10 :
はらだ将:
これが、ほんとうのさいごの詩。
『エピロオグ』
アナタのその人間的な指先が歌っている、
あまりに美しく研ぎ澄まされた微分的孤独を知り
私は土を舐めた
アナタの歌う『至福の欠片』を感じ―─
死に触れた恍惚―─死が私を待ち望んでいると
震動する空気が教えてくれた
山よ、空よ、海よ
私は、この人間はあまりに無力です
この私に一体何が出来るのですか?
家族や友人を悲しませ
愛すべき人を傷つけることしか出来なかったのか?
─―果たして、そうではなかった
私は微力ながらミミズのようにもがいた
生きるために汚い汁を垂らしながら
「美しくありたい」と必死にもがいたではないか
誰も知らなくて良い、
誰も知る必要はないではないか
ただ私は、私だけはこの真実を知っている
生きる限りもがき続けよう
この命ある限りもがき続けよう
誰にも恥じることなく生き続けよう
私は誰の奴隷でもない
彼の奴隷でもない、社会の奴隷でもない
ましてやアナタの奴隷でもない
私は私だったし、これからも私だ
私として生きていたい
アナタにひれ伏すのではなく
アナタと対等に生きられるように
言葉にするまでもない
当たり前の事なのだ
私は生きている
アナタは生きている
生きている
今ここに生きている
03.September.2001
花束にかえて。