〜〜詩で遊ぼう!投稿梁山泊 3rd edition〜〜

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831枯葉を焚く

紫に枯れた樒が 姉の耳からさくさく出て
リノリウムの床を埋める 十月の夜  
 
私は枯葉をザルいっぱい集めて 病室の水盆で焚く
テレビが見えなくなる前にと 毎晩焚く

薄い煙りが枯葉の来し方の
たぶん人々の姿を真似て ねじれ 裂ける  

青い花びらみたいに ひらひらと揺れる炎 

廊下では発情松虫が うっとりと鳴き
赤んぼ蒲団を着たきりの姉は かなり止まってる

火サスを見ているうちに 揉み砕いた枯葉
指先には お線香の匂い

せめて蕨餅くらい その肌が透けていれば
黄泉路に黒々と口を開けた からっぽの体内を覗けるのに

青い花びらみたいに ひらひらと揺れる炎