〜〜詩で遊ぼう!投稿梁山泊 3rd edition〜〜

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736黄楽
アスファルトの舗道に
金色に浮き上がった楓の葉
その朽ちかけの迷路に
俺はすっかり迷い込んでしまった

余す処なく費われ燃え尽きてゆく
楓 櫨に蔦に公孫樹 
余す処なく打ち棄てられながら
なぜ未だに俺を迷わすのか

木々は押し黙っていた
もう語るべきことは全て語ったよと
遊びたがりの風だけが公園を走り回っている

まるで幸せのようだった
それぞれの純度で数々の墓標は打ち立てられ
その下で夥しい蟲達は忙しく働いて
それはまた土にそして再び木々に手渡しされてゆく

軽い嫉妬が落葉のように降りかかる
一体誰に何を手渡せるだろう
最早土に還ることもない俺は

と 突然風が俺を殴る
アスファルトの上にあった楓の葉は飛び立ち
迷路から一気に解き放たれ
よろめき見上げたそこには
あざやかな額に飾られた空が見えた