〜〜詩で遊ぼう!投稿梁山泊 3rd edition〜〜

このエントリーをはてなブックマークに追加
309花曇り(1)
春だ 春
物語が始まったり漂ったり
泡のようにはじけて人が死んだり
ためいき その他
あまたあるものの透きとおる季節だ

未来とともにある不安に
買物帰りの主婦さえ
浮き足だち
名も知らぬ花など飾ったりしてしまう
とたんに居間も透きとおる
春だ

春 はなぐもり
せっかちな桜が風をにらんでいる
(三月の満開!)
新しいものはより新しくなり 枯れゆくものも
低くゆっくりとした若い血を肉に注いで
新しい風にそなえる
そしてその先の
雨のために根を育てる
身をよじる

砂絵のようなビル壁
風の通らない路地にも
けだるいぬくもりとくもり空の視線
どこかで誰かが云う
「まんべんなく街はやわらかい」
そして
ようやくポケットから出された
ぼくたちの白い手
310花曇り(2):02/09/04 03:13 ID:uHgc2+Pk
新しい物語のための
新しい風が 小さく立つ
花びらはまだ枝を離れようとしない
一瞬 過ぎる倦怠に
屋上の猫があくびをする
若葉のあぶらむしたちもあくびをする
つかのま透きとおる
こもれびにふと
立ちどまる

ぼくもつられて 大あくび