〜〜詩で遊ぼう!投稿梁山泊 3rd edition〜〜

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704柿木の葉
柿木は 実を落とし
決したみたいに 葉は散らかさなかった

ラヴと散歩の 通り道
いつもあかるい土手に 立っている
誰のものでもない 自分で生まれてきたような
そんな柿木のお話です

秋の陽は
べっこう飴みたいに 深い光で
鞭で叩いては優しくほぐす 秋の風と一緒になって
ぷっくりカチカチ 実を育て
私たちが通るたんびに
たんころりん 草の上に実がまたひとつ
下草はもう おじいちゃんの白髪頭の色でした

705柿木の葉:02/10/16 16:57 ID:mZrh5V3S
葉っぱは キラキラ
秋の陽を乗せて 秋の風に揺れて
いつまでも いつまでも
そこにあるもののように見えました

通りかかるたび 立ち止まり
私はキョロキョロ 橙の実を鞄に詰めて
ラヴはわんわん 草に玩具を探すのでした

あのたくましそうな 緑の葉っぱが降ってきたら
いくらでも遊べるよ
悪いね 今はあたしだけ美味しい目
明日はきっと 一枚くらい散ってるよ

明くる朝 柿木はすべての葉を落とし
草の上には 一枚の落ち葉もなく
朝靄に隠された向こうの川面に
無数の影がありました
706柿木の葉:02/10/16 16:58 ID:mZrh5V3S
私は知らない明日に放り出されたように
ラヴの姿も見えなくなって
ただひとつ見知っているもののように
無数の影だけを見つめ

川面へひらり
私の心が落ちて行きました