〜〜詩で遊ぼう!投稿梁山泊 3rd edition〜〜

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776落ち葉
太陽は次第に、身を隠し
葉肉のクロロフィルは減少してゆく
紅葉した、あの木々の葉がすべてなくなる頃
僕はきっとここにはいない
病院の窓辺から見る景色は、街路樹のおかげで飽きる事はなかった
全身に転移した活性酸素の悪業が
メキメキと僕をむしばんでゆく
この喉はただの空洞と化した
スプーンで流し込まれる石ころを必死で飲み込む
目を閉じれば、あの楽しかった日々が蘇る
どうぞ、今が現実でないなら…
どうか、目が覚めた時 僕は家のベットにいますように…
遠くで、自分の名前が聞こえるけれど
目を開けたくない
すごく眠いのに、誰かが邪魔をする
目を開ければ一面の花園
ああ、もう秋は過ぎたんだな
「春が来たんだ」

病院へと続く街路樹は、黄金色の葉をたわわに身につけ光輝いていた
それは、雲ひとつない秋晴れの午後だった