360 :
犬大好き:04/01/15 14:29 ID:dgBasDNZ
「らせん×1」
校舎の三階から上が見える
茶色いマンションが見える
窓ガラスをピカピカさせて
暗号で話す車の列が見える
ゆるい坂道の途中の赤信号と
影のない町が見える
冷たい指先で
らせんをなぞる生活
冬なのに赤い花が咲いてる
※
あの赤い花
あれは何かの実かもしれない
真向かいのブロック塀に
猫型の影が跳ねる
鳥のさえずりが
金属バットにもつれている
次回は改心して
少しは優しいひとになりたい
361 :
犬大好き:04/01/29 16:36 ID:Hfh8pXLB
「ストレス」
冬らしい和室は暗く
遠くにはお天気お姉さんの声が
咎めるようで憂鬱だった
赤い鶏が無性に啼いて
心地よさが不快に澱んでいた
雨音で消したい音がする
水盤には美しく尖った枝が
標本みたいに殺菌されていた
ちいさな湿気と罪悪感が
黒いビー玉になって
からだの底に沈んでゆく
真夜中をすぎて粉雪が散った
天気予報はさっぱり当たらない
鶏を鎮めたのは掌の重み
☆
もう来てないのかな…?
364 :
犬大好き:04/06/01 03:49 ID:J0tum90f
>>363さん
ヽ(´ー`)ノいろいろありまして・・
365 :
犬大好き:04/06/01 03:50 ID:J0tum90f
「犬の谷」
谷の縁に青い 山のさくらの 底の底に
貝がらの化石が 悲鳴をあげて
嫉妬した犬の 爪のように割れる
壊れるのは 透明な 青いもの
谷の縁に青い 山のさくらの 細い梢を
夜 玉虫のつがいが 飾っている
366 :
犬大好き:04/06/01 03:51 ID:J0tum90f
「ラスト泣き」
高架まできたとき
電車が過ぎて、声は聞こえない。
なみだと鼻水が流れて
ふたりはぶさいくで
わたしがプレゼントの袋をふりまわすと
割れるから!ってSは叫んだ。
夕陽に車窓がぎらぎらして
赤く、なんか春だった。
ぶさいく過ぎるSは可愛くて、
その顔はずっと残った。
※
遠くに電車の音がして
赤いカップはさぼてんのとなり
泣き過ぎた翌日は
水泳のあとみたいにだるい。
367 :
犬大好き:04/06/01 03:54 ID:J0tum90f
「らせん」
水槽みたいな空の底に
ももは白いくまで歯をみがいて
憂鬱は古いチョーカーにさがった
いびつな真珠みたいで重く
50センチ先にできた
まくなぎの透明ならせんを
半分ちぎれたくまの
ボタンのめだまが見つめている
あしたは階段をおりる訪れ それと ぼくとこすれた白いカーディガンの地に君は青くこちら向きなふたたびに とかな
>>366 よぉょよゅ
369 :
犬大好き:04/06/02 00:51 ID:rGNaWZey
>> 4thさん
おひさしぶりです。元気そうで良かったです。よぉょよゅ??
370 :
犬大好き:04/06/02 00:58 ID:rGNaWZey
「室内」
梅雨の夜の窓が、暗く濡れる。
室内にはふたりの匂いが重く
白衣にアイロンをかけるお母さんのそばには
むかし死んだひとの、青い影が震えている。
玄関の蘭のつぼみ
いつまでたっても開かないのよ
わたしは雑誌や詩集を適当にめくりながら
花はひとが見てないときを選んで、こっそり咲くものだと思った。
ふたりは親子らしく憂鬱で
誰も見ない野球中継が、延々と流れている。
こうしてるうちにも、
髪の毛の燃えるような静かな音をたてて、つぼみがほぐれはじめるかも知れない。
玄関の蘭のつぼみ
いつまでたっても開かないのよ
むかし死んだひとの青い爪先が、視界のかたすみを通り過ぎた。
痩せて、ちいさな足だ。
室内にはふたりの匂いが重く
湿った土の上に、犬は浅く眠っている。
きゃああああ。
犬大好きさん、おかえりなさい。
372 :
犬大好き:04/06/02 04:10 ID:rGNaWZey
