ぢくぢくと にんげんちたちを おそっていた うすあかるい 街の灯に 小さな虫がぐるぐると まわっていた
315 :
たま :2010/07/26(月) 20:55:16 ID:vg0QYzeV
「蚊」 最近じゃ 蚊のほうに 気をつかってしまう
316 :
たま :2010/07/27(火) 20:10:56 ID:jcSEYZES
「祭壇」 生きてれば 少しぐらい死ぬ きみだって 少しぐらい死んでいる なんのために 祭壇があるのか よく考えてほしい
317 :
たま :2010/07/28(水) 22:29:48 ID:+lqIgdXw
「夢」 夢のなかで ピアノをひいていた ベートーベンの悲愴だ 母と父はうつむいて 友はわたしの肩に 手をそえていた
318 :
たま :2010/07/29(木) 21:00:48 ID:iPQ6AhVt
「壁」 電気をけし みえてきたものが 壁だとおもう (また会ったね そうやって 壁と友達になろうと しているのだ
319 :
たま :2010/07/30(金) 22:39:44 ID:wB65Zf+f
「幻」 防波堤で 釣りをしていたら 浜辺に 浮くこどもをみた! なんだ! なんだ! と おもいきや なんだ ただのゴミ袋だった
320 :
たま :2010/07/31(土) 16:20:52 ID:geloSLyS
「ボキッ」 美しってなんだろなとか 悲しってなんだろなとか そんなもん おもえばおもうほど ただ ブロッコリーに 水を蒔くだけだから びょうきだ、びょうき ボキッと折んなきゃって 喉から手をつっこみ あーあーまさぐるものの どうやら 自分じゃとれそになくて はて、こまった どこかに うでのながい「男」の人はいないものか
321 :
たま :2010/08/01(日) 19:45:52 ID:OqwnJDLw
「綺麗な」 綺麗な顔っ より 綺麗な手っ いわれたい 綺麗な手っ より 綺麗な足っ いわれたい 綺麗な足っ より 綺麗な顔っ いわれたい あっ 綺麗な心っ 入らない
322 :
たま :2010/08/05(木) 21:26:35 ID:8iPWf7OU
「メガネ」 メガネをかけている時と メガネをはずしている時 どっちが 好きって 斜めにずれていることに まるで気づいていない その時のあなたが いっちに可愛いくてよ
323 :
たま :2010/08/06(金) 23:48:26 ID:kGUVpy/z
「白い病気」 蹴られて 舐められて けられて なめられて ケラレテ ナメラレテ そうやって 患者になって 籍を入れるのか
324 :
たま :2010/08/07(土) 22:43:51 ID:/LAaMLEu
「水着の日」 ぐんぐんと 暑くなっていた もうすぐ夏だった 衣替えの段ボールを あさっていたなら 家の中が めちゃくちゃに 散らかってしまって 気づいたら もう夜になっていて 私は ひとり水着の姿 鏡の前で 泣きそうになっていた 去年もそうだった
325 :
たま :2010/08/08(日) 21:55:01 ID:L0z4ojK3
「沈黙」 (詩に飽きちゃったわ と 文芸部の友人が わたしに告げてきた わたしは 考える人の姿勢で 黙りこくる他なかった
326 :
たま :2010/08/09(月) 18:47:56 ID:u5M2iK7A
「だから」 たまちゃん お父さんに似てきたね。 だから 冷たくなったのかな
327 :
たま :2010/08/09(月) 18:51:36 ID:u5M2iK7A
「帰郷」 さて、帰郷である もって帰るものは 大人ぐらい つれて帰るものは 魚臭ぐらいか
328 :
たま :2010/08/11(水) 20:03:17 ID:9EOhOWTw
「まだ」 そういえば うれしいのか かなしいのか まだ 決めていなかった
329 :
たま :2010/08/13(金) 22:45:12 ID:g+cBUrwD
「巨人」 空から巨きな手が のびてきて 人間をさんにん 拐っていった 少ししたら 空から人間が ふたりおちてきた
330 :
たま :2010/08/15(日) 19:51:35 ID:R69C0zwk
