気持ちを詩になんてするな

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「分裂病者」

不安な季節が秋になる
そうしてきみのもうひとりのきみはけっしてかえってこ
ない
きみははやく錯覚からさめよ
きみはまだきみが女の愛をうしなったのだとおもってい


おう きみの喪失の感覚は
全世界的なものだ
きみはそのちいさな腕でひとりの女をではなく
ほんとうは屈辱にしずんだ風景を抱くことができるか
きみは火山のように噴きだす全世界の革命と
それをとりまくおもたい気圧や温度を
ひとつの加担のうちにとらえることができるか
きみのもうひとりのきみはけっしてかえってこない
かれはきみからもち逃げした
日づけのついた擬牧歌のノートと
女たちの愛ややさしさと
眠ることの安息と
秩序や神にたいする是認のこころと
狡猾なからくりのおもしろさと
ひものついた安楽と
ほとんど過去の記憶のぜんぶを
192:02/05/12 16:16 ID:???
なじめなくなったきみの風景が秋になる
きみはアジアのはてのわいせつな都会で
ほとんどあらゆる屈辱の花が女たちの欲望のあいだから
ひらき
街路をあゆむのを幻影のようにみている
きみは妄想と孤独とが被害となっておとずれるのをしっ
ている
きみの葬列がまえとうしろからやってくるのを感ずる
きみは廃人の目で
どんな憎悪のメトロポウルをも散策する
きみはちいさな快復とちいさな信頼をひつようとしてい
ると
医師どもが告げるとしても
信じなくていい

きみの喪失の感覚は
全世界的なものだ
にんげんのおおきな雪崩にのってやがて冬がくる
きみの救済と治癒とはそれをささえることにかかってい
203:02/05/12 16:21 ID:???
きみのもうひとりのきみはけっしてかえってこない
きみはかれが衝げき器のヴォルテイジによってかえると
信ずるか
おう それを信じまい
君の落下と君の内閉とは全世界的なものだ
不安な秋を不安な小鳥たちがわたる
小鳥たちの無言はきみの無言をうつしている
小鳥たちが凄惨な空にちらばるとき
きみの精神も凄惨な未来へちらばる
あわれな不安な季節め
きみが患者としてあゆむ地球は
アジアのはてに牢獄と風てん病院をこしらえている