>>371さん
ありがとうございます。嬉しいです。
きゃあ・・(汗
ああ、私が一番にレスつけようと思ってたのに、また覗いてもたらこんなにも、、、
おかえりなさい、犬大好きさん。とても嬉しいです。
374 :
犬大好き:04/06/04 23:57 ID:nZYbxxaZ
>>373さん
覗いて下さってありがとう。実はずっとmacに触ってなくて、詩も書いてませんでした。
でも6月になったらわれにかえったので、またこそこそ書いてみようと思ってます。
375 :
犬大好き:04/06/16 03:26 ID:QJz55MjM
「たまご工場」
耐えられれば 珊瑚色に完熟したやまなみは
遠くて 工場のそとはコスモスばたけの秋
とりあえず花粉浴びる
首に輪のある女はどうせ お嫁にはいけないのだけれど
工場のグランドでは まだまだ青くさい草を踏んで
中学生が野球の練習ばかりしている
その白いボールが
あばたに枯れた芝の肌に染みて消えることも知らずに
そうだった
ミシン工場が たまごをつくる
健康たまごは肌色いから あれは成りそこない
たまに動くから よっぽどつらい 赤黒い
工場のまんなかを 鉄錆の川は流れて西へ
両岸に延々とつづくご先祖さまの列が
地蔵菩薩のみもとに分別するのは だれかの赤黒いの
ちいさな願いがようやくかなう未来には
願ったことなんてすっかり忘れて 疲れている
376 :
犬大好き:04/06/16 03:30 ID:QJz55MjM
「親子丼」
とり肉がたまごを背負って
どんぶりのなかにいる
ほかほかのベッドのうえで
親子そろって覚悟している
377 :
犬大好き:04/06/16 03:32 ID:QJz55MjM
「たまご工場 2」
道ばたの美しい位置に白い蝶々があって
薄い羽根がひざしと花に溶けて 影ばかりくっきりと見える
昆虫は死んでもずっと 変わらないくていいな
ただ静かに眠って たまごの頃を夢見てるみたいでいいな
夢のなかでのお別れは 浅い池をめぐる遊歩道
遠ざかる自転車と 消えていく白い背中
そうそういまね わたし新しいたまごができた気がする
雫の音みたいなのが なんか響いたから
378 :
犬大好き:04/06/16 03:40 ID:QJz55MjM
「幼虫のビニール」
正座したN美は金色の影を着ていて
ビニール製らしく見えた
私はどきどきしながら
それを脱ぐ瞬間を待った
そして弓を引くような形で
部屋の片隅を差すN美を想像していた
N美は28のお兄さんが建てた家について
切れ間なく話し続けた
N美は髪を切った
N美は嫉妬していた
私は取り残されている
もう脱いでしまってるのかも知れない
N美はなおも話し続けて
どれほどお兄さんを好きだったか
最後にそれだけが残った
抜け殻はどこにも見当たらない
379 :
犬大好き:04/06/23 01:24 ID:ddjUT2hi
眼科の待合室は、今日も白い眼帯がたくさん並んで、盛り上っています。
右目眼帯人は左回り、左目眼帯人は右回りで、トランプに興じています。
そこは真昼の森の、古い野外病院です。
眼帯をくわえた百舌鳥が、テーブルの上に羽ばたいています。
昔の歌がちいさく聞こえてきますが、誰も歌詞など知りません。
高い空には、花びらみたいに薄い月が、空気と一緒に震えています。
ふいに誰かが立ち上がって、森の奥へと向かいます。
そしてそれきり、帰りません。
右目眼帯人は左回り、左目眼帯人は右回りで、森の奥へと向かいます。
>犬大好きさん
あちこちに配置された鈍く光る言葉が心地よいです。
跳ねているのに耳障りでなくて、思わず見とれる感じ。
ひとつずつ時間をかけて読みたくなる。
381 :
犬大好き:04/06/24 01:50 ID:cEyglmQk
>>クロラさん
ありがとうございます!