「赤い星」 真夜中に廊下を歩いていた 奥で赤い光の様なものが 斜めに路を射していた それは物置部屋の襖の穴から洩れでているものらしく 恐る恐るも その襖の前にまで近寄ると 膝をゆっくりと折り 正座の姿勢で 片目を隠し 指の輪っかほどの穴から中をのぞき込んだ 薄暗い空間の中心に一本足のテーブルが立っていた テーブルの上には一本のロウソクが がっちりと固定されているかの様に置かれていて ロウソクの上には拳一つほどの星が ひとだまの様に赤くぼんやりと垂れさがっていた 星はロウソクの焔に焙られながらも 赤いミラーボールの様に一定の速度を保ちながら ロウソクの火柱を軸にゆっくりと 真横に回転していた そのロマンチックな光景とは裏腹に 部屋の中には 何か 得体の知れないどす黒いものが 静寂と共に 立ち込めていた ダレカブッ殺シテ頂戴 幻聴か ダレカブッ殺シテ頂戴 いや 確かに囁き声を穴越しに聞いていた ダレカブッ殺シテ頂戴 ダレカブッ殺シテ頂戴 ダレカブッ殺シテ頂戴 ダレカブッ殺シテ頂戴 ダレカブッ殺シテ頂戴 ダレカブッ殺シテ頂戴 ぶっ殺してやる 襖をおもいきり開けると 中に飛び込んだ 私だ
331 :
遅レス太郎 :2010/08/16(月) 11:22:57 ID:xhKVAd0N
「たまに捧げるうた(未完成)」 たまきちよ おまえはたまらず飛び去った たまのようだったおまえのひかり わたしはたまたまおまえの親になり かたまりのなかから滑り出たあたまを たまごのようにぬっちょりと抜きだして おまえをたまくらの世にほっぽりだした たまきちよ おまえはたまらず飛び去った たまったもんじゃないというような足どりで 猫のタマが自動車の下から回転してでる足どりで 三歳の誕生日に与えたまくらを投げ捨てながら たまくらなんておかしなことばを教えるなと身体で叫びながら またまたジャガタマールの方面の空へ飛び去った 今はタマジハールの宮殿の屋根の上でつるつるすべっているのかい たまにはまがたまを買って帰ってきてはくれないか おまえのターマによると七色のたまを東方の空に捧げると 緑色系のたまいんこがたまたまと鳴きながらやってきて すべてのうんこ色を洗い流すタマタマウォッシュをキメてくれると たまきちよ どこでそんなたまげたことを信じたんだい たまには月刊タマスリー誌でも読んで 茹でた帆立でもたまりしょうゆをつけて嘗めながら ふたまたをかけながらおまえをもうけたわたしのことでも考えながら たまを外してみてはくれないか 名前には必ず意味があるなんて考えないでほしい 意味のない響きだけがある名前 それもある たまを必ず入れなくてもいい世界もある あるある たまってる
332 :
たま :2010/08/16(月) 21:09:34 ID:ujad4DLe
「庭」 花はだんまり 陽に照られていた 蛙はだんまり 雨に打たれていた 池はだんまり 葉に塗られていた 石はだんまり 雪に乗られていた また 私も そんなふうに 生きられるものなら と 縁から だんまり 庭をみつめていた
333 :
たま :2010/08/16(月) 21:38:28 ID:ujad4DLe
334 :
たま :2010/08/17(火) 18:02:38 ID:HHlFao1p
「火遊び」 でも やっぱり寒いんでしょ だから マッチを擦るんでしょ
335 :
遅レス太郎 :2010/08/18(水) 09:18:19 ID:GXN+EaOm
先生って 案外 大胆なん だね…… /\___/ヽ //~ ~\:::\ | r=- r=ァ .:| | ,,ノ(、_,)ヽ,, .:| | `-==ニ==- '.:::| \ `ニニ´ .::/ /`ー――― ´\
336 :
たま :2010/08/18(水) 17:31:28 ID:rs3csKgz
「影」 さむいので 火をおこしたら 色んなものに 影ができました
337 :
遅レス太郎 :2010/08/19(木) 14:13:49 ID:iPjmWDrQ
男根とか? /\___/ヽ //~ ~\:::\ | r=- r=ァ .:| | ,,ノ(、_,)ヽ,, .:| | `-==ニ==- '.:::| \ `ニニ´ .::/ /`ー――― ´\
338 :
たま :2010/08/19(木) 19:21:00 ID:Mg0+n2RX
「穴」 なんだ穴か そう疑ったら どこかで 一斉に舌打ちが なったような気がした
339 :
遅レス太郎 :2010/08/19(木) 21:08:36 ID:iPjmWDrQ
あ、あなあなあないいじゃねえか…… /\___/ヽ //~ ~\:::\ | r=- r=ァ .:| | ,,ノ(、_,)ヽ,, .:| | `-==ニ==- '.:::| \ `ニニ´ .::/ /`ー――― ´\ 「チッ」なんていわねえぜ
340 :
たま :2010/08/19(木) 21:27:44 ID:Mg0+n2RX
