エレクトロピカ
エレクトロピカ。
少女は、
電撃。
まだ青い肌の上を滑る白い蛇。
少女の欠陥とはつまり、
なにも知らないということ。
恋焦がれた輪廻を、何度も繰り返し、
少女は。
消耗しつつある肌を、
破る蛇。
つぼみが膨らんでいくのに。
見て見ぬふりできる蛇。
つぼみがしぼんでしまうことを、
恐れている、
少女は。
少女の楽園、
エレクトロピカ。
上空を飛び交う鳥の名前を、
誰も教えてくれなかったから。
闇夜に捕らわれ連れ去られる、
少女。
もう永遠に帰ることだけができない、
少女の、
輪廻。
無数の、少女が、手招きして。
誘いながら、迷う、
楽園の中で。
どの少女もやがて、
消えて、
新しい少女が、
やってくる。
淡い光の中、通り抜けていったのは、
エレクトロピカ。
少女を連れ去り、置き去りにしたのは、
エレクトロピカ。
ただいまも、おかえりも、存在しない、
大きな鳥の嘴に捕まり、ひとり、ふたり、消えて、そして、新しく少女を、ひとり、ふたり。
無数の少女たちの、
風に揺れる無数の髪の毛。
エレクトロピカ。
少女の、
残酷。
引き裂かれた、白い蛇。赤いはらわた。
エレクトロピカ。
少女の、
非力。
連れ去られてゆく少女の、
悲鳴。
ひかりと、はなと、はちみつと、不穏を、混ぜて。
さようなら、だけが鳴り響く。
少女の、
輪廻。
エレクトロピカ。
終