クロラさんの詩、評価スレで読ませてもらってます。
こうしてたまーに感想を書いてもらえると、上手になりたいと思うけど、
最近はちゃちゃっと書いてしまって、どんどん荒くなってて反省中でした。
また覗いていただけると、嬉しいです。
382 :
犬大好き:04/06/24 01:55 ID:cEyglmQk
>>209とペアぽい詩
「雫の町」
突然、水面で断たれた古い道路が、底の町まで続いている。
天の岩戸口のバス停の、ゆるい坂の下に
いつかの夏の、町なみを封じ込めてダムは暗く
水中には薄い陽射しを砕いて
枯れた杉の木のさきっぽが揺れている。
そこには神社や郵便局があって、公園や雑木林があって
腐った枯葉が積もり
水底のもっと底には
蝉の幼虫が眠っている
穏やかに、
また何度目かの夏がくることも知らずに。
遊歩道に人影は無い。
若葉の雫には、ちいさな景色が震えながら蒸発を待っている
絵本みたいでおもしろい。
情景の浮かぶ詩ってなかなかないよ。
わたしの蜜柑
甘くてすっぱい
味覚をくすぐる色彩に
わたしの胸までふくらんだ
わたしの蜜柑
てのひらの上
ひんやりとして
目と目が合った
わたしと蜜柑
くちづけをして
それからお互い探りあった
わたしと蜜柑
傷つけあった
ひっかいた痕と
爪に残る甘い匂い
わたしと蜜柑
仲直りして
涙を拭って舐め合った
少し震えて嬉しげ蜜柑
わたしは蜜柑
名もない蜜柑
熟したぶんだけ
痛みを知った
わたしは蜜柑
あなたの蜜柑
その舌先で
転がりたい蜜柑
わたしとあなたと
その間に蜜柑
シーツに残った
小さな果汁
蜜柑満たされて
ベランダへ飛び出していった
それから蜜柑
ふくらんだ
オレンジの風船になって
はるか宇宙を目指すだろう
わたしとあなた
蜜柑を見送る
いつかふたりで
蜜柑を産むため
////////////////////////////保守、です。
一番下まで沈んだ板を上げるこの快感
・・・
388 :
犬大好き☆:05/02/18 04:41:41 ID:F3/mfNuh
>>384 ◆ACMASyU/iMさん
「遊園地から帰る」
爪に残る甘い匂いと、透明なビタミン数ミリグラム
擦り付けるように指をからめて
斜め向かいの男の子に薄く笑う
あなたに気付かれないように
まんまる目玉をじっと見つめる
もすこしくっついてみたりする
流れる冬の畑と、振動、BOXに籠った緩い空気に
ふたりはひどくだらしなくて
曇りの日の遊園地
本当は水族館に行きたかった
そういって、しばらく黙ってやる
誰か飛び込んで死んだ、久居の駅を過ぎる頃まで
389 :
犬大好き:05/02/18 04:44:56 ID:F3/mfNuh
>>383 嬉しいです。ありがとう。
ほんとうの絵本ぽいのも書いてみたけど、ダメでしたー
四角い車の薄茶色のガラスの向こうには
赤信号と早い朝の町
なんか町、めちゃ静かやね
まだ暗い雨上がりの空には星がすこし
あなたはハンドルから手を離して雲を撮ってる
あれって地震雲かもな
そういえば朝熊山の頂上のへんから細く
空が縦に裂けたみたいに明るい雲があって
いま地震きたら嫌やなぁ
そこからでっかいおっさんが覗いてそうで
ちょっと変な感じ
飛行機雲て思うけど
四角い車をゆっくりと抜いていくトラック
遠い町の名前が書いてある
おまえの顔もさ、いちお撮っとく?
あと何時間かすればきっと小学生の列が通る
交差点が濡れて光ってる
あ、青んなった
まだ暗い雨上がりの空には大きな雲
星を呑みながら流れてく白いライオンみたい
391 :
犬大好き:05/02/18 04:49:38 ID:F3/mfNuh
9月はいつのまにか遠くて、
キッチンの小窓からさす青い朝が、ますます湿度をさげる。
少しずつはじまった町に鉄橋が鳴れば、
それだけでホームシックぎみに、ためいきが出たりする。
もうかなり空気が変わった。
ためいきはむりやり 不安を連れてくる。
黒い金魚がちっとも育たないこと、
ミルクを何月から暖めはじめるのか、今年も忘れてしまっていること。
パンが焼けるころ、また鉄橋が鳴る。
電車にゆられてる人のことを、なんとなく想像する10月。
392 :
犬大好き:05/02/18 04:50:37 ID:F3/mfNuh
「自転車で月夜」
坂道の手前までくると
風の形に乾きはじめた髪の毛が不安だから
ペダルはそっと踏む。
きっとわたしは
誰にも見えないから
あなたの部屋の、窓の下まで流れる青い通り
夜の町を過ぎるのは、喉のたてる空気の音
からみついて離れない影。
それと
きらきらと転がる
銀色のリムふたつ。
15分もすれば
カーテンの隙間からあかりの洩れる
あなたの部屋の窓の下に、わたしは靴を隠す。
小雨が地球の僕に中に外が冷たいtype朝 どっちがきみ 会いにゆくぼくにいるそば xoxoな起こり
よっ 4thだよ いまでも適当に暮らしてる。
わろすれっど(・∀・)
395 :
犬大好き:05/02/24 02:12:19 ID:MVrQbsOa
>>4thさん
よっ! よっ! よっ!
