〜〜詩で遊ぼう!投稿梁山泊 3rd edition〜〜

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325揺りかごを干しながら
陽はあまねくそそぎ
おもい実にかがむ夏みかん
四年目のぼくらの庭で
そろえた髪が羽ひろげる

止まれないのでは、と 腰を浮かすほど
娘はしばふの波を とててて越えていく
ゆりかごのふちに手をかけて まわり 戻ってくる
ギューニューくさー ギューニューくさーと 羽根を乱して

 「その匂いはきみのものでも あったんだよ」

きょと、と止まった豚足が しらないもんっと跳ねていく
そのせなかを追うように
 まだ見ないわが子が 力づよく一歩
そらの透明がゆらぐ目で 妻がわらった

 以前のように 彼女をきれいだとは思えなくても

縁台のきょりを縮める 娘のおしりも入れないくらい
いぶかる妻の注意を ことば少なにそらしそらし

しらじらしく指した先 ゆりかごが娘と振れ
ほころぶ庭のテクスチャー
326揺りかごを干しながら(続):02/09/04 23:01 ID:xU00TGAJ
いまこのときが 昼のみじかい夢のように
こんな小さい子供たちも ぼくらの腕を去るのだろう
風化する ぼくと妻を かろやかに蹴りつけてそとへ
つぎの世代へ


ぼくから妻へ
 ぐん、 と娘へ
  この夏さいごの風がいく
    そしてはしゃいでいる  ゆりかご