「ごめんなさい」
生まれてごめんなさい
苛められてごめんなさい
お父さん お母さん 先生
仲間はずれになってしまってごめんなさい
そして君は手紙の最後に
「つらい」
と言う言葉さえ書けずに
何処に行こうというのか
君の言うべき言葉はそうではない
君の行くべき場所はそこではない
カテゴリーの外に飛び出せ
吠えろ 叫べ 走り出せ!
転ぶ事もあるだろう
道はいつも平坦では無いから
君の道は君に続く
なのに
君は道を掘りおこし
石ころを撒き散らす君を取り巻く世界に
ごめんなさい
と謝るのか
それは君が謝る事ではない
もし
君が謝るべき事柄があるとしたら
遠く広がる地平気が付かない
君自身に謝るべきなのだ
さあ、そこから走り去れ
カテゴライズされた小さな世界で
君は君を諦めるな
あたしの目の前で
突然シャッターが降ろされた
おもしろ半分の悪意が
突然 あたしを突き刺した
トモダチと認識していた かずかずの物体が
立ち枯れた樹木のように
突然 おし黙ってしまった
「ごめんなさい」
そこに存在すること 息をすることさえ
許してもらえない エコーが聞こえる
これは いつだったか あたしが言ったことば
「君が謝ることじゃない」
嘗て あなたが言ったことば あたしも呟いてみる
あなたにとってあたしは 憎悪の対象でなく
ただ「その他大勢」の あきらめの対象でしかなかったのだろうか
酷薄な太陽に 手のひらをすかしてみる
――何も起きないじゃない でも
いっそのこと 透明な存在になれたらいいのに
なんて 思いたくない あきらめない
あたしは あるがままのあたし
地球が回転をやめても おびただしい血が流れても
太陽が輝きを失っても 鳥が鳴かなくなっても
日常のなかに 埋もれてしまいそうになっても
あたしはあたし
あたしの血 あたしの肉 あたしの生命
うつむいた顔を きっと上げる