×××豚殺×××

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165TK
臨月の豚

父達は夜の浜辺で
豚を殴り続ける
母達がそれを見ている
数十種類のスパイスを混ぜ合わせ
作ったソースはもうできている

食料に困っているわけではない
娯楽として豚を食うのだ
肉が柔らかい方がいいからと
父達は加減しながら
程よい柔らかさになるまで
殴り続ける
豚は生きていた方がいいという
血が巡っているから

子供達がそれを見ている
母の袖につかまって
父達の黙々とした作業を見ている
誰もその豚が臨月であることを知らない
まだ生まれない命に手をかけていることを
誰も知らない
父達は汗を拭き
母達は時間を気にする
子供達はこの光景に飽きて
砂の投げ合いをして遊ぶ

月光が宿ったような白い浜辺で
臨月の豚は息絶える
家族達は食事にありつく
子供達は皆笑っている
父も母も
その笑顔を守るために
生きている