604 :
ほかけぶね:
その1
タカちゃん
「ヨシオちゃん、いきものがかりのはんちょうさんになりたくない?」
ヨシオちゃん
「はんちょうさん? ぼくなりたいけど、とてもできっこないよ。だって、ねんちょうさんもいっぱい、いるしぃ」
タカちゃん
「だいじょうぶだよ。ぼくがひとこえかければ、みんなおっけーさ。むかしからこんなのあさめしまえさ。」
やさしいタカちゃんのおかげでヨシオちゃんはたくさんいる年長さんを飛び越えて班長さんになることができました。
ヨシオちゃんを一回でもいじめたことのあるお友達はタカちゃんが追い払ってくれました。年中さんでも威張っていることができます。もうヨシオちゃんの天下です。
どういうわけかヨシオちゃんのいるみずいろ組の教室は一つだけ離れて建っています。
だから運動会のとき先頭でバトンをもつジュンちゃんだってあんまり来ません。
この間来たときに持ってきたジュンちゃんのお絵かきセットだって、ずっとおきっぱなしになっています。
タカちゃんのいるむらさきいろ組とは離れているのであまり行ったり来たりしません。
でもどういうわけか急にタカちゃんが最近来るようになりました。
ある日、ヨシオちゃんは飼っている金魚にえさをあげたり、水を取り替えたり一生懸命にお世話をしていました。
それはそれはとても大変です。だって金魚はとてもいっぱいいるのですから。
親切なタカちゃんがきて
「これは、らんちゅう、これはでめ金、そのとなりのこれは、わ金というんだよ」
と教えてくれました。
最後の水槽にいる金魚は誰が見ても変わった金魚で、お口がとっても大きい種類です。
「これは尺金という金魚だよ。この金魚はものすごくおおぐいで1年にえさを17袋も食べちゃうんだ。 こまっちゃうよな」
すぐに二倍三倍になるので尺金というのだそうです。