〜〜詩で遊ぼう!投稿梁山泊 3rd edition〜〜

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688失恋
並木道で、お前を見かける。
左手を捉え立ち止まり、矢を抜かず俺は愛をねだる。
〜あいづちなら幾らでも打ったお前は、無視ばかりしていた。〜
そしてお前は謙虚にそれを貫き、俺を振りほどく。

大風の中、逃げる女の姿が美しい。偽者の愛を司るな。
ひらひらと銀杏の葉は舞いながら、俺を時間で埋めてゆく。
〜口うるさい、思想が合わない、挙句の果てにくさいと罵る。〜
俺は銀杏の匂いが好きだよ。お前は俺が嫌いかい。

余計な流行歌、しゃがれた音符を並べて行方は狂う。
掃除好きな女よ、偽者の愛を司るな。
〜二度塗りの甘ったるい虚実は、押さえつけられて今にも潰れる。〜
並木沿いの和菓子屋の前で、俺は涙を流す。

お前に言えることなどもうない、俺はすさんだ。
俺は流線をさまたぐ、苦い苦い銀杏の葉。
誰にも見られずに死ぬのを恐れ、地にへばるのを避けても
やがては埋もれる銀杏の葉。