〜〜詩で遊ぼう!投稿梁山泊 3rd edition〜〜
243 :
想<sou>1/2:
すぐそばを
空気の膜をえぐりながら
自動車の列が過ぎ去っていく
その排ガス混じりの風に吹かれ
ゆれている
ただなすがままに
乾ききったアスファルトの街路
忘れ去られ
薄汚れたプランターの中
ときおりぱらぱらと注がれる雨が
この生命を生かしている
ただなすがままに
ここの主が枯死したのは
いつのことだったか
皮肉にもよそ者だけが
こうして
今も生命をながらえさせている
ただなすがままに
244 :
マルセリーノ:02/08/26 19:12 ID:DIB4Tz0n
発情した庭師の最後の仕事
肝臓を患った老人を横目に
虹が見えなくなるまで水を撒く
刈り取った小枝を集めて
秘密の武器を作る
見栄えよりはむしろ庭師のの心象風景に忠実な出鱈目な構図
出鱈目な構図
その構図の中に気の利いた労いを知らない娼婦が割り込む
娼婦が割り込む
時間切れで
訝し気に庭を見渡す一匹の猫だけが庭師を昇天させた
245 :
想<sou>2/2:02/08/26 19:13 ID:IT5OivcC
どこにも土は見えない
世界はいつから
土のにおいを忘れてしまったのか
プランターのわずかなそれからは
腐臭がただよっている
ただなすがままに
側を通る誰の眼にも
うつることはない
透明な存在
でもこの緑を見てほしい
とは思わない
ただなすがままに
風にふかれ雨に打たれ
ただなすがままに
生きて想う
ただ想うのだ