「池」 池のなかの私 魚が小さく泳いで 大きく歪んだ
341 :
遅レス太郎 :2010/08/20(金) 20:00:54 ID:quiw0PFb
魚ってのは精子のことだね? /\___/ヽ //~ ~\:::\ | r=- r=ァ .:| | ,,ノ(、_,)ヽ,, .:| | `-==ニ==- '.:::| \ `ニニ´ .::/ /`ー――― ´\
342 :
たま :2010/08/20(金) 20:17:39 ID:5eXgRIrB
「工場」 みんな みんな 何かの工場だとおもう
343 :
ちーちゃん :2010/08/20(金) 21:12:19 ID:Use1wlM8
なんだこのキモキモ粘着スレwwww 俺もまぜろwwwwwww
344 :
遅レス太郎 :2010/08/20(金) 22:11:11 ID:quiw0PFb
>>342 僕は玉座で
君は処女宮で
それぞれの卵を作り
そしていつか合併して
何かが作られるんだよね
/\___/ヽ
//~ ~\:::\
| r=- r=ァ .:|
| ,,ノ(、_,)ヽ,, .:|
| `-==ニ==- '.:::|
\ `ニニ´ .::/
/`ー――― ´\
>>343 混じり合っても
カオスのその中から
一人の子供が
産まれて来るんだよね
>>344 お前の乳首を責め倒したいわwwwwwww
346 :
たま :2010/08/21(土) 00:31:07 ID:a8jqC4Pv
「石」 歩きながら おいてきた石 そのつど おいてきた ぎらぎらの石 ふりかえると 少しだけ 緑色に
347 :
遅レス太郎 :2010/08/21(土) 09:56:03 ID:ig80V8R2
その石を僕にぶつけるんだね? /\___/ヽ //~ ~\:::\ | r=- r=ァ .:| | ,,ノ(、_,)ヽ,, .:| | `-==ニ==- '.:::| \ `ニニ´ .::/ /`ー――― ´\ いいよ いいよ〜 乳首にもぶつけてください
348 :
遅レス太郎 :2010/08/21(土) 18:58:24 ID:ig80V8R2
たまだし /\___/ヽ //~ ~\:::\ | r=- r=ァ .:| | ,,ノ(、_,)ヽ,, .:| | `-==ニ==- '.:::| \ `ニニ´ .::/ /`ー――― ´\ まだ?
349 :
遅レス太郎 :2010/08/21(土) 18:59:51 ID:ig80V8R2
もろだし /\___/ヽ //~ ~\:::\ | r=- r=ァ .:| | ,,ノ(、_,)ヽ,, .:| | `-==ニ==- '.:::| \ `ニニ´ .::/ /`ー――― ´\ きぼんぬ
350 :
遅レス太郎 :2010/08/21(土) 19:17:24 ID:ig80V8R2
気持ち悪かったら /\___/ヽ //~ ~\:::\ | r=- r=ァ .:| | ,,ノ(、_,)ヽ,, .:| | `-==ニ==- '.:::| \ `ニニ´ .::/ /`ー――― ´\ 早めに言ってね
351 :
たま :2010/08/21(土) 21:02:54 ID:a8jqC4Pv
「やっぱり」 今日もその人達の心へ 心から叫んでいる どうしてか やっぱり 好きなのだ
352 :
たま :2010/08/21(土) 21:05:31 ID:a8jqC4Pv
「黄昏」 夕暮れだった 紅の玩具箱に 線香を一本挿し 涙ぐんでいた 嬉しかったなぁ 悲しかったなぁ 嬉しかったなぁ 悲しかったなぁ やらかい白煙が 夕空へと消えていった
353 :
遅レス太郎 :2010/08/21(土) 22:53:11 ID:ig80V8R2
>>351 /\___/ヽ
//~ ~\:::\
| r=- r=ァ .:|
| ,,ノ(、_,)ヽ,, .:|
| `-==ニ==- '.:::|
\ `ニニ´ .::/
/`ー――― ´\
告白されてしまったよ
354 :
たま :2010/08/21(土) 23:44:40 ID:a8jqC4Pv
>>353 とりあえず弾切れ。
君は何をするべきかわかってるよね?
後は任せたということだ!
355 :
遅レス太郎 :2010/08/22(日) 08:00:55 ID:o84G7r2z
な…… /\___/ヽ / ::::::\ | ,―― ―― ::| | 、(o),、(o), :| | く :::| \ /([≡])ヽ / /`ー--‐―-´\ | | なんだってええぇぇ!?
