サイコな詩を書こう

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901 ◆OPBYKkBBNQ
『蟹』
三日続けて蟹の夢をみました
まだら赤いとげとげした蟹が寝ている私の口元に寄ってきてキスをしようとするのです
生臭い息を吐きねばい泡を盛り上げ鋏を鉄槌のようにかざし迫ってくるのです
一日目二日目はなんとかかわせましたが
三日目とうとう蟹の泡が唇にふれそれと同時に蟹の芥子粒ほどの目が飛び出し一瞬光り固く閉じていたはずの私の唇から泡はするすると喉元おちてゆきました
それ以来蟹の夢はみません
いつものように暗闇だけが残る夢にもどりましたが胸やけがするようになりました
いよいよ私の体内にも蟹の卵が着床したのでしょうか
父と母と祖父を喰らった蟹
今また私を喰らおうと細胞の奥深くもぐりこみわらわらと肉を穿つ爪蠢かすその時を待っているのでしょうか
カーテンを開けると大学病院が今日も病める人を飲み込み吐きだし増殖しています
やすらぎの園
という病棟ができたそうです
私は映画館で死にたいのに