お久しぶりです。もたもた暮らしてます。バイト先変えました。仕事はいっしょだけど。
>>394 笑えるスレッド? わるいスレッド??
396 :
犬大好き:05/02/27 00:26:02 ID:jKf/qati
「霧」
霧の空を上昇するふたりのゴンドラには
動物らしい、甘い匂いが満ちている。
穏やかにひとを憂鬱にさせる種類の
これは、子供の匂いだ。
あなたはお尻がすーすーすると言い
わたしは入れ違いに降りた家族連れを思い出した。
男はすーすーするけど、女はすーすーせえへん。
なんでかわかる?
物足りなく思いあうことが
ほんのすこし楽しい。
濡れたプラスチック窓の
遠くには白い空気が、美しい橋の影を溶かしている。
これ頂上かな、
真っ白でなんにも見えへんけど・・
397 :
名前はいらない:2005/04/23(土) 15:44:21 ID:QxYiL1/L
強気で負けず嫌いでこわいもんなしの彼女に贈ってあげて下さい
398 :
リーフレイン:2005/07/05(火) 08:35:58 ID:Xi16VvTW
こんにちは。。2004年詩板投稿作品選集に、こちらの 左回り、右回りの眼科病院の詩
を乗せたいのですが、(同人誌です)承認していただけますでしょうか??
ぜひ、お願いします。(題をつけられたいということでしたら、その旨お伝えください)
399 :
犬大好き:2005/07/07(木) 01:05:07 ID:R/IjDutA
リーフレインさん、はじめまして。
左回り、右回りの眼科病院の詩、
>>379ですよね。
どうぞご自由に使ってください。
この詩、ひそかに気にいっているので、見てもらえて嬉しいです。
それと同人誌、できたら通販で売っていただきたいです。
なにかの拍子で売れ残ったら(ゴメン)でもかまわないので、よろしくお願いします。
400 :
犬大好き:2005/07/07(木) 01:24:24 ID:R/IjDutA
2004年詩板投稿作品選集のスレッドを見つけました。
想像してたよりすごい感じ・・
401 :
リーフレイン:2005/07/07(木) 09:47:27 ID:emQHz/WP
犬大好きさん。ありがとうございます。
まだまだ埋もれてる名作があって、右往左往してます。。です。。です。
(題名は、今のままだと 「無題」になっちゃうんだけどどうしますか?)
さっきまで いっしょに遊んでたあなた 今ごろ どうしているのかな
あしたが待ち遠しくて 胸のあたり きゅっとせつないわたくしです
すみれ色に暮れる空に あなたのおもかげ描きます
かがやくひとみは星こぼれ バラ色くちびる 夢ごこち
あなたがちょっとだけすわってたべンチ
そーっとなでなで ああ わたくし
しあわせ感じてしまいます
404 :
名前はいらない:2005/12/07(水) 22:33:47 ID:Xvi1uCTU
これって最高ジャン!
405 :
chin:2005/12/08(木) 16:20:09 ID:uEmuRHxN
なんか暗いな。ココ
406 :
chin:2005/12/08(木) 16:31:31 ID:uEmuRHxN
>>1 なんかオンナ探偵団の一員みたく感じてしまう。
407 :
名前はいらない:2005/12/11(日) 17:18:17 ID:0FS1zFHR
借りたハンカチを返せぬままに
あの娘は遠い世界に旅に出た
憂いをたたえた寒い目元だけが
いつまでも心の奥に残り続けた
もう一度会いたいと願いながらも
叶わぬうちに私は結婚してしまった
胸の宝箱は永遠の輝きの中に
封印されてしまった
追いかけて引き止めて
私の傍においておくべきだった
さよならを言うべきではなかった
でもさようなら
いつまでもさようなら
目の前に居ながら
もう笑うことすらできない
あの娘へ
408 :
中村タカ子:2005/12/11(日) 17:27:34 ID:w8Drk2fn
暗くなった時は加藤謙の歌でも聞きなさい!
409 :
名前はいらない: