誰かあたしの声を聞いて

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「ほふくぜんしん、カニ走り」

相当くたびれたバスに
それと似合いの乗客が乗る
バスの車体は上と下とで
白と青に塗り分けてある

窓側の客は、申し合わせたように
焦点定かならぬ目で街並を見る
通りにあるもの一つ一つが
意味から切断されていく

うっかり突っ立ってたもんで
巻き添えを食っちまった
俺の「意味」が

そうはさせじとカニ走りで
バスを追いかけていく
なかなかやるじゃないか、俺の意味も