356 :
遅レス太郎 :2010/08/22(日) 08:04:56 ID:o84G7r2z
∧_∧ (´д`)う、打ち止め…? /し | ∪⌒∪ ∧_∧ ( д )……。 /し | ∪⌒∪ ドサッ ∠⌒⌒ヽ ≦__ヽつ ≡≡≡≡ ≡≡≡
357 :
たま :2010/08/22(日) 08:26:09 ID:/E+e3jkt
いいから書けよ!絶対にだぞ! ( ∪ ^ω^)カケヨ
猫はにんまり 火をおこしてた 鮎はこんがり 焦げ目をつけた 猫はやっぱり 猫舌だから 川はちゃっぽり 魚を食べた
359 :
たま :2010/08/23(月) 00:36:09 ID:GTJ1xFKu
「夏の終わり」 夏が終わりそうになる度に 今年も暑かったなぁ、と、言うのだ いや、確かに暑かった 毎朝起床後に、シャワーを浴びたり つとめから帰って飲むビールが この夏とても美味しくあったのを、覚えている しかし、年々、太陽の暑さからは 遠ざかっているのではないか、と そう思ってしまう、自分もいるのだ あの、けだるい、熱中症の夢うつつ あの頃と比べると、幾分、 涼しくなってしまったものだなぁ、と 夏の終わりに これまた美味しくある、少し温めのビールを ちびちびと、飲み干していく、私がいるのだ
『いつかまた、会えるから、』 「水没した都市」の駅でアクアバイクを借りて ハシケを曳きながらとろとろと岬沿いを走っていく 俺とあんちゃんは 一宿一飯の恩義で仕事をおおせつかった 沖合に座礁した小船の積荷を採ってきてくれ という 中身は? 本ですじゃ…本? 都市が水没する時に図書館の司書だった爺さんは 小船に蔵書をありったけ載せて避難した ただ それも 逃げ遅れた人をひとり救いあげる毎に ひと山何キロで大切な本を惜しげなく海に投げ込んだ という 偉いじゃねえかよ爺さん あんちゃんが感動する 偉い爺さんのためにひと肌ぬがなくっちゃあな なんのなんの 嘘じゃ といたずらっぽく舌を出す爺さん かくて明くる朝 俺とあんちゃんは小船へ向かった 俺は右腕の義肢に蟹除けの笛を巻きつけ ひゅんひゅんと鳴らす 蟹に喰われないように 命がけで下らないことをするのは なにもこれが初めてじゃあない 梯子をかけて甲板に昇る 船室のドアの取っ手が外れて顔を見合わせる 俺とあんちゃんは 真っ暗の船倉を往復しては 水気を少なからず吸った本や紙片をかき集めた 満杯のハシケを曳くアクアバイクはまっすぐ進めない みんながみんないろんなものに酔っ払いながら 塩まみれ海藻まみれで運んできた本の山を 爺さんは生き別れた孫でも待ち受けるように出迎えた いそいそと本を仕分ける爺さんに あんちゃんがはにかむように言った 爺さん この本を一冊 オレにくれ 背表紙にはかすれた文字で 『大宇宙冒険野郎〜キャプテンエックと愉快な仲間』 俺とあんちゃんがガキの頃 擦り切れるまで読んだ本だ
そうだ いつだって本を開くと 記憶の扉がぎい と開いてキャプテンエックが顔を出す 「やあ また会えたな ずいぶん大きくなって」 俺たちとキャプテンエックは 久しぶりの再会に肩を抱き合う キャプテン オレたちも宇宙に行ったんだ あんちゃんが顔を上気させて報告すると キャプテンエックは瞳をまるくして喜んだ 「ふむふむヘリウム3か…オレたちの時代にはなかったな」 大昔の未来人がおかしなことをつぶやいている そう 俺たちが勇躍飛び出した木星近くの軌道で待っていたのは ヤツらの放つ退去勧告だった なんでも木星から向こうはヤツらの領有域で 宇宙連合的にただしい手続きを踏んでるんだと 俺たちは宙域侵犯で条約違反もはなはだしい と 非難がましい警告だった 「なるほどそいつぁ××××だ」 キャプテンエックはさらりと禁止用語を口にする キャプテン あんた相変らずだな なあキャプテン 俺たちはあんたになれなかった 地球はあんたの役を演じられなかった 反抗をくりかえす愚かな先住民 それが俺たちに与えられた ただひとつの役柄だった それでこのざまさ 俺とあんちゃんはそれぞれの義肢をみせる 「冗談じゃねえ」 冗談じゃねえ 今じゃあんちゃんの口癖だ 「ここからまさかの大逆転てのがキャプテンエック様だ そうだろう?」 現実的には無理だがあんたが言うならそのとおりだろう 「お前らもまだあきらめちゃいねえな 眼を見りゃわかるよ」 諦めてたら今時こんな生き恥晒しちゃいねえよ 「にしても…ほんとに何にもなくなっちまったんだな」 なあに 昔っから何にもなかったじゃないか この本を読んでたガキの頃だって 俺とあんちゃんとキャプテンしかいなかった 今日は思いもかけずキャプテンに会えた それで充分さ 「立派になったなあ ほんとに立派になった」 あんたはオレの親父かよ 笑い合いながら 目線で別れを告げ本を閉じて 爺さん どうもありがとう あんちゃんは『大宇宙冒険野郎』を爺さんに返す 無言のままじっと見つめる爺さんに 明日も行くよ 本を採りに 俺たちは手ぶらで 暮れゆく浜辺のほうへ